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題名
【競作企画】信頼と信用とそれ以外のもの
登場人物
ラス リック ロビン カレン
投稿者
松川 彰
投稿日時
2006/2/09 22:49:04
[
スラム近くの酒場/ラス
]
よう。相変わらず景気悪そうなツラしてるな。
[
スラム近くの酒場/リック
]
ああ……あの色ボケのことでちょっとな。
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スラム近くの酒場/ラス
]
色ボケというとロビンか。他にはいねぇもんな。
[
スラム近くの酒場/リック
]
いや、あいつより上にあんたがいるだろ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
馬鹿言うな、ジャンルが違う。
[
スラム近くの酒場/リック
]
ジャンルって何のだよ!
……そもそもあんたはなんでこんなところにいる。俺がせっかく、馴染みが少なそうな店を選んだってのに。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
そっちもな。俺も同じ理由でここを選んだのに。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
なぁ、リック。……信頼と信用ってのは別物だと思わないか。
[
スラム近くの酒場/リック
]
…………何?
[
スラム近くの酒場/ラス
]
例えば、仲間とか相棒ってのは信頼に足る相手だよな。まぁそもそも信頼出来る相手だからこそ、仲間だったり相棒だったりするんだと思うわけだ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
まぁ……そりゃそうだな。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
信頼っつーのは……何て言うかな、こう……ある意味、思いこみでもあると思うんだよな。こいつは自分を裏切らないっていう思いこみ。
……いや、でもそうすっと、信用ってのも一種の思いこみか。例えば、何かの技術を信用するとか、誰かが言っている内容を信用するとか……。
[
スラム近くの酒場/リック
]
あんた、何が言いたい。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
いや、つまり。
──信頼している人間を信用出来ないってのは、どういうことかなと思って。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……そういうことがあって、こんな店にいるのか。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
なんだ、おまえもか。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……なんでだよ。俺のことなんか何も言ってねぇだろ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
けど一瞬、うわ図星、みたいなツラしたぜ? 俺が言ったのは自分のことであって、おまえのことじゃねえのに。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……どうもこうもねえだろ。その相手を信用出来ないんなら、結局はそいつを信頼してなかったってことになるんじゃねえのか。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
じゃあおまえは『そいつを信頼してなかったんだ』ってことで納得出来んのか? こんな薄汚ぇ店でやけ酒みたいに不味いエール呷ってるくせに。
[
スラム近くの酒場/リック
]
…………ふん。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……ふーん。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……俺の場合は逆だ。こっちがどうこう言う話じゃねえ。俺が信用されてなかっただけの話だ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
あー。それでふてくされてんのか。
[
スラム近くの酒場/リック
]
誰がふてくされてんだよ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
おまえ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
指をさすな!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……けどさ。それってどうなんだろうな。
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スラム近くの酒場/リック
]
どれだよ!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
いや、だからそれ。俺は確かに、相手のその一点に関しては信用出来なくて、そんで風邪ひいてるってのにこんな風に外をうろついてるわけだが。けど、そいつを信頼してないわけじゃないぜ?
[
スラム近くの酒場/リック
]
……けど、信用出来なかったんだろ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
ああ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
なら、結局あんたはそいつに全幅の信頼ってのを寄せていなかったことになる。
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スラム近くの酒場/ラス
]
何もかも信用出来なきゃ、それは信頼とは言わないのか?
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スラム近くの酒場/リック
]
そうじゃねえのか。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……どうだろうな。そこでまた最初に戻る。だから言ったんだ。信頼と信用は別なんじゃねえか、って。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……じゃあ、方向転換だ。信頼と信用の違いなんてのは俺にはわからねぇ。たださっき、あんたは信頼出来るからこそ仲間だと言った。
そもそも仲間ってのは何なんだ。ダチとか知り合いってのとは違って、しかもあんたの口ぶりじゃ、例えば巣穴の仲間なんてのとも違うようだが。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
まぁ、それも仲間といえば仲間だけどな。なんていうか……違うだろ。“俺たち”が仲間っていう時はもっと重い意味がある。
[
スラム近くの酒場/リック
]
“俺たち”?
[
スラム近くの酒場/ラス
]
おまえも含めたぜ?
[
スラム近くの酒場/リック
]
……冒険者ってことでいいのか。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
確認するようなことじゃねえ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
冒険者の仲間、か。……なぁ、あんたは冒険者とやらをやって長いんだろ。それにはどんな重さがある。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
おまえは命の重さを聞いてるのか?
[
スラム近くの酒場/リック
]
…………。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
ギルドのしがらみとどっちが重いかなんて、くだらねえこと聞くんじゃねえぞ、リック。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……ラス。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
なんだ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
俺はあんたが嫌いだ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
へぇ?
[
スラム近くの酒場/リック
]
あんたはいつだって…………。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
…………続きは?
[
スラム近くの酒場/リック
]
…………。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……まぁ、あれだな。今夜の俺は優しいんだ。さっきおまえが聞いたな。そもそも仲間ってのは何なんだって。重さが違う、と俺は答えた。
ただ、その重みを作るものってのが何なのかと聞かれれば、俺は答えられない。……もちろん、酒場でただ知り合って、一緒に1つ2つ仕事をこなしたからってすぐに“仲間”かと言われればそれは違う。けど、一緒に仕事をこなしたことがないからって“仲間”じゃないのか、と言われればそれも違う。
……けどな。おまえも選んだんだろ。ギルドのしがらみよりも重いものを。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……ふん。馬鹿言ってやがる。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
どっちが馬鹿だよ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
あんただよ。俺は別に…………いや、何でもない。……ったく、なんでこんな話になったんだ。そして何で今日に限ってあんたはそんなにクソ真面目に答えるんだ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
言ったろ。今夜の俺は優しいんだって。
[
スラム近くの酒場/リック
]
うるせぇ。熱でもあんじゃねえのか。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
いや、熱はあるけどよ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
あるのかよ! 帰って寝ろよ!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
お、心配してくれんのか。なんだ意外と優しいな。
[
スラム近くの酒場/リック
]
そうじゃねえ! いいか、あんたがそうやってふらふらしてっと迷惑なんだ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……なんで?
[
スラム近くの酒場/リック
]
あんたの相棒だよ。部屋にいないとわかったらあんたを探しにうろつくかもしれねぇ。そしてこの現場を見つかってみろ。何うろついてんだ、と文句を言うカレンにあんたはこう言い訳するだろ。『いや、リックに捕まっちまってよ。俺は帰ろうとしてたのに』と。俺のせいになる。迷惑だ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
なるほど。
[
スラム近くの酒場/リック
]
否定しろよ!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
ソンナコトナイゼ?
[
スラム近くの酒場/リック
]
嘘くせぇんだよ!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
まぁ、それはともかく。
[
スラム近くの酒場/リック
]
結局否定しねえのかよ!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
ともかくさ。要は……やっぱ思いこみでもいいんじゃねえかと思うんだよな。信頼されていなかったとか、信用されてないとか、そんなことうだうだ思うより前に、おまえは確かに選んだはずなんだから。
[
スラム近くの酒場/リック
]
…………それは。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
ん?
[
スラム近くの酒場/リック
]
それはあんたもそうじゃねえのか。信用出来なかったとか、そんなことうだうだ思うより前に、あんたはそもそも言い切ってるだろ。そいつを信頼しているんだ、と。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……なるほど。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……ふん。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……なぁ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
ん?
[
スラム近くの酒場/リック
]
信頼とか信用とか……そういうもんは言葉で説明するのは難しいけどよ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
ああ。そうだな。
[
スラム近くの酒場/リック
]
……それ以外のものも、なんかあるような……。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
何かってなんだよ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
…………いや、何でもねぇ。酔ってるみたいだ。忘れてくれ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……ああ、わかった。
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
あー! ンなとこにいやがった!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……ロビン? なんでこんなとこに。……って、俺は素無視でリックに一直線かよ。
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
てめぇリック! 確かに俺は、おまえとバシリナの仲を疑った! けど、儲け話の続きを聞きもせずに『じゃあな』ってどういうことだよ!
[
スラム近くの酒場/リック
]
うるせぇな! てめぇが勝手に妙な誤解して、仲間の女を獲るような奴はこれから仲間でも何でもねぇって言うから、ああこれでせいせいすると思って、『じゃあな』って出てきただけじゃねえか!
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
軽いオラン・ジョークなのがわかんねえのかよ! ってか、次の話は遺跡絡みだってのにおまえがいねぇと鍵が開かないっていうか、むしろ扉どこ?みたいな羽目になるのがわかりきってるじゃねえかよ! 仲間を見捨てて楽しいか、リック!
[
スラム近くの酒場/リック
]
待てロビン、そもそもおまえが……!
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
待てもクソもあるか! いいか、俺はおまえを鍵として信頼してるからこそいつも仕事を任せてるんだ! ただ、バシリナに関しては信用……ん? 信用……リックが? ……バシリナを?
[
スラム近くの酒場/リック
]
てめぇ、自分で言いだしておいて、なんでそこで小首傾げる!?
[
スラム近くの酒場/ラス
]
…………ああ。そゆことな。うわ、つまんねぇ。いつもの馬鹿2人じゃん。
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
あ。色ボケ半妖精。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
誰が色ボケだコラ。しかも今頃俺に気付いてんのか。
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
よし、動くなよ。色ボケ。
[
スラム近くの酒場/リック
]
って、どこ行くんだよ! 俺の話を聞け、ロビン! いいか、俺はもう金輪際おまえらとは……!
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
カレンさーん! 色ボケ半妖精捕獲しました! 漢・ロビン! やりました! いやぁ、あの性根の腐った男もかなり反抗していたようですがね、この英雄にかかれば赤子の手をひねるようなもんです!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……へ。カレン?
[
スラム近くの酒場/カレン
]
…………。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……よう。カレン。えーと……おまえも寝酒? ……いてててててっっ!!! 痛いって! 耳を引っ張るな! 伸びる!
[
スラム近くの酒場/カレン
]
多少伸ばして聞こえを良くしたほうがいいんじゃないか? ……なぁ、ラス。俺はさっきオマエに何て言った?
[
スラム近くの酒場/ラス
]
……えと、メシが出来るまで部屋で休んでろって……。
[
スラム近くの酒場/カレン
]
……ほう。覚えているようだな。で、ここは?
[
スラム近くの酒場/ラス
]
んー……スラムの近くの酒場、かな?
[
スラム近くの酒場/カレン
]
…………部屋じゃないよな?
[
スラム近くの酒場/ラス
]
いや、あのな。リックに捕まっちまってよ。俺は帰ろうとしてたのに……。
[
スラム近くの酒場/リック
]
おい、ラス! てめぇやっぱり……! しかもさっき俺が言った台詞まんまかよ!
[
スラム近くの酒場/カレン
]
リックに捕まろうと女に捕まろうと……そもそもここは部屋じゃないだろう、と言ってるんだ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
だってよ! おまえが晩飯作るって言いだして! それだけならまだいいぜ? おまえ、その後何て言った? 今日の料理はセシーリカに習ったって……! おまえ、その意味が本当にわかってて言ってるのか!
[
スラム近くの酒場/カレン
]
……大丈夫だ。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
根拠は何だ!?
[
スラム近くの酒場/カレン
]
…………味見した。不味くはなかった。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
いいか、カレン。俺はおまえを信頼してる。だがおまえの味覚は信用してない!
[
スラム近くの酒場/リック
]
……ああ。そういうことか。なんだ、いつもの夫婦漫才じゃねえか。
[
スラム近くの酒場/ラス
]
夫婦って誰がだ!
[
スラム近くの酒場/カレン
]
……いいから。帰るぞ、ラス。メシが出来てる。
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
そんなことよりリック! 聞いてくれよ、儲け話の続きが!
[
スラム近くの酒場/リック
]
うるせぇんだよ、てめぇは! だいたい、あれだけ俺をぼろくそに言っておいて!
[
スラム近くの酒場/ラス
]
いててて! 馬鹿、カレン! 何で逆の耳も引っ張る!?
[
スラム近くの酒場/カレン
]
……どうせ伸びるなら左右対称のほうが格好がつくだろう。ほら、立てよ。外套もちゃんと着て。
[
スラム近くの酒場/ロビン
]
ああ、いや、正直あれは俺が悪かった。まぁそもそもおまえにバシリナを籠絡するような甲斐性があるかというとそれは……。
[
スラム近くの酒場/リック
]
なんでそういう方面に話が飛ぶんだよ!
………………!
…………!?
…………
……
・
・
■ あとがき ■
企画ものなら何をやってもいいとカンチガイしている人がここにいます。
というわけで、ログ風に仕立ててみました。こんなキャラチャはやっていませんが。捏造……もとい、創作です。もちろん、各PLの許可は何ひとつとってません(大威張り)
この作品の感想をお寄せください
琴美
さんの感想
(2006/2/24 0:17:39)[5]
戯曲として読める、読まされる作品でした。
語調も表情も、すべてが鮮やかにまなうらに再現されるような細やかさ。
彼らのひと時を垣間見せてくださってありがとうございました。
深海魚
さんの感想
(2006/2/23 21:34:51)[4]
それぞれ、ほんとに言いそうな台詞ばかりで「らしさ」が凄くよく出ています。
そして何より面白い。これ重要でしょう(笑)
相変わらず技が「上手い」で読んで「美味い」です。
うゆま
さんの感想
(2006/2/23 0:46:18)[3]
一本取られました・・・
しかし、こういう形だとストレートに語られるものがあり、面白いものですね。
あつし
さんの感想
(2006/2/19 3:09:44)[2]
長い付き合いだからできるエピですね。
全然違和感がないので、過去ログかと思いますよ。
R
さんの感想
(2006/2/13 0:30:58)[1]
リックを出してくださってありがとうございます。
らしいやり取りに笑いました。
しかし、ログ形式は自分の過去ログを読む気分でなんだかむずがゆいです。中身が捏造とわいえ!
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