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題名
【競作企画】Symphony
登場人物
アル ルベルト
投稿者
U-1
投稿日時
2006/2/22 17:29:43
「人って音みたいだ」と、ある時、思った。
ネリーさんに話したら「面白いこと言うわね」と笑顔で言われた。
ロエティシアさんに言ったら「そう思った理由を聞かせてもらおう」と返された。
ケルツさんに伝えたら無言のまま続きを促された。
animato <元気にいきいきと>
sotto voce <静かに抑えた声で>
grave <重々しくゆるやかに>
人によって共鳴の仕方もその印象もテンポも様々だ。
いや、同じ人だって、その時々で音は違う。
例えば、ワーレンさん。
普段の彼は、即興曲か狂詩曲でも奏でているかのように自由気まま。
どんな問題が起こっても、どうにかこうにかして、最後には、解決してしまう…。
そんな印象が強い。
(実際にそう言うと「どこの英雄だよ、そりゃ?」って返されそうだけど)
けれど、独りで川面を眺める背中は時折、夜想曲を連想させる。
表情豊かという点では、変わらないけれど、夜想曲は憂いの方向に奥深さを持つ。
傭兵時代を思っているのか。少年時代を振り返っているのか。
それとも別のいつかか…。
誰とでも笑顔を交わせる彼だからこそ、誰にも聞かせられない音があるのだろう。
或いはクレフェさん。
彼女と話しているとオラトリオでのアリアを聴いている気になる。
宗教的であり道徳的でもあるはずの聖譚曲…それが背後にある。
にもかかわらず、そこから抜け出したはずの独唱は、美しさと共に艶やかさを持つ。
抒情的なその旋律で聴衆を虜にする魅惑的なソリストとの対面。
そんな印象をボクは受ける。
けれど、他の人と彼女の会話を見かけると自然な円舞曲に見えるから不思議だ。
(まぁ、そう見える時は、相手も彼女と同じくらい素敵な音を出せる人なんだけど)
そんな風に考えてて思ったのだ。
「人って音みたいだ」と。
音は、単音でも世界に響く。
そりゃ、壁や別の音に邪魔されれば聞き取れなくなってしまうかもしれない。
でも、音は在る。密やかでも、微弱でも、確かに世界に響いている。
効果的に組み合わせれば、和音となって、人の心にだって響かせることができる。
つないで旋律にすれば、遠い未来へだって響かせることができるかもしれない。
だから、ボクは、よりいっそう思う。
「人って音みたいだ」と。
※ ※ ※ ※ ※
「……つまり?」
「いえ、ですから…人も力を合わせたり、後世に何かを残そうとしたり、そういった事をしていけば、音と同じように一人の時より多くの事が、できるじゃないですか。それぞれの人が、それぞれの得意な部分で頑張る…そういう人が集まれば、一人じゃ到底出来ないようなことだって、できるでしょ? だから、音みたいだなぁ…って……」
「抽象的すぎて伝わらないというのは、賢者としては失格だな」
「ぐっ…」
ルベルトさんに話したら、こう指摘された。
ボクの心が不協和音を奏でたような気がした。
■ あとがき ■
第一回目のお題(仲間)の話です。
時期外れで、ごめんなさい。
無断でキャラの名をお借りした事も合わせて謝罪します。
この作品の感想をお寄せください
枝鳩
さんの感想
(2006/4/03 22:53:28)[4]
ルベルト、意地悪だなぁ・・・でもきっとそう言いますね(笑)
めげずに吟遊詩人としての世界観を育ててくださいね。アルらしい、繊細で美しくて素敵な考え方だと思いました。
琴美
さんの感想
(2006/2/24 0:26:04)[3]
ああまた、詩人らしい作品が。音色を聞き取るのも才ならば、それを集めて再演・再現するのも詩人。一歩踏み込んで歌える日、そして譜面を作り上げる日を楽しみにしています。
あ、でもでも。オラトリオのアリアは言いすぎです。深夜番組のBGMで十分です(笑)。
深海魚
さんの感想
(2006/2/23 21:56:14)[2]
人を音楽に例えるって言うのは吟遊詩人らしいなあと思いました。
ルベルトの的確で淡々とした言い方の台詞が面白かったです(笑)
うゆま
さんの感想
(2006/2/23 1:03:09)[1]
って、もう一作EPですか!?
・・・というのが感想です(嘘)
今度はアル氏の吟遊詩人としての側面を活かし、人を音にすると・・・という試みが面白いです。
また、それらの音から紡がれたのは仲間という曲。細やかで確かな旋律が聞こえてきそうです。
最後のルベルト氏とアル氏のやり取りに笑ってしまいました。
追伸:何気にワーレン、ネリー出てて驚きました(笑)
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