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題名
【競作企画】君をのせて
登場人物
ミーナ、ロビン、フォルティナート
投稿者
あつし
投稿日時
2006/2/25 2:59:33
これから語る事件は、あたしとロビンさんが引き受けた、あるお店の蔵の整理中に起きた事件。
この事件について知る者はあたしとロビンさんだけだ。お店の人も知らない。
それ故に後ろめたさから、ロビンさんがあんなものを見つけなければ・・・。
あたしがロビンさんをもっと強く誡めていれば・・・。と、後悔の念を禁じえない。
〜蔵の中〜
「ケホッ、奥は埃だらけだよ。ロビンさんもマスクしないと」
「おい、ミーナ!こっち来てみろよ!」
「あー!またロビンさんサボって!さっきもそう言って蔵のもので勝手に遊んでたし」
「違うって!見てみろよ!この皿!」
「お皿?」
「この皿だよ!宙に浮いてるんだよ!」
「わ、ホントだ。魔法の品かな」
「外に出して見てみようぜ」
「ちょっと!割ったりしたら怒られるよ!」
「大丈夫だって。落としても宙に浮いてるんだから」
「そりゃそうだけど・・・」
「うーむ、表面に色々模様が描かれてるな」
「日の下で見てみると大きいね。浮いてなきゃ運ぶのに苦労しそう」
「これだけ大きいと人が乗れるな。ミーナ、ちょっと乗ってみ」
「え!それは流石に怒られない?」
「そんなこと言って、本当はちょっと乗ってみたいくせに」
「むーちょっとだけだよ?」
乗ってみた
「凄いぞ!ミーナが乗っても全然軽く持ち上げられる!」
「ちょっとロビンさん!あんまり持ち上げないでよ!」
「おお〜、手を離したらドンドン昇ってく」
「あ・・・凄いいい眺め。ロビンさーん、絶景だよー。お城がココからみえるなんて」
「おーう。次は俺が乗るからなーー」
「うん。それで、どうやったら下に降りれるのーー?」
「えーー?なんだってーーー?」
「だからどうやったら降りられるのーーーー?」
「きこえねーーー!」
「大分高く昇ったけど・・・そのうち降りてくるよな。待つか」
・重力遮断の皿(ゼロ・グラビティ・ディスク)
魔力=のせた物の重さをゼロにし、自身も常に宙に浮かぶ皿。
押し上げると、そのまま空に昇っていってしまう。
〜30分後〜
「ええと、見えなくなっちゃったけど・・・」
「どうすんだよ!そうだ、何か同じように空が飛べる物が蔵にあるかも・・・!探せ探せ!あ、コレは・・・!」
〜上空1000m〜
「うう・・・街があんなに小さく・・・どうしよう、降り方解からないよ・・・」
「ミーナー!」
「え・・・?」
「ミーナーー!」
「ロビンさん!?ちょっとそれ何に乗ってるの!?」
「よく解からんが、絨毯だ!空飛ぶ絨毯!今助けるからな!」
「うん!だけど、もっと減速してゆっくり近づいて!これじゃぶつかる・・・!」
「そんなこと言ったって・・・!扱い方わかんねえし!くそ、こうなったら・・・ミーナ!」
「うん!」
「すれ違いざまにかっさらってやるから!大きく両手を広げとけよ!」
「ええっ!?ちょっとロビンさん!そんなことできるの!?」
「わからん!でもいくぜ!うおおお!ミーーナーー!!」
「わわ、ちょっと!ちょっと待って!まッ──────」
(ガシッ)
無理矢理ラピュタ
「なんとかうまくいったな」
「・・・・・・・」
「大丈夫か、ミーナ?」
「・・・・・・・」
「こんな高いところで一人ぼっちだったからな・・・。恐怖で声がでないのも仕方あるまい・・・」
「バカバカーッ!今のが怖かったんだから!今のが一番怖かったんだからね!」
「あ、そうなの?」
「そうなの?じゃないよ!あっ!お皿回収しないと!」
「皿ならほら、あそこ飛んでるぞ」
「ああー・・・どんどん昇っていってる。ロビンさん、あたし達も早く昇らないと!」
「ダメだ」
「え?」
「さっきからやってるが、これ以上は昇れないみたいだ」
「どうして!さっきまでビュンビュン昇ってたのに!」
「重いんじゃないのか?ミーナが」
「なっ・・・!バカーッ!そんな重くないもん!」
「うわっ、暴れるな!定員オーバーなんだぞ!」
〜帰り道〜
「むー・・・」
「心配なのか?」
「むー・・・」
「大丈夫だって。皿は蔵の奥で埃を被ってたものだし、代わりに似たような皿も置いといたからバレないって」
「むー・・・」
「じゃあこうしよう。俺が今度遺跡に行ったときに同じ皿を持って帰ってきて、こっそり返しとこう」
「でも、あんな不思議なお皿、簡単に見つかるの?」
「ミーナは遺跡の経験少ないから知らないだろうが、墜ちた都市に行けばあんな皿ゴロゴロ浮いてんだぜ?」
「それ本当?」
「うん、ホントホント(ウソだけど、こうでも言わないとずっと気にするからな。優しいウソだ)」
「(ロビンさんがお皿見つけたとき、凄く驚いてたのもう忘れてるのかなあ)」
「なんだ?信用できないのか?」
「ううん。じゃあ、お願いね」
「ああ。まかせろ」
〜数日後・テーブル席〜
「お、いたなフォルティナート。あ、食事中?」
「かまいませんよロビンさん。ただ、仕事の書き物もしているので飲み物には注意してくださいね」
「あいよ。メシ食う時間も惜しんで仕事とは大変だなあ」
「ええ、誰かさんが余計な調べ物を増やしてくれましたから」
「忙しいことは良いことだぞ。で、調べてくれたか?」
「はぁ・・・。調べましたよ。宙に浮かぶ大皿でしたね」
「流石、仕事が早いな。あ、俺果実酒ね」
「その大皿は多分『重力遮断の皿』でしょう。魔力付与者は『重力の魔術師ケイバー』付与された魔力の詳細ですが───」
「ああ、そこらへんはいいや。どこに行けば見つかる?」
「はぁ・・・・・・。墜ちた都市北東部で見つかったという報告がありますね。ケイバー関連の物もそこで多く見つかっています」
「短い時間でよく調べてくれたな。この借りはいつか返すぜ」
「学院に実物を研究されてる方がいたのが幸いでした。その大皿は冒険者からを買い取ったそうですよ」
「ふーん。いくらで?」
「16万ガメルはしたとか」
(ガシャン)
「飲み物には注意してくださいねって言ったのに・・・。今夜も徹夜か・・・」
「じゅうろ・・・く・・ま・・・泣きそう・・・」
「私もですよ・・・」
■ あとがき ■
お題は『マジックアイテム』ということで、派手な話にしてみました。
16万の大皿を探す話も書いてみたいですが、いつまでも書かなかった場合は・・・きっとどうにかして手に入れたんでしょう。
この作品の感想をお寄せください
うゆま
さんの感想
(2006/3/01 23:04:25)[5]
何と言いますか・・・
起承転結がハッキリして読むのが楽しいEPです。
其の上、読みやすいです。
「大金が お空の星に 涙落つ」
お後がよろしい様で・・・
高迫
さんの感想
(2006/2/25 23:57:02)[4]
面白い、読んで思ったのがすぐこれでした。
会話だけの流れなのに、情景が思い浮かびますね。
そしてがんばれ、フォルティナート☆
琴美
さんの感想
(2006/2/25 22:51:52)[3]
アレクラストの空に瞬く星がひとつ増えた。
ひたすら面白かったです。
フォルティナートの不幸に涙しつつ拍手を。
松川
さんの感想
(2006/2/25 16:01:19)[2]
……やべぇ、面白い。
アイテムの特性を活かした使い方がされてますねー。
何より、読んで面白いのがいちばんスゴイ。
Ken-K
さんの感想
(2006/2/25 10:29:39)[1]
オフィシャルのアイテムを上手に活用してますね。いや巧い!
会話のみで綺麗にまとまっているのが凄い。簡単そうで、これは難しいんです。
もちろん、途中に差し挟まれた名作ネタにハートを撃ち抜かれました。
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