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題名
【競作企画】恐るべき”あいつ”
登場人物
ナップタック、バザード
投稿者
うゆま
投稿日時
2006/7/15 21:50:47
むずむず。
「どうしました?」
飢えに飢えた気配を感じるのでやす・・・。
背筋にぞくぞくと。
「ただの風邪では?」
そんなもんではないでやすよ・・・。
これは、とてもとても恐ろしい気配でやす。
「まっさかー。こんな所に・・・」
し、油断しちゃいけません、店員さん。
店員さんには感じずともあっしには感じるのでやす。
また、今年も”あいつ”が飢えとともに忍び寄って来るんでやす・・・
「はは、もしかして次の舞台の脚本のネタですか?」
あぅ、そうじゃないんでやす。
て、いってしまわれた・・・。
犠牲者はまた増えるのか。
なんと運命はザンコクであるか。
こほん。
あっしはナップタックと申すものでやす。
グラスランナーにしてキャクホンカなるものを目指す者でやす。
日々、キャクホンを書くためのインク、いや、血の滲む苦労でやす。
そんなあっしは、この時期になると感じずにはいられないのでやす。
幾度、息を潜め身を潜め、時に閃光の俊敏さで逃げようと。
心休まる瞬間すら”あいつ”が近付けば構えずにはいられないのでやす。
気配、特に飢えを隠そうともせず、そして大胆かつ静かに忍び寄る魔の手。
そう、”あいつ”は他に類を見ない恐ろしいヤツなのでやす。
少しでも、むずむずと感じたのならば、一瞬の隙も見せられない。
だが、そう思った瞬間に既に”あいつ”の間合いに捕らえられているのでやす。
百戦錬磨の英雄ですら”あいつ”に気付けるかどうか・・・
「うぅ・・・」
あぁ、やっぱり”あいつ”にヤラれたのでやすね!
その生々しい傷、だから油断してはいけないと申し上げたのでやすよ・・・
ただ、傷が浅かったことだけが”熱砂にオアシス”と砂漠の民っぽく申すでやす。
「だって、そんなこと言っても分かりませんよー」
あー、今夜もギセイがでてしまったのでやす。
幸い”あいつ”の飢えの気配は消えたみたいでやすが・・・
やはり”あいつ”の嫌う香を焚くか、塗るかして、備えあれば売れ残りなしでやす。
「大袈裟ですってば。それにそれって憂いなしってやつでしょ」
そうとも申しやす。
さて、あっしは寝るとしやす。
ただ、眠っている間も油断は禁物でやす。
昼間に購入した”あいつ”の弱点たる聖なる香で結界を張るでやすよ。
「他の人に迷惑にならない程度にしてくださいね」
さて・・・”あいつ”め、まだ満足していない気配でやす。
まるで生ける者を狙う不死者の執念の如しでやす。
今度こそあっしをねらうつもりでやすね?
しかし今夜は絶対に近付けさせんでやす!
金貨一枚はたいて買った東方のありがたーいこの薬香で返り討ちにしてやるでやす!
夏の忍び寄る飢える”あいつ”こと”蚊”め!
むずむず。
しかし、このカンカク、何故に他の方には分からないのでやすか。
いやはや、不思議御伽の如しでやす。
草原妖精、植物と昆虫と意思が通じ合える故に。
■ あとがき ■
蚊に刺されて思いついたのは秘密。
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いりしお丸
さんの感想
(2008/11/18 2:02:40)[3]
すみません、まんまとやられてしまいました。
オチがあるとわかりつつ読んでしまうこの痛痒さ。
だんだん、早く、オチをくれ、オチを!と苦しくなりました。
そして、オチた後は、なんだか色々考えてしまいました。
南京虫とかシラミとか。不衛生な宿は、大変かもしれません。
「血ぃくれ!血ぃ!」という意思がうるさくって。
でも、グラスランナーは強靭な精神力で、そのあたりをクリアしているのかもしれません。
松川
さんの感想
(2006/7/25 2:11:07)[2]
夏は大変そうですね(笑)
まぁ、精霊使いの感覚と一緒で、普段はセーブしてるんでしょうけども。
ちなみに、一緒にいて刺されやすい血液型はO型だという説(と経験)があるんですが……。
琴美
さんの感想
(2006/7/17 20:05:33)[1]
ミラルゴの水場近くは蚊の多そうな土地柄に思えるのですが、草妖精たちは持ち前の勘と敏捷さで襲撃を避けているのでしょうか。
一緒に居て必ず刺される人と滅多に刺されない人の違いを想起させられました。でも”むずむず”するとしたら夜もなかなか眠れませんね。
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