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題名 剣の舞
登場人物 ラーファニース、ルシフェラース、プラユーン、アジハル
投稿者 樽野
投稿日時 2008/12/30 17:58:57


カーン砂漠を住処とする砂漠の民の部族「揺らめく炎」。
その村落周辺の砂漠に、古代王国の遺産といえる付加価値の高い品々が眠っているとの情報を、エレミアの魔術師ギルドが入手した。

魔術師ギルドはルシフェラースという名の少年を
筆頭として調査団を組織し、カーン砂漠へと派遣した。

一方、部族「黒く灼ける陽」の生き残りで、
「揺らめく炎」を仇敵として付け狙うアジハルも、
敵対部族との決着をつけるべく、悪意の砂漠へと向かっていた。
また、そのアジハルを抹消することを目的とする「揺らめく炎」の暗殺者プラユーンも、彼の動向を察知し、故郷へ向かう。


「揺らめく炎」の村落に潜入し、目立った天幕を襲うアジハル。
そこには族長の娘、ラーファニースがいた。
フレイルを構える彼女の口から、語られる2つのこと。

調査団の男から聞かされた話によると、「揺らめく炎」と「黒く妬ける陽」は、源流を同じくする部族で、その信仰の実像は同じ神を違った角度から見ているに過ぎないこと。
そして、先の戦いで陵辱を受けて妊娠し、精神に失調を来たしたアジハルの妹サラディアーシャが現在はラーファに保護されていること。

感情入り乱れる中、プラユーンの来襲を受け、アジハルは最大の危機に陥るが、白刃切り抜け、脱兎、闇の中に消える。
アジハルの「揺らめく炎」への侵入を許し、未だその命を取れずにいる失態を族長から責められるプラユーン。


アジハルは逃げおおせるが、自分を仇と追ってきた少年サマディに遭遇、少年を殺害する。

ラーファニースから知らされた真相と、自分の分身のような、少年の死。
アジハルは初めてやるせなさに打たれた。
血を伝う刀、それはかつてリヴァースの所持していた曲刀。
そこに刻まれた名の由来を記憶に上らせる。
かつて己の部族が部外者と融和する精神を持っていたことを。
今はただ一人で、なぜこうなってしまっているのか。
ここできままに亭での過去を走馬灯の様に思い返す。

他方、ルシフェラースらギルド調査団は、干ばつや水不足に苦しむ「揺らめく炎」の部族民たちに、エレミア国内への定住、同化を勧める。
闇のベールに包まれた砂漠の民を管理化におくことができれば、今後の調査・研究活動以外にも治安向上、技術の吸収などの効果が期待でき、王権や職人ギルドに対しても成果を主張できると目論んでいた。

ルシフェラースの硬軟自在な弁舌に、
ついに族長は砂漠を出ることを承諾した。

プラユーンは、密かに想い合っていたラーファニースと逢瀬する。
彼は、自分の最後の仕事として、己が部族を篭絡しようとするルシフェラースの命を取る腹積もりをラーファに語る。
事が上手く運ぶ可能性は低く、行く末の約束など、何もできない。
ただ、口付けをした。
だが間者により、その行為は族長の知るところとなる。
族長は激昂した。


族長とギルド調査団との調停に反する危険分子として引き出される、アジハルとプラユーン。

二人の関係を聞き及んだルシフェラースは、アジハルの復讐に関する執念を面白く思い、処刑される前に決闘してみせろと言う。

調査団の誘導で、ぞろぞろと列を作り故郷を離れる部族の民たち。
遠巻きに二人の様子を眺める。

この上、お互いが闘う意味を問うプラユーン。
調査団の気を引き、生き延びる為の口八丁に用意がない訳ではないと。
あの列に加わる意志さえあれば、新たにやるべきことも生まれると。

アジハルはかすかに笑みを見せた。
「私は己があのようになることを許せぬ。よって、お前達も許すことができぬ」
乾いた笑いを浮かべるプラユーン。
「よろしい、ならば戦おう。今は忘れられ埋もれよう、しかしこの記憶は、語り継がれる。民草が渡世に行き詰まった時、必ず何者かの意識にのぼろう。甲斐あることよ」
「望むところだ」
戦いが始まる。

魔術師たちの円陣の中央、舞うような戦いの果てに
黒々と一人の影がたたずむ、
アジハルはプラユーンを打ち倒した。
戦いを不愉快げに眺めていたルシフェラースの号令で、
光の弾が生き残りに向かって一斉に発射された。

最後は町の市場にて、ラーファニースに気遣われる身重のサラディアーシャが
兄のことを思い出すシーンで幕。





■ あとがき ■

自キャラ結末エピです。
長く頭にあったのですが書けなかったのです。
あらすじ程度ですが、けじめをつけたい魔力が働き形になりました。
矛盾などがありましたら申し訳ありません。
このキャラに関わって下さった皆様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。


この作品の感想をお寄せください
樽野さんの感想 (2008/12/31 11:40:20)[4]

皆さんレス頂きありがとうございます。
直接関わりを持てなかった琴美さんやこのキャラでまともにお相手できなかった松川さんにも読んで貰えるとは恐悦です。
独りよがりではないかと、時間差で死にたくなってましたから・・・。
で、色々強引だったと思いますが、こんな風になったよといりさんにはご報告。
ルシファ暗黒面の嫌らしさとかも描写したかったんですがねぇ。
アジハルを通してPL自身色々考えることができて、いりさんを初めとしてみんなに育てて貰ったと言うか、ほんとPL的にも有り難いキャラでした。
いりしお丸さんの感想 (2008/12/31 0:51:45)[3]

何ですかこの、喉をかきむしりたい無常感…。
あらすじなのに、砂塵の渦巻く情景が目の前に浮かんで仕方がないです。
それにしてもルシファに引導を下させるとは、たるさんも残酷だ。文句言えねぇ…。

滅びるしかない思想だからこそ、在り続けて欲しいと願うのに、と。
終止符に、歯軋りしながら、拍手です。
松川さんの感想 (2008/12/30 22:31:42)[2]

実は僕もアジハルとは微妙にすれ違っています。
でも、以前のEPでその濃さを堪能させていただきました。最終的に、ひとつの形となって収束するのは良いことですよね。
何はともあれ、お疲れ様でした。

台詞かっこいーなぁ……。
琴美さんの感想 (2008/12/30 21:16:18)[1]

タルノさんのキャラが活躍なさっている頃に私は参加しておらず、EPなどを拝見して想像するばかりだったのですが、ひとつの結末をこうして読むことができ、時間を隔てた傍観者なりにお疲れ様でした、とPLとPC両者にお伝えしたいと思います。長い旅路でしたね。
関わることが叶わなかったのが残念です。
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