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No. 00016
DATE: 1998/06/21 23:00:42
NAME: セリカ
SUBJECT: Dangerous・Road
リヴァースに刺されたあと・・何故か意識がある・・・。
「いてて・・・俺、死んだのかな・・・・。」
ふっと見ると、視界が横転している。何でだ?
「セリカ・・・・あなた、何で呼びもしないでこっちの世界に来ようとしたの?」
ふと横を見ると俺の剣に宿っていたヴァルキリー、ワルキリアが怒って俺を見ていた。
「って事は・・・・、俺は死んだのか?」
「アホ。じゃぁ何で横にリヴァースが居るの?」
そうだよなぁ、リヴァースが横に居るって・・・・しかも、視界が横転してるって・・・・。
「あんたも剣の中に入ったのよ。」
そうか・・・剣の中へ・・・って、え?剣の中?
「セリカ・・・。あんたは何考えてるかいっつも分からなかったけど、今回だけは何となく分かったわ。」
「へ?」
「あんた・・・死ぬつもりしてたでしょう?」
「・・・・そんなつもりは毛頭なかったぜ。」
「嘘。だったら何であたしをリヴァースに託したの?」
「う・・それは・・。」
「あんたのそーゆ所が気に入ったんだけど・・・。アイツ、ちゃんとヴァルキリーが付いてるわ」
「げ! それって・・・。」
「ふふ・・・まぁ、そーゆ事ね。」
「うーん。って事はコイツとずーっとまた旅をしなきゃいけないのか・・・・・。」
あ、そういえば俺に取り憑いてた奴はどうした?」
「あなたの体にまだ少しだけ遺志が残ってるみたいね。」
「ふぅん・・・。」
「まさか、セリカ、・・・・。」
俺がニヤリと笑うとワルキリアも何を考えてるのか分かったらしく微笑み返す。
「ったくモノ好きねぇ。」
リヴァースの会話が続く。俺は剣の中に居るってのに・・・・・・。
剣の中で聞いてるとこっぱずかしい事まで言い始めたので
とりあえず後でからかいの材料になるかもしれないと思い、聞いていたが、
段々可哀想になってきたので、何とかならないかワルキリアに聞いてみる。
「ふん、やっぱし。未練があるんじゃない。あなたの体に接触すれば戻るわ。」
「・・・うん?このまま喜びの野へ行くのも良いかな、とも思っていたんだが・・」
「やっぱり死ぬつもりしてたのね!」
「まぁ、良いじゃねぇか。」
「良くないわよ!」
「まぁ、そう言うなや。こうしてまだしぶとく生きてるんだからよ。」
そうこうしている内に俺は役立たずの墓標から自分の殻へ戻った・・・。
し、しっかし暗い体だのぅ。そう思っていると・・・・・。
「元の体の主か・・・。貴様、この体を取り戻しに・・来たか。俺の名は・・・レクサスと言う・・。」
「ふぅん・・まぁ、いらん事してくれたな・・・。その礼はしてもらうぜ・・・・。俺の体は高く付くからな。」
「何とでも言え・・その前に貴様に私が受けた恐怖を味わって貰おう・・・」
暗闇の中の暗闇が俺を襲う。その中に・・一条の光が・・・そこへ飛び込めば、何か・・あるのか?
その光の中で見た物は・・・・。古代、魔法が栄えた時代・・・その中でこのレクサスと言う奴は高位な魔術師だったらしい。
そして・・・魔法を過信しすぎて・・自分への信頼を一番しなければならない自分がそれをしなくなり・・・・。
魔法へ頼りすぎて・・、弟子に裏切られ恐怖の中で意識だけ封印され、自分の体は燃やされる。
その体の意識は繋がっていた・・いや、無理矢理繋げられていたせいで、痛み、そして炎が迫る恐怖・・・。
そんな中で、この暗闇の中で封印をされる・・・・。
「くっくく・・・この恐怖の中では耐えられまいて・・・・・。いくらお主が強靱な精神力の持ち主とは言え・・・。」
狂った顔の中での笑みを浮かべるレクサス。確かにそうだ。だが・・・・。
「・・・な、なにぃ、何故だ!貴様・・・・」
「悪いな・・俺はこの程度の恐怖では屈服しないんでね・・・まだ、やり残した事があるんでな・・・・。」
「な、何故だ!」
「教えて欲しいか・・・。
お前は自分を信頼していた弟子でさえ魔法の研究の材料へとしようとした。
そして自分の望み通りに全ていくとトチ狂った魔法への信頼のせいで一番大切な事を忘れていた・・・。
俺にはその大切な事をまだ強く残していたんでね・・・。」
「な、何だソレは!」
「信頼さ・・それも、過信ではなく・・・な」
数秒の静寂。重い暗さのが消え、体が明るく軽く感じる。
「成る程・・貴様、名を何という・・・」
「セリカ・カストロール。一介の冒険者さ。」
「そうか・・私の意識がまだ有るのなら・・・その名前を覚えておく事にするか・・・。」
「待て!」俺が制止をする。
「・・・どうした?」
俺の方に振り向く・・・既に狂った笑みは無く、清々しい顔となっていた。
「まだ、この世界に未練があるから、俺の体を使って何かしようとしたんだろ?」
「あぁ、そうだ・・・・。俺を裏切った世界への復讐さ。この世界を全て滅ぼす為の・・力を手に入れたくて・・・・。」
「ふん、この世界の違った面を見せてやろうか?」
「・・・貴様、まさか・・」
「俺の体に留まれ。そして違う世界を見せてやる・・・。もっとも、俺の一生を使わなければ無理みたいだが・・・。」
「くっくっく・・お前、普通の人間とはかなり違った考え方してるぞ・・・・。」
「・・・?そうか?」首をかしげる俺・・。
そして・・懐かしい音と声が聞こえる。体がゆっくりと回復をするのがかんじられる・・・。
「この声は・・・?」
体が動く様になったので目を開け、ゆっくりと体を起こすと・・・
「きゃぁぁあぁ!ぞ、ゾンビ!」
死んだ奴を見た様な顔をするサイノス。
「え?ゾンビ?ど、どこだ?」慌てて戦闘態勢を取る俺。剣を取り、レクサスにはとりあえず休んで貰う事にする・・・。
「セリカ・・兄さん・・・死んだんじゃ?」
「俺が本当に死んだ様に思ったか?」
「今回は・・・本当に・・・死んだかと思ったけど・・・やっぱり!」
抱きつくサイノス。周囲が安全かどうか見回しながら嗚咽が少し収まった所で聞いてみる
「サイノス・・・所で・・・・・?」
涙を浮かべながら俺に顔を向ける。
「何?」
「ゾンビは・・・どこだ?」
「冗談でしょ・・?!」
3人の笑い声・・・サイノス、レクサス、ワルキリアの声が・・・聞こえる。
俺は・・本気で言ったつもりなのだが?
まぁ、とりあえず・・・良かった。
BGM:君に触れるだけで (CURIO)
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