No. 00030
DATE: 1998/07/06 12:51:02
NAME: キリュウ
SUBJECT: 烈火竜巻斬!!その1
1.かまいたち
ミノタウロスは焦っていた。この洞窟に住み着いて以来、エサ(人間)は
抵抗らしい抵抗も見せずに、斧の餌食になっていた。
しかし、こいつらは違う、こいつらは俺を殺そうとしている。
アール、チルチル、ミチルは、舌を巻いていた。キリュウはミノタウロスの
攻撃を確実によけ、そして攻撃を加えている。
「ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ミノタウロスが凄まじい雄叫びをあげた。
一度後退して距離をとり、斧を振り上げると突進する。
「キリュウ危ない!!」
全員が叫んだ。しかし、ミノタウロスの雄叫びにかき消されて聞こえていないのか
キリュウはよけようともしない。
ミノタウロスは勝利を確信した。あいつは怖じ気づいたのか、動こうともしない。
あいつの頭を砕いたら次は他の連中だ、こいつらを喰ったら、ゆっくり休もう。
「!!!」
ミノタウロスの斧がキリュウの頭を砕くと思った瞬間、みなは声にならない悲鳴を上げた。
しかし、頭が砕ける音はせず、ただ、ミノタウロスはキリュウのすぐ横を通り過ぎていった。
何かが足りない。
ミノタウロスは不思議だった、何故自分の後ろ姿が見えるのか、そして何故そのからだには首と腕がないのか。
そのことに対し彼が答えを出す前に落ちてきた彼の斧が頭を砕いた。
グシャ
その音にみなは我に返った。彼らは唖然としていた、彼らにはなにも見えなかった。
ただ、キリュウが刀の柄に手をやり次の瞬間ミノタウロスの首と腕が飛んでいた。
「すごいな、キリュウいったいなにをやったんだ。」
「すごいですー」
「いったいなにをなさったんですか、私にはなにも見えませんでした」
「旋風流かまいたちにござる。」
賞賛を受けた本人は一言そう言うと、
ふと、何かに気づいてミノタウロスの腕を拾い上げ、切り口を見て顔をしかめた。
「切り口が荒いにござる。まだまだ、修行に不足がござったか。」