No. 00044
DATE: 1998/07/15 23:57:16
NAME: シェリル
SUBJECT: 新たな噂 in 盗賊ギルド
出来れば、この話は「幾つかの思惑(前編)」を読まれた後に読んで下さい。わかりにくい事をしてすみません。どうしてもこの題名を使いたかったもので・・・
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ある天気の日の昼下がりの事である。
「そうそう、ウィルさんの噂について新しい情報入ったんだ」
一人の男、そう、先ほどシェリルをウィルの部屋まで案内した男が得意げな表情で仲間に話し掛けた。すると、男の周りにたくさんの人が集まった。誰だって人の噂は面白いものだ。
「なんだなんだ?」
「実は・・・ウィルさんについての噂はゲイルがウィルさんを陥れようと流したものだったんだとさ」
この内容に集まった人は一様に納得したようだった。
「あのおっさんの考えそうなこったな」
「上に取り入って名ばかりの幹部の地位手に入れただけじゃ物足りないってとこか。よくやるねぇ」
「いくらなんでもあのウィルさんが女なんてことないよな」
がやがやと話をしているその時、偶然ゲイルがその場を通りかかった。そして、いかにも偉そうな口調で
「お前ら、何してるんだ! サボってないでちゃんと仕事をしろ!」
そう怒鳴った。仕方なく集まっていた男たちは自分の仕事に戻る。ゲイルはそれを見て満足そうな笑みを浮かべると、自室に戻っていった。しかしゲイルが立ち去ると再び話の輪が出来た。
「自分は仕事してないくせに良く言う」
「ほっんと、やな奴だよな」
「今回の事で幹部の座から落ちりゃいいのに」
人望のない事この上ない。普段どんな行動を取っていたのか言うまでもないだろう。
そうして再び盗賊ギルド内を新たな噂が広まっていった。
もちろん今回の噂にも盛大な尾鰭がついた事は言うまでもない。
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その日の夕方。ようやくゲイル本人の耳にも噂が入った。
「なんだと!? 私がウィルの小僧を陥れるために噂を流しただと? 何故そのような根も葉もない噂が立っているんだ!! その上・・・本当に女装癖があるのは私だと? ふざけるにも程がある!!」
ゲイルが部下に向かって怒鳴りつけた。部下もなれたもので気にもせず
「そう言われましても、もうほぼ全員に広まっています」
そう、続けた。
「一体誰がこんな噂を流したんだ!! ぼさっとしてないで調べてこい!! この役立たずが!!」
自分の事を棚上げにしてよくまぁ言ったものである。
「それはもう調べてきました。どうやらこの噂を流したのは、シェリルではないかと思われます」
「シェリルだと!? うぬぬ・・・あの小娘・・・もう許さんぞ!」
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と、いうわけで盗賊ギルド内では(あくまで盗賊ギルド内(笑))ウィルの噂は消え、ウィルは再び威厳を取り戻しましたとさ♪
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