 |
No. 00045
DATE: 1998/07/17 18:14:54
NAME: カルナ
SUBJECT: 絶対いや〜っ!
カルナは、妹のミレディーヌを捜しに行くという口実で、プリシスにある家からオランに出てきた。(実際は冒険者になるため)
そして数日がたった。
ヒトラウス家では両親が、ミレディーヌはとっくに昔に戻ってきたのにも関わらず、なかなか戻ってこないカルナにしびれを切らし、縁談話を持ってカルナを迎えに出かけた。
カルナは住処にしていた別荘で、アザーン諸島に行くための荷造りと、その間に泊まり込むリデル(セシーリカの同居人)のための片づけに精を出していた。
そして事件が起こった。
贅沢な装飾の程された馬車がカルナの別荘の前に止まり、中から男女の貴族が出てきてカルナの別荘のドアをたたいた。
ドアを開け、二人をみたカルナは思わず叫んだ。
「お父さまにお母さま!一体どうされたのです!!」
「どうもこうもない、お前がなかなか戻ってこないから迎えに来たのだ」
カルナの父、アルドが苦虫を噛みつぶしたような顔で答えた。
「えっでもまだミレディーヌが見つかっていませんわ。って、お母さま!!!」
カルナの母レイラが、部屋の奥へずんずん進んでいき、カルナはそれを止めようとアルドに背を向けた。
カルナの背後から、アルドが口を開いた。
「ミレディーヌは家に戻っているぞ、しかもお前に会ったと言っていたぞ。」
(ミレディーヌの裏切り者ー!!!)
そのときおくから、レイラの声がした。
「あら、カルナは家に帰る準備をしているじゃない」
(そっそれは、アザーン諸島へ行く準備・・・)
内心焦りながら、カルナは笑顔で答えた。
「ええ、そろそろ家に帰ろうと思って、荷造りをしていたところなのよ」
「おお、そうだったのか、なら早くそれを言わんか」
アルドの顔がゆるみ、さらにこう続けた。
「よかった、よかった。再来週あたりにお前とミルディア家のジョセフとの婚約発表があってな、お前が戻らなければどうしようかと思っていたのだ。」
カルナは、アルドの言葉に真っ青になった。
(冗談じゃないわ、あんな男と結婚なんて死んでも嫌っ)
「お、お父さま、荷造りがまだ終わってませんの、もう少し待っていただけませんか?」
(この隙に裏口から逃げよう)
しかし、カルナの思惑どうりにはいかなかった。アルドがめずらしく手伝うと言い出したのだ。
カルナは荷造りの続きをはじめるふりをして、荷造りの済んでいるだけの荷物を抱え、片づけを中断し、両親を突き飛ばし姿をくらました。
(もうしばらく別荘に戻れない・・・幸いあそこは人に貸すことにしているし、27日からはアザーン諸島に行く予定だから、しばらく姿をくらまして、ほとぼとりが冷めてから戻ってこよう・・・)
某宿で一晩を過ごし、翌日、カルナは重い足取りで「気ままに亭」へと向かった。
 |