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No. 00083
DATE: 1998/10/23 23:24:18
NAME: ファークス
SUBJECT: 神秘竜の探索
その名はグレート・フェルド・バラン! 神秘の竜!
神々の力で創造された大いなる竜は、暗黒の神によって、その身体を裂かれたり! しかし、引き裂かれた神秘竜の身体を集めると、光の竜は蘇り、
蘇らせた者の願いを叶えるという…。
…遙かなる大昔、神話の時代。 至高神ファリスは、輝く正義の光を凝縮させ、神秘竜の頭蓋骨を創り上げた。 次に、慈愛を司る女神マーファは、全ての者を愛するその心で、神秘竜の左角を創造する。 更に戦いの神マイリーはそのほとばしる勇気を右角にかえ、知識の神ラーダは溢れる知識を左目にした。 そして、幸運の神チャ・ザの平和と幸福を思う気持ちは、神秘竜の右目を創り上げた…。 神秘竜は神々にこの上なく愛された。 しかしこれを快く思わない者がいた。 暗黒神ファラリスである。 暗黒神は神秘竜の身体を五つに引き裂くと、大陸にその亡骸を捨てた。 …かくして、神秘竜は永い眠りについたのである…。
私は大魔術師にて大予言者。 私の力によって、神秘竜のパーツの大まかな場所が、一つを除き判った。 以下にその場所を示そう。
頭蓋骨(ゴールデン・スカル)…氷結海の彼方の地。 古代神殿の跡地。
左角(ミスリル・ホーン)……… ?
右角(シルバー・ホーン)………旧帝国跡。 ザインから南の地。
左目(ラピス・アイ)……………南海の海の底。 暗礁と霧に包まれた島。
右目(ルピス・アイ)……………熱砂の中心。 悪意の砂漠に眠る。
神秘竜は復活しても、暗黒神の呪いのためにまたすぐ分裂してしまう。
しかし、神秘竜を蘇らせることが出来れば、魔法王の座も、永遠の命も、最高の名声も、巨額の富も、世界中の美女も思うがままなり!
「まさかカーン砂漠の地中に有った壁画から、こんなのが見つかるなんて…な。」蒼い髪とマントを風に流しながら、1人の青年が自由人の街道を歩いていた。 若者は年の頃は20代前半といったところだろうか、腰に剣をさげてはいるものの、彼の着ているクイルブイリ(=皮鎧)を見ると、あまり傷が付いていない。 よほどの手練れなのか、それとも新米なのか…。
「とにかくオレ1人じゃ無理だ。 仲間がいる。 この“神秘竜の探索”には…。 待っててくれ…、ミーシャ。 必ず、お前を救ってみせるからな…。」
「クックック…。 誰を救ってみせるだと…?」
「っ!?」
顔を上げた青年の前に、数人の男達が立ちふさがった。 薄汚れた皮鎧を着込み、下卑た笑みを浮かべながら手に手に得物を構える。
「…何だ? お前たちは…。」
青年の呼びかけに、男達の後方から真っ赤なフードとローブに身を包んだ
男が前へ進み出た。
「…我が名はダレストナ。 “赤き軍師”とでも呼んで頂けたら、幸い…」
「…そんなことは聞いていない。 その態度は何だ、と聞いている。」
「フム、なかなか気が短いと見えられる。 …よろしい、用件を言いましょう。 …あなたが持っている、その水晶球、それを渡して頂きたいのですよ。 勿論、タダとは言いませんが…。」
「水晶球…? ハッ! 持っちゃいないぜ、そんなもん。」
「クックック…。 ウソは、いけませんな。 若者よ…。 長生きをしたくはないのですかな? あなたが水晶球を…「ルピス・アイ」を持っているのは、知っているのですよ…。 さぁ。 この者達もいつまでもおとなしくはしていられませんよ? おとなしく渡したらどうです?」
「…悪いけど…、俺の為にも…アイツの為にも…。 コイツは必要なんでな…。」
「まったく、馬鹿な男です…。 お前達!」
赤き軍師の呼びかけに、ちんぴら達が応える。
「ハッハー! 兄ちゃん。 ま、強情なのがイケナイわけよ! 殺す前に、
兄ちゃんの名前だけは聞いといてやるよ! なんてーんだ?」
「…俺の名はファーレスト・ゼルダ・マーシャル・ミクスロアー。 通称
ファークスだっ! 名前ぐらい、聞いたことが有るだろう…。」
青年はマントを背に回すと、腰の剣を引き抜いた。 “星の雷”と呼ばれる
その剣は、担い手の感情を読みとり、“想い”を“力”変える。
「いくぞ!」
月明かりが静かに地面を照らす中、1人の青年がオランの街に辿り着いた。
「まずは、仲間を捜そう…。 仕方がない、アイツを頼ってみようか…。」
何気なくそう呟くと、青年は蒼いマントを翻しながら歩いていった。
青年の鎧は、傷一つ付いていない、真新しい物だった…。
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