No. 00004
DATE: 1998/11/17 22:27:25
NAME: ラッド
SUBJECT: ケンカの終末1
ことの起こりは、家内とケンカして飛び出した事だった。
いつもならば、一週間とかで帰っていたのだが、今回は帰れなかった。
現在のおこずかいの金額は、月50ガメル。
そこから、冒険の費用とか、仕事場での昼食代などをやりくりしている。
そして、一週間に一度の楽しみである、酒場へ喋りに行ったりする時もここから出している。
が。
結婚当初のおこずかいの金額は、彼の稼ぎの約半分。
多い時には、2000近くも稼いでいた彼にとって、自分のおこずかいの金額は決して適度ではなかった。
むしろ、もうちょっと減らしてもよかった。
だが、ケンカする事が多かったこの夫婦。
気がつけば、財布は家内の方にあった。
「もう少しやさしい言い方ぐらい、出来るだろ!!」
「何言っているのよ!だったらこっちの事だって考えてよ!!」
「うるさいな!じゃあ、オレが外に行けばいいんだろ!!」
「勝手にすればいいじゃない。」
この夫婦のケンカの結末はこんな感じ。
しかし、いつ頃からか、このケンカをするたびにおこずかいが減って来たのである。
「・・・・オレのこずかい、これだけだっけ?」
「いやなら返して。」
「・・・・・・・・・これでいいよ。」
ボキャブラリーのとぼしいラッドは、これ以上の反論は出来ない。
こんな感じで減ってきたこずかいである。
だが、今回のケンカは酷く、いつもならば決して言わない言葉や中傷までお互いに飛びあった。
もちろん、普段ならば決して飛ばないお皿なども飛んでいた。
その後、ラッドは酷く後悔した。
が、あやまりにいけば必ずおこずかいをなくされてしまう。
そんな危機感がある。
だが、家に帰りたい。
反対なる二つの感情に振り回されて数日、ようやく彼は結論が出た。
「なにか珍しいものを手土産にすれば・・・」
そこからすべてが始まることに彼は気づかず歩く。
家から歩いて二ヶ月以上かかるここに来てしまう事もわからずに。