No. 00010
DATE: 1998/12/01 19:38:24
NAME: ラフティ
SUBJECT: アーバスト様へ(全文下位古代語)
拝啓。
先日のディーサス族襲撃の際には本当にお世話になりました。
アーバスト様には真相を知っていただきたく、ペンをとった次第です。
まずそれにはディーサス族についてと、サキール・リングなるものについて
説明しなくてはなりません。
少々長筆になりますが、ご容赦ください。
ディーサス族は先にお話した通り、森を追われたダークエルフの一族です。
彼らと私達のバルトーク一族が争っているのは、彼らとの怨恨があるわけで
はなく、彼らが私たちの部族に伝わる秘宝「サキール・リング」を狙って
いることに端を発しているのです。
「サキール・リング」とは、私達の部族に伝わっている限りでは、
地脈を操作する力を持っているとされています。この力を利用すれば砂漠
を肥沃な土地にすることも、逆に砂漠化させることも出来ます。
私達はこのリングを持っている訳ではなく、それを発動させるための
呪言と秘宝の在処が記された書物を持っているのです。
私達は砂漠が肥大化した時にしか使用してはならないという掟があり、
その肥大化を食い止めるためにしか使用できません。
しかしディーサス族はこのリングを自分達を追いやったエルフ達の森を
滅ぼすためにこのリングを手に入れようとしているのです。
その復讐に対する念はすさまじく、この抗争はすでに5年にもわたって
続いています。
そして、話が変わると思われるかもしれませんが、私がオランに来たのも、
ディーサスが図書室を襲撃したのも、関係があることなのです。
オランの図書室から盗まれた「中原伝承録〜8〜」には、私達の持っている
伝承には欠けている、砂漠化への呪言やリングが収められている遺跡そのも
のの情報が書かれているのです。
私が図書室に通い詰めていたのも、この持ち出し禁止の書物の写本を作る為
だったのです。ディーサスはそれを奪っていきました。
私は部族長の娘として、あれを取り戻さねばなりません。
その為に奴等を追います。
取り戻したならば、写本を取らせて頂いた上で、必ず貴館にお返し致します。
短い間でしたが、本当にお世話になりました。
ラフティ・バルトーク