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No. 00013
DATE: 1998/12/04 23:25:35
NAME: アーバスト
SUBJECT: ラフティの足取り(2)
ラフティさんを追う旅 01「出発日」 記:アーバスト
「こんなにも、多くの方が…ですか…。」
4日。 早朝の西門に来た私は、そこで人の集団を見かけました。
集まってくれたのですね…。 ラフティさんを助けるために…協力をしてくれるために…。
一人一人お礼を言うものの、みんなお礼を素直に聞こうとはしません。
「彼女にお世話になったから、助けたいです。」
「報酬など要らない。」
「困ったときはお互い様です…。」
そうです、そう言ってくれるからこそ、私はみなさんにお礼を言いたいのに…。
本当に、ありがとうございますね、みなさん…。
リード卿が全面にわたって用意してくれた、馬車や馬、それに食料や雑貨。
あの人の援助が受けられなければ、なにも行動には移せなかった。
あなたにも、お礼を言いますね、そして…。 最期まで行ってやりたい、
行きたいと言っていたファークスさん、あなたにも、感謝をしますよ。
「みなさん…伝言板に書いた私の依頼、これだけの方に集まっていただき、感謝の言葉も
ございません。 一人の少女が…忌まわしき者に、挑もうとしています。 その少女の
名は、ラフティさん。 この中には気ままに亭という酒場で、彼女と親しくなられていた方も
おられるか、と思います。 ダルスさんという方から、北門より彼女は出発したとの報を
頂いています。 街を出て、すぐに北方へ進路を取ります。 …彼女を護るために、
みなさんの全力、しばしお借りいたします…。 …出発!!」
「オォーーーッッゥ!!!!」
その声を合図に、門が軋みながら開いていく…。 次にこの街の門をくぐるとき、我々と
共に、ラフティさんがいますように…。
土煙を上げながら馬車は進んでいく。 出発して一時間も経たないうちに、カールさんとカルナさんが
やってきて、私に言ってくれた。 …身体が憔悴しきっているから、すこしでも休んだ方が良いと…。
私は笑顔で答えようとしたのに…なぜか、疲労した顔を隠せなかったようですね、断る私に、
セシーリカさんが“無理矢理”寝かせてくれました…。
起きたときは…不覚でしたね、もう日が暮れかかっているとは…。 ようやく起きた私に、
みんなが微笑んでくれる。 すこし罰が悪かったですが、今後のことを考えると、休ませて
頂けたのは良かったです。
この日の夕方、皆で輪になって食事を取りながら…、事件について整理をしました。
話を聞きながらも、キリュウさんは剣…とはすこし形が違いますが…の手入れを怠らない。
あの日…気ままに亭に現れた、魔物に振るわれた彼の戦力は、大きな期待が出来ます。
ぶっきらぼうですが、その鋭い視線に感じるのは…ルルゥさん、あなたも戦いの手段を持って
いるのですね…。 パーンさんも、いざというときに備えて…と食事をしっかりとっている。
ゼザさんも、食事中でさえ、周囲の警戒を怠らない…。
結局、事件の話を整理するというより…一刻も早く合流したいということと、ラフティさんを
助けたいという意気込みの確認だけになりましたが…。 それで良かったです。
食事の後、数人からの提案。 …月も出ているし、風も止んでいるので、少しでも進んだ方が
良いのでは……、と。 頷き、皆に事情を話す。 二つ返事での皆の応答に、私たちはさらにこの日
足を進めた…。 しかし、すでに2〜3日の距離があいている上に、向こうは単独、こちらは集団…。
どうしても、追いつくのは難しいですね…。
闇の中に何処までも延びている道。 …彼女がここを通ったのは、いったいどれくらい前なのか…。
焦る気持ちだけが、夜の街道をひた走る…。
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