No. 00027
DATE: 1998/12/14 16:20:27
NAME: エリアノーア
SUBJECT: 生い立ち
わたくしは、プリシスに生まれました。ミルディア家の長女にして、第2子でございます。
わたくしは巷で言う「取り替え子」・・・人間同士の親から生まれたハーフエルフでした。
それでも、わたくしは今まで幸せでした。少なくとも不幸ではなかったと信じております。
父さまと母さまがいらして、お兄さまがいて。みんなわたくしを育てて下さいました。半妖精は、特に取り替え子は、生まれてすぐに捨てられてしまうことがよくあるそうですから。
・・・半妖精や、取り替え子自体、滅多にいないものなのですけれども。
でも、不満を申し上げれば、父さまも母さまも、わたくしを外に出して下さらなかったことでしょうか。
わたくしは、6歳になるまで、座敷牢・・・と呼ばれる場所で育ちました。ご存じでしょうか? ありていに申し上げれば、わたくしは部屋に鉄格子をはめられた状態で、その中で、一歩も外に出ずに過ごしたのです。
それでもわたくしは幸せでした。使用人の皆様はわたくしのことを快く思っていなかったのですけれど。でも、仕方がないと、以前までは思っていました。だって、人という者は、自分と違うもの・・・異質なものを嫌い、嫌悪する傾向がございますから。
わたくしはお兄さまの特別の計らいにより、プリシスの実家から、オランの別荘へと移りました。そこで初めて、わたくしは外の世界、と言うものを知りました。
わたくしは別荘でたくさんのことを学びました。剣の扱い方、知らない国の言葉や知識、乗馬の仕方・・・他にも、たくさんのことを。
それは当然のことだと思います。わたくしは、15になれば、家を出なければならないのですから。え? なぜですって? それは、先ほど申し上げたとおり、わたくしが取り替え子であるからです。父さまと母さまは、わたくしがいることでとても悲しまれるのです。
だから、家を出ても自分の力で生きていけるように、いきるすべを学ぶことは当然なのです。
気ままに亭は、とても雰囲気のいいところだと伺いましたわ。
カール様やカルナ様がよくいらっしゃる、と言う話を聞いても、わかります。
わたくし、冒険者になってみようかしら。
他に、選べる道は、あまりございませんし・・・。
この話を聞いて、ミレディーヌは溜息をついた。
「・・・本当にあんた、ジョセフの妹なの?」
とてもそうは思えないんだけどねぇ・・・・。