 |
No. 00048
DATE: 1999/01/14 13:26:15
NAME: リデル
SUBJECT: 日記(というより回想録)
12の月、某日。
僕は二件隣に住んでいる賢者の学院の先輩の家を訪ねた。
精神施療院に入院して少したった頃。ずいぶんと症状が快方に向かっているのでと、先生が外出許可をくれたのだ。
先輩の家にはリリアという12歳になる女の子がいる。黒い髪に黒い瞳、よく「気ままに亭」に出入りしている女の子だ。僕とは、家が近所のせいもあり、結構仲のいい友人同士だ。
外出をしたのは、そのリリアちゃんが、数日前から風邪を引いて寝込んでいる、と聞いたからだ。
つまりはお見舞いである。
「あら、リデルくん、いらっしゃい」
扉を開けると、リリアちゃんの叔母さん・・・つまり僕の先輩が出迎えてくれた。
リリアちゃんには両親がいない。だから叔母さんが引き取って育てているのだ。その当たりも、僕とリリアちゃんが仲良くなった原因の一つかもしれない・・・と思うことがある。
叔母さんは、リリアちゃんと同じ黒い髪に黒い瞳の、みたところ20代前半の女性。だけど、本当の年は、30代前半。童顔なのだ。
その叔母さんはにこりと笑うと、僕を家の中まで招いてくれた。
「リリアねぇ・・・誰にも会いたくないって部屋に閉じこもっちゃってるのよ。お見舞いにわざわざ来てくれたのに、ごめんなさいね」
お茶を入れてくれながら、申し訳なさそうに言う。
「・・・会いたくない?」
「ええ。ちょっとやっかいでね・・・やっぱり、あの顔になっちゃうのは、女の子じゃあ辛いわね・・・」
どういうことなんだろう。
ハーブティーのカップを口に運びながら、僕は首を傾げた。
「いやっ! 会いたくないのっ!」
リリアちゃんは、部屋の扉を閉めてそう叫んだ。
「リリア。でもね、せっかくリデルお兄ちゃんが来てくれてるのよ?」
「恥ずかしいもん!」
困ったわねぇ、というように叔母さんは肩をすくめる。
「お兄ちゃん笑わないから、開けてくれないかな?」
僕はそう声をかけてみた。女の子の顔に対する意識は結構凄いものがある。・・・まぁ身内に例外はいるけど。
「・・・ほんと? 笑わない?」
「うん。約束する。お兄ちゃんだけに見せてごらん?」
ややあって、きぃ、と扉が開いた。叔母さんと僕は、顔を見合わせてホッとした。
そして・・・リリアちゃんを見て、僕は・・・目を丸くした。
耳の下あたりが腫れている・・・それもかなり。
炎の精霊の悪戯・・・おたふくかぜ。
やっぱり、会いたくないってわめく気持ち、少しは分かった・・・・。
1の月2の日
年が明けて・・・・
・・・うつされた。
リリアちゃんは元気に遊び回っているのに・・・・(涙)。
ヒム先生にも「これは立派に腫れましたねぇ」なんて感心までされた・・・。
先生、それは違います・・・(涙)
 |