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No. 00050
DATE: 1999/01/17 05:17:54
NAME: ラザラス
SUBJECT: パティオ孤児院の未来
1の月16の日の晩の出来事。
ラザラス(ラーダ高司祭、30代後半、人間、男)がきままに亭に訪れ、孤児院パティオ解体中止の署名をした者と話がしたいと言ってくる。
結果、リード(容姿データ参照)と話すこととなる。
ラザラスがもたらした内容は以下のことであった。それは孤児院を守ろう、または孤児の引取先を探す者たちにとって衝撃的なことであった。
孤児院パティオはシルク婆さんという一人の資産家が慈善事業でパティオという孤児院を空き地に建てた。その場所は国有地であったが、孤児院ということもあり、役人は見て見ぬフリをしていた。
しかし、最近になってその土地を購入した貴族フォーマ卿がいた。
フォーマ卿は孤児院を取り壊し貴族専用の社交場を作り、そこで金儲けをしようとした。
上辺だけ見ればそう見えたこともあり、深い事情を知らない者たちは反対の声を上げ、署名運動をはじめてしまった(伝言板参照)。
この署名運動が広まりを見せ、フォーマ卿の叔父であるヨークシャル卿の耳に入った。
叔父はフォーマに問いただし、事のあらましを説明せさた。
すると、フォーマは孤児院の子供たちが悪さをして商店街や近隣の住人に被害が出ていることを証した。
ただ、その子供たちという確たる証拠はなく、衛兵に訴える訳にもいかず困っていた。
それで、あの土地を買い、社交場を開き儲けたお金で商店街や近隣の市民へ弁償しようとしたいと説明したのだ。
「子供たちには悪いかも知れないが、あの孤児院が温床になっている以上ダメなんだ。なんとかして被害を押さえたかった」
と熱弁を振るう甥の姿にヨーシャルク卿はいたく感動し、「その件は私に任せろ」と言ったのである。
確かに、近隣の民家や商店街では犯人不明な盗難が相次いでいる。住人も不明な犯人像に怯えていた。
そんな中、孤児院に視線が集まったのは、時々高価な食べ物を持ち歩いていたりするのを目撃されたからである。噂は不信感をさらに煽り、衛視も役に立たないため、よけいに憎しみは不振な子供たちに向けられていった。
そんな中に、土地を買い取り、孤児院を潰そうとする貴族が現れたのはまさにヒーロー的存在であった。
周囲の住人は賛成し、フォーマ卿の株は上がった。
その最中に、一方では取り壊し反対の署名が広がっていたのである。
ヨークシャル卿に呼ばれたラザラスは反対者を説得し、騒動が起こらないように処置せよと命ぜられた。
ラーダ神殿に寄付している貴族には頭が上がらないのが神官の辛いところではあったが、珍しいことでもないため愚痴をこぼしても始まらず、単単に処理してしまおうと思っていた。
しかし、ふたを開けてみると奇妙なことが明かとなる。
孤児院というものは大概はどこかの司祭や神官が管理しており、孤児の育成を計っている。
それなのに、パティオ孤児院はどこの信者も在籍しておらず、近所のボランティアの民間の手で管理されていることであった。
たまに、マーファ信者が手伝いに来てたこともあるが、在籍して手伝うことまでは到らず、どの信仰の色にも染まらない孤児院であった。
多くの孤児院は慈愛を司るマーファ信者が手をさしのべ、都心に集まってくる孤児たちを集め、田舎の環境の良い神殿に預けるのである。マーファは地方に土地を持っており、また未開拓な土地にもどんどん進出して田畑を確保している。田舎の神殿に預けられるのは孤児ばかりでなく、怪我の治療費を払えなかった者や、職を失って路頭に迷う者も含まれている。彼らは治療費の代償や、日々の食事の代わりに労働をするのである。慈愛の力で働くこと、土を耕すことのすばらしさを教え説いているのであった。一人立ちできるようになったり、治療費を払い終えた者は自由になれるのである。もっとも、治療費を踏み倒す人々が大半ではあるのだが。そのため、子供たちにはそのような大人に育たないよう厳しくしているとも聞く。
ラーダでは預かる孤児たちの数はあまり多くなく、段階によって試験を受けさせられ、落第する者にはひどい仕打ちが待っている神殿もあった。もっとも逆に賢い者はラーダの導きを若い頃から受け、立派な信者に育っていくこともあり、孤児院のあり方に賛否が上がっているが、上下関係が厳しい世界でもあるため試験否定派は表だって行動はしていない。
チャ・ザではマーファと違い、農作業以外の仕事を覚えさせ、働くことの大事さなどを教わる。大抵は商人の元へ丁稚奉公に行かされ、給料を神殿に納めている。それでも、孤児の身から救い、毛布とパンを与えた恩を忘れる孤児は少ないため、トラブルなどはあっても神殿に入らないように隠している(例外はもちろんある)。
ファリスでは、孤児が窃盗や乞食をしていては街や国の秩序が乱れかねない。だからといって、孤児を排除することもできないから、神殿でファリスの教えを叩き込み、更正させてしまおうというのが、ファリスの孤児院である。規律は厳しいが、ムチと飴と同じく、飴役の神官も存在しているため、不満はありつつも脱走などはごく少数にとどまっている。その実態を知るとしになる頃には神の教えに目覚めたり、居る場所ができたりしていて逃げ出すことをあきらめてしまうのである。
マイリーは神殿に助けを求めた者や、信者が「これだ」と思った孤児を拾ってきては戦い方や生き方を教え説くのである。孤児を引き取っている数も少なく、団体行動的に孤児たちを管理したりはしないのが特徴。信者が真剣になって育成に当たるため、脱走者などは皆無に等しく、そのほとんどが深厚に目覚めるという驚異的な数値を出している。
これ以外に、信者が神殿でなく孤児院単独で開いている場合もある。この場合は貴族などの後ろ盾や、なにかしらの財産を持っていたなど資金確保ができる者に限られる。こうした場合、大抵強要する育て方はなく、非常にのびのびと子供たちが育つ。
ともあれ、各神殿は信者獲得、教えを広める格好な人材でもあるため孤児受け入れを拒むことは少ない。
「おかしいな」
ラザラスはこのことから神殿関係者のいないパティオ孤児院を不振に思ったのだ。
彼はさらに、孤児院に関する資料を調べることにした。
それから、反対運動をしている人の声を聞くべく、きままに亭に訪れたのだ。
相手がどんな情報を持っているかを定かにしないことには解決はできないと判断としたためである。
会話の最中、こういうやりとりがあった。
ラザラス:「神殿では孤児を引き取りますよ」
リード:「どの神殿も断られた。チャ・ザ神殿ですら一週間が限度だと」
思いの他の言葉が返ってきた。ラザラスは神殿が孤児を引き取らないことが不思議だった。マイリー神殿辺りなら、無作為に押しつけられる孤児などは責任が持てないということで拒否するかもしれないが……。
そんなとき、昨夜調べた孤児院の資料と、神官から聞いた噂を思い出した。
孤児院パティオがファラリスが関わっていることである。
ラザラスは宝物管理を任されているため孤児院部門の情報は乏しい。
各神殿の孤児院部門は信者の在籍しないパティオ孤児院を前々から不振に感じていたのだ。その理由をそれぞれが考え出した答えがファラリスの影であった。
しかし、確たる証拠もなく、孤児院部門は他の信者との交流もすくないため、調査をすることなく封印してしまおうと考えた。だからパティオ孤児院は不振な存在なままでも存在し続けられたのである。
リードは信じられないと答えたが、脳裏によぎる何かを思いついたらしく、完全には反論しきれなかった。
ラザラスもまた、ファラリスの仕業にするには早急すぎると考え、その場に居合わせた人たちに協力を願い出た。
結果、魔術師ギルドのレスダル女史、エスメラルダ、レイシャルム、リード、カールが引き受けた。
カールの頭の中ではフォーマ卿の人身売買の噂のことがついて離れなかった。
ラザラスは翌朝、遣いをきままに亭にこさせると伝えてからその場をあとにした。
一人内心シェウエルもこの件に絡もうと企んでいたことは誰も知らない。
<つづく>
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1/16〜17にかけての出来事です。
これで孤児院取り壊し件の一部です。
他に、犬頭巾が人身売買の件で調査に動いています。
ユーシスは断られた神殿を見限り、どこでもいいので孤児を引き取ってもらえる先を探して回っています。
トゥナティーウも署名を集め孤児院解体を止めようと動いている。
レスダルの息子の友人がパティオ孤児院の子供と友達であり、解体に反旗を翻そうとしている(宿帳参照)。
これらも含め、孤児院解体の話は進んでいきます。
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BY ラザラスPL
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