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No. 00066
DATE: 1999/01/23 22:01:02
NAME: ラザラス
SUBJECT: シャウエルの行動
シャウエルの行動1/17〜20
「よし、オレも頑張ってファラリスのシッポを掴むかな」
酒場で話を聞いたシャウエルもまた、レイシャルムと同じように協力する気になっていた。
さっそく翌日から孤児院周辺へと出かけるが……。
「あ、こんなところに空き箱が捨てられている。ダメだなぁ、街の美化が損なわれるじゃないか」
ゴミを見つける度に目的を忘れるシャウエルであった。
思い出しては、忘れ、思い出しては、忘れ、となかなか調査が進行しないシャウエルであったが、重要な人物に接触できたのは彼だけであった。
「はっ、また世界征服活動をしていた。今はそれどころじゃないはずなのに。確かフォーマというやつに孤児院の解体を止めるように言うんだったよな」
彼の頭にはファラリス調査のことはすでになくなっていた。
フォーマはシーフギルドの手の者に監視され、彼に接触する者全てを監視されていた。孤児院のことを嗅ぎ回る冒険者たちは全て調べられていた。その中にシャウエルの名前はなかった。
「出かけるところだな。ちょうどいい」
フォーマ邸の前に現れたシャウエルは、今まさに馬車に乗り込もうとしていた所であった。
「ちょっといいで……」
声をかけようとしたところで、シャウエルは石に躓き、顔面から転んでしまう。
「あつつつ」
「なんだこの者は」
「あんた、フォーマだな。この人身売買の悪人め、今度は何を企んでいる!」
シャウエルの頭はあさってを向いているらしい。先ほど考えていたことと言うことが違っている。
その言葉に、側に控えていた家臣が抜刀する。
「なんだ貴様はっ」
「オレはシャウエル! バカNo.1だ。孤児院を解体なんかさせないぞ」
やっと少し考えていたことが戻ったらしい。
「……フォーマ様っ」
「ははっ、面白い奴だな。忙いでいるんで馬車の中で話を聞こう」
「そんな、こんな得体の知れない者を」
「かまわん、悪いやつではなさそうだ。あれを見ろ」
フォーマの指さした先に柄しか存在しない剣(剣と呼べればだが)が落ちていた。無論シャウエルのものである。
こうして、シャウエルはフォーマの馬車へ乗ることとなった。
要領の得ないシェウエルの話に、フォーマは何度も笑った。
一方的な質問と罵声を浴びせられたフォーマはシャウエルに向き直ると口を開いた。
「おまえごときまでに、人身売買と言われるとはな。ここ最近聞かなかった言葉だけに少し胸が痛んだよ」
フォーマはシャウエルを見据えて答える。
「人身売買は行っておらんよ。ただ、人買いはしていたがな」
悪びれた様子もせず、何を思ってか口元が笑う。
「領地の村々からメイドを買い取るとふれを出した。選考会で一番を出した村にはさらに報奨金もつけた。その結果、村々から争うように娘が出してきたのさ。だから人買いであっても、彼女らを売ったりはしてない。覚えのない事をさも私がやったように言うのはよしてほしいね。」
「まぁ、確かにそれをきっかけにキミと同じようなことを言う奴がずいぶん現れたことは確かだが。それが元に、私が斡旋して孤児院の子供を売りさばくと推測したとは、なかなかの想像力だな」
「なに、言いたいことが違った?」
「ファラリスが孤児院に関与しているかもと? それはどこから得た情報だ」
「ラーダの司祭から? きままに亭で聞いた?」
「ふん、私も解体作業に冒険者を使おうと試みたが、まったくと言っていいほど集まらなかったな。もう少し騙し言葉で集めるべきだったな。解体作業には後腐れのない冒険者と思ったが、甘かったようだ」
「で、ファラリスの息がかかった孤児院だったのか?」
「わからん? キミはラーダ司祭の依頼で動いているんじゃなかったのか?」
「違うって? 自分の意志だと? ほう、大層お人好しなんだな」
「冒険者は金が絡まないと動かないと思っていたが、どうやら考えを改めなければな」
「確かに孤児院の子供が悪さをしていないのであれば、私がしていることは悪そのものだな」
「近隣住民の支持があるのは知っているのだろう? 私は私のやりたいようにさせてもらうさ。あの孤児院は解体しなければならないんだ。絶対に……」
「子供たちの行き場? 他の者がなんとかしてくれるだろう」
「無責任と取ってもらって構わないよ。そこまで配慮する余裕はないのでね」
「そろそろ到着だ。楽しかったよ。シャウエルくんといったかな。道化としてうちに遣える気はないかね?」
「まぁ、返事は後で構わないよ。私が生きているとも限らないしね」
そうしめると、フォーマは城の前で馬車から降りた。
シャウエルは一人悩みながら街をうろつく。その間、シーフギルドの手の者が彼を襲おうとしたが、幸運か悪運に守られ、どれも未遂に終わる。しかも、襲撃が起きていたことすら本人に気がつくことなく。
そして20日、レイシャルムとカールが襲われている場面に出くわすこととなる。
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