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No. 00081
DATE: 1999/02/04 19:49:39
NAME: エティ・フェルシュライン
SUBJECT: エティ、結婚!
神官の厳かな声が、気ままに亭に響く。(つっても、俺の上司だが)
仲間内だけの小さな結婚式だ。もっとも、俺はこっちには着いたばっかで
仲間と呼べる存在はほとんど居ないが。アルムーンは、弟が見に来てくれた。
ほんとの肉親ではないそうだが、俺にとっては弟だ。
今日出会ってまだ4時間しかたってないのに。アルムーンの方をちらっと見る。
アルムーンが、俺を見て小さくほほえんだ。そうなんだよなあ。
この笑顔に惚れたんだ。改めてアルムーンを見つめる。俺が選んだドレス
だったが、やはりよく似合う。
「このドレスは、こいつしか着れないな。」
一人で呟いた。気恥ずかしさが先に出てしまう。
店にいた他の仲間たちが祝福の言葉を述べる。泣いてしまいそうだった。
そしてついに、指輪を交換するときが来た。
俺は指輪を慣れない手つきで借り衣装から取り出した。
アルムーンがすっと手を出す。俺は頷いて、震える手でアルムーンの指にはめた。
指輪が淡い光を放つ。この指輪は、俺が最後の冒険で見つけた物だ。
もちろん二つ。はめた者を、永遠に愛し合える仲にするそうだ。
アルムーンも、俺の指にはめた。俺のも、淡い光を放った。
認められたらしい。神官が満足そうに頷いて、
「誓いのキスを・・・」
その時だった。突然店のドアが開けられ、どやどやと大勢の人々
が俺たちに向かって押し寄せたのだ。
・・・何のことはない。近所の住人である。噂を聞きつけて、集まったらしい。
暇人どもめ。仲間たちは吹き飛ばされ、見るも無惨に転がっている。
かわしたのも中には居たが。
俺は男衆に連れ去られ、手荒い歓迎の嵐の中へ放り込まれた(笑)
殴られ蹴られ、お祝いだか嫉妬だかしらんが、俺はずっと笑っていた。
後でふくしうしてやろうなんて、かけらほども思わなかったぞ。(・・多分)
女衆はアルムーンを囲んで、男を飽きさせない方法だとか、浮気をさせない
方法だとか、色々吹き込んでいたが無論俺にはそんな事をするつもりはない。(それ以前に出来ない)
俺は素早く男衆から抜け出し、アルムーンの元へ駆け寄った。女衆が気を利かして
男衆を引きずりながら出ていってくれた。どさくさに紛れて帰った仲間も居たようだが。
俺はアルムーンをまっすぐに見つめた。彼女もおれを見つめ返す。
どちらからでもなく口を合わせ、どちらからでもなく離れた。
残った仲間と迎え酒を飲んでいると、噂を聞きつけた連中がのこのことやってきた。
みんな、いいやつだな。そう思った。前のパーティの時でも、こんなに強く
感じることはなかった。表面上、仲間の方が有利なだけ。そんなもんだった。
ところで、「L」とは一体誰なのだろう?
今でも悩む。
あれで良かったのか?彼女を傷付けはしなかったのか?、と。
レインにも会っておきたい。二人とも、気ままに亭にいれば逢えるだろうか。
おれは現在休職中。神官の仕事は、誓いを破ってしまったので辞めたが、何故か魔法は使える。
それを利用して今度は自分独自の宗教もいいかなぁ、何て思ってみたりする。
アルムーンは着いてきてくれるそうだ。絶対幸せにしてやるつもりだ。
・・・・・・・・・・・・・・・親父、待ってろよ。
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