No. 00098
DATE: 1999/02/13 00:56:09
NAME: シャウエル
SUBJECT: ムカデ&タライ
それは、きれーな月が出ている夜の事だった。
その夜のシャウエルは、なんとなくタライを磨こうと思った。
しばらくすると彼はどこぞの家の屋根に登り、持ってきた20
個くらいのタライを一つずつ丁寧に磨き始めた。
とはいえ、この寒さである。
しかも夜の屋根の上。
見晴らしと風通しはメチャクチャよい。
何か考えながらも(何も考えてないかも)持ってきたタライ
を黙々と磨くシャウエル。
……まぁ、話し相手がいないから黙っているだけという事も
あるが、お月様やタライに話し掛けても、悲しくなるだけとい
う事もある。
かなりの時間がすぎ、残るタライもあと2個となった時。
タライに手をのばし、膝の上まで持ってきて、さぁ磨こうと
した時。
ムカデが中にいた。
しかも、体長1m幅30センチくらいのが。
ムカデとシャウエルの目がバチッと……
バチッと……
あってしまった。
ムカデの頬(?)が赤く染まる。照れてどうする。
(こんなデカイムカデが街の中を徘徊していたら、我が未来の
民たちに甚大なる被害が出るのではないのか?!…………
抹殺すべし!!!)
と頭の中で思いつつも、体は
「ムカッ?!」
がしっ、とムカデ入りタライを両手でつかみ、ちゃぶ台返し
の要領で
「デェェ〜〜〜!!!!!!!!!!!!!」
と叫びながら投げる。
シャウエルの力は、その辺の戦士を上回ってたりする。
ムカデの入ったタライは綺麗な放物線を描きながら、23軒
先の広場の方まで飛んで行った。
…………
(この高さならば、セキツイ動物なら即死だろうな)
しばらく呆然としていたシャウエルであったが、気を取り直し
して、残ったタライを再び磨き始めたのだった。
何事もなかったかのように…………
懸命なる方々のためにひとこと。
ムカデは脊椎動物ではなかったりする。