No. 00107
DATE: 1999/02/21 11:29:55
NAME: セリス
SUBJECT: 身分剥奪
あたしは王に、手紙を書いた。
『王に対する忠誠は変わってはおりません。
ですが、女一人で何が出来るでしょう。私はあまりにも無力です』と。
王はその手紙の返答を、従者に伝えた。
その従者が、あたしのとこに来た。
「セリス=G・キャリオン嬢ですね?」
「・・・・・はい」
「王からの言葉があります」
「・・・聞きましょう」
心は静寂だった。
しんと、部屋が静まる。
冷たい空気が、部屋に流れる。寒いとは思わない。
「自由になるがいい。・・・・・以上です」
従者はあたしにお辞儀をして、帰っていく。
身分剥奪。
そう、あたしは捕らえた。
だけど、そんなこと、今のあたしにとってはどうでもいいこと。
屋敷がなくなって、領地が没収されても、大丈夫。
クリスとの、ルゥウォンとの思い出が詰まったこの屋敷がなくなっても、あたしには帰る場所がある。
・・・・・フォルテのところ。
彼のことを思い出すたび、心がとても温かくなる。
しばらく目を閉じて、あたしは屋敷を出た。そして、見上げる。
「さよなら、・・・・キャリオン家」
風が吹く。髪が舞う。