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No. 00120
DATE: 1999/02/27 07:08:04
NAME: エルザ
SUBJECT: 水面下の事件
<簡単なキャラ関係図(あいうえお順)>
エルザ・・・・・・家出娘の不良娘。いわゆる『不良』行為をして荒んでいた所を、昨年秋にレイシャルムと出会って改善。精神的コンプレックスのカタマリ。でも、単純(笑)。博打好き。過去の多くは案外不明。
エルフ・・・・・・きままに亭によく来る、『何でも屋さん』。仕事とプライベートをきっぱり分けた物の考え方の持ち主。結構、ヤサオトコ。でも非常に淡白な一面が見えたりする。盗賊ギルドの関係者であるらしい。最近は、きままに亭で善意の(笑)人探しを引き受けるいい人。
レイシャルム・・・通りすがりの吟遊詩人。この人はもっと正体不明だが、『自称吟遊詩人』と呼ばれるだけあって、副業の冒険者稼業を相当こなしている様子。お人好しらしい。やたらと小猫(?)を拾ってくる。エルザをほとんど養っているに近い。
<エルザの視点>
*1月からレイシャルムの部屋に棲みついていた。
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*ある水曜の朝から、待っても待ってもレイシャルムが帰ってこなかった。
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*挙げ句、彼が美女と歩いているのを見てしまった。
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*ショック・・・/『レイ戻ってこなかったらどうしよう・・・ッッ!』
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*きままに亭で待ってもレイシャルムは来ない。
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*レイ戻って来て!!/荒れる、荒れる
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*きままに亭でエルフという『何でも屋』に出会う。
<エルフの視点>
*きままに亭でエルザという不良少女に会う。
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*荒れてるな(^^;;/事情をエルザに聞き、仕方無しにレイシャルムを探す事を約束。
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*捜査開始/1、レイシャルムの行方
2、美女との関係
3、後はレイに任せた(遠い目)
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*レイシャルムがとある事件に関わっているという事が捜査の結果判明。
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*その後、運良くきままに亭でレイシャルムに遭遇
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*そのまま事情を聞き出して終わるつもりであったが・・・
エピソード『水面下の事件』††††††††††††††††††††
「それでは、まだしばらくは戻れない、とそういう事ですか。」
冷静沈着なエルフの言葉が、ダガーを持って入ってきた冒険者風の男・・・レイシャルムに向けられる。
「まだ未鑑定だからなぁ…。何の魔力持ってるかもわからないものに斬られて、やられるわけにもいかないし。」
手にしたダガーは見るからに魔力を帯びた三日月型をしている。三角塔からこれが、何者かの手によって盗み出されてから2週間になろうとしていた。
「…まぁ、お仕事が今のところは優先かね。 ヘタに暴れられても困るし…。」
ようやく盗まれた魔法品の一つを、レイシャルムは取り返したのだ。・・・疲れているのにな、といった感じでエルフと・・・そしてエルザへの弁解を考えている様子。それを聞いたエルフ。
「一度ぐらい会ってあげても・・・・って、彼女暴れるんですか?」
エルフがレイシャルム探しの依頼を受けたのが一週間ほど前の週末の夜。あの時は、あんなに神妙そうにしていたのに・・・、などと当初の記憶を探り出すエルフ。
「暴れるのは魔法のアイテム持ってる連中だよ(笑)エルザさんは…拳骨飛んでくる程度で済む(^^;;;」
少し離れた所でやりとりを見ていた妖精の少女が首を傾げた。
(エルザさん拳骨が飛んできて、魔法のアイテムを持っている人が暴れる
の?うーん・・・)
ここは冒険者の酒場、きままに亭の店内なのだ。過激な仕事帰り、レイシャルムは不運にもここで、エルフの捜査網にひっかかってしまったというわけだ。
「未鑑定のアイテムだから、どんな効果があるのかわからない…。魔法の効果で周囲に被害が出る前に、どーにかしないと。」
時間的には、次々と常連達も闇夜に・・・、寝室に・・・、消えて行く真の深夜。(ぐぅ・・・。)小脇では別の妖精がぐうぐう寝息を立てていたりする店内。
「エルザさんは貴方のことを心配していましたよ。無事なのかってね。」
レイシャルムの極秘任務についてはつつけぬ事を承知でも、執拗に食い下がるエルフ。仕事に生きる太古の機械のようだ、と自嘲しながらも、この人物は案外、情に厚いのかもしれない。
「おお、おやすみ(^^)!」
ひとり、・・・またひとりと数を減らしはじめる店内の客達。一番近くに座っていた、奇抜な若者が席を立つ。この店には、どうやら『自称吟遊詩人』が多いらしい。レイシャルムは寸瞬でも時間を稼ぎたいとでも言うようにゆっくりその青年と挨拶なぞしている。
「…俺がいない間、彼女のほうの世話を頼めるか?」
しばらくして、話題の方向性を少しでも変えるようにレイシャルムが切り出す。
「私では役不足ですよ。せめて一度は連絡をして頂かないと、エルザさんも落ち着かないでしょう。」
とんでもない!・・・とでも言いたげにエルフは見据える。少し距離を置いた話し方に、彼の淡白さともいえる要素がかいま見える。しかし、端から見ていてこれでは保護義務の押し付け合いにしか見えない事、当人たちは意識していたのだろうか。
「事は一刻を争うんだが…どーするかね。エルザさんとこに顔見せに行ったら、そこからしばらく動けなくなっちまいそうで(^^;;;」
そんな妙に淡白そうなエルフ発言をレイは情で返す振りをした。・・・いや、その言葉に真実半分。
「女を待たせる男というのは最低だぞ、会いに行ってやりな。」
予想外の所から、『一般論』とは飛んでくるものである。そういう、今宵の『自称、馬鹿一番』は存外真面目な風であった。
「お前がそーいうことを言うかい(^^;;;」
不意をつかれたレイシャルム。苦しい所である。・・・話の先が見えたのか、ささやかな助け船に出たのか、ともするとエルフがふっと会話を遮る。
「あと噂で聞いたんですが、あなたのそばにいた「白いローブの美女」は
今のお仕事の関係者で?」
さぞかし疲れた様子で椅子に座り直すレイ。
「…今回の依頼主。というか、魔術師ギルドのお偉いさんだよ。」
向こうの席では、さっきの呟きの主がぼやている。
「言うさ!待たせてる女なんていないからな・・・。」
エルフに答えつつも、レイシャルムは抜け目無く返答。
「へっ…言う言う。……まぁ、待たせてることは謝っておかないとな…。」
そして、エルフの短い同意。
「私も同意見ですね。」
形勢は、若干レイシャルムに不利に動いているようだった。
「ふ〜ん、で、その女性のお名前は?」
ここから先の質問はプライベートなのか、未だ捜査の一貫なのか。エルフの尋問は終わってはいなかった。レイシャルムはいい加減、開き直りかけである。
「…これ以上話すと、お仕事にも関わるんで秘密。」
苦笑しつつエルフは退こうとはしない。
「私もね、お仕事なんですよ・・・。せめて名前ぐらいは教えていただかないと、エルザさんも納得しないでしょうからそこを何とか(笑)」
ここまで来れば、それは情の厚さか、単に興味本位なのか・・・、はたまたレイに対する悪戯心か。その表情から不謹慎さは読み取れなかったが。
「まぁ、そういうのもわかるんだが…。もともとこの仕事自体が極秘裏の仕事なんでね。」
「それでは連絡先を・・・」
そうこうするうちに、店内はレイとエルフの二人だけとなった。そして・・・気まずい沈黙が続いた、その時であった・・・・・・。
「エルフ・・・!エルフいる!?美味しいお酒持ってきたの・・・・っ・・・!!」
高めの声が無邪気そうに入り口から飛び込んでくる。
「・・・教えていただけませんか?」
「連絡先…ねぇ。一定の場所にいないから、連絡とりようがないんだけど?(^^;;;」
・・・小技の応酬に及んでいたレイとエルフ二人の時が同時に止まった。いや、凍ったと言うべきなのだろうか。
(『水面下の事件2』に続く・・・)
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