 |
No. 00121
DATE: 1999/02/27 08:56:33
NAME: マーリン
SUBJECT: 水面下の事件2
<簡単な人間関係図(あいうえお順)>
アリオン・・・・・マーリンの相棒。精霊使いで、まだ登場してないみたいだけど今回の事件ではどれだけ深い位地に関わっているかは不明。美形らしい(笑)。
エルザ・・・・・・不良少女!もといギャンブラー。冒険の経験はあるらしい家出少女。時々荒れると相当ヴァイオレンス。拳はとっても重いらしい・・・。レイシャルムの部屋に生息中。
エルフ・・・・・・きままに亭の『何でも屋さん』。この名でも人間である。専門分野は『街中』。どうやらギルド関係者らしい。最近は人探しの依頼でてんてこまい。非常にクールな一面アリ。だけど、案外悪戯心もみえたりするオチャメさん。
マーリン・・・・・謎の女魔術師。今回の事件の主犯はこの女か!?呪文の発動体は左耳の奇妙なピアス。・・・相棒の名はアリオンというらしい。
メルフィンギ・・・マーリンの使い魔。漆黒の鴉であるが、目の下がオレンジという特徴があるらしい。愛称、『メル』。
レイシャルム・・・『自称吟遊詩人』。三角塔の魔法アイテム強盗のアイテム奪回依頼を、魔術師ギルドから言い渡されている。アイテムの一つは取り返したが・・・!?エルザには手とってもを焼いている(笑)。
<物語の前途>
エピソード『水面下の事件』参照の事。
エピソード『水面下の事件2』††††††††††††††††††††
「エルフ・・・!エルフいる!?美味しいお酒持ってきたの・・・・っ・・・!!」
高めの声が無邪気そうに入り口から飛び込んでくる。
その女性・・・少女の姿に、小技の応酬に及んでいたレイとエルフ二人の時が同時に止まった。いや、凍ったと言うべきなのだろうか。
先に、口を開いたのは、やはり場慣れしているレイシャルムの方だった。
「あ…っと、タイミングいいな(^^;;;」
エルフは乾いた笑いをかみ殺し、そそくさと席を立つ。
「ははっ・・・。・・・。依頼主が来られたので私はこれで・・・。」
「…お酒を持ってきてもらっているようだが?」
逃すか!と、今度はエルフに問い掛けるレイシャルムを見て、駆け込んできた当の本人・・・エルザはまごまごしている。
(痴話喧嘩はゴブリンも喰いませんからね)
二人に背中を向けるエルフの目は、若干遠い。
「・・・・・・・レイ・・・・・・・・、どうしてここにいるの・・・?ソレ、何
・・・・?」
やれやれと、レイシャルムは頭を掻く。
「ん…お仕事で奪回した魔法のアイテム。この仕事が終われば、しばらく楽はできそうだし…。」
エルフは苦笑しながら小声で呟く。
「今は私どころじゃないでしょうに・・。」
そんな所に町人風の娘が迷い込んでくる。真夜半も過ぎた冒険者の酒場の店内。自然と、エルフとレイの注意がエルザから逸れる。そんな様子そっちのけで、エルザはダガーに興味を示す。
「見せてよ・・・!!」
「はいはい(^^;;;」
と言って、レイシャルムは魔法の品をエルザの好きにさせている。一方で、エルフは職業柄なのか、舞い込んできた町人風の金髪の少女への観察眼を緩めない。
「こんばんは、色男さん♪」
少女が声をかけたのはレイシャルムの方であった。
「色男? お世辞が上手なお嬢さんだな。」
「何か捜し物ですか?」
などとなにかと少女興味を示す二人の横で、エルザは無関心そうに魔法品のダガーを弄ぶ。
「若くていい男を探してるの♪」
と、金の髪の少女は無邪気に答える。
「それはまた…変わった捜し物だな。」
あっけらかんとしているレイシャルムの横で、エルフは妙に先行きを懸念しては頭を痛めた。
「また災いの種が増える・・・)で、それが彼(レイシャルム)だと?お嬢さん。」
エルザは黙ったまま、相変わらずダガーをいじって遊んでいるようだ。
「あなたでもいいわよ♪」
と、無邪気そうにエルフに向き直る少女。
「ま、あまり若くもないんでね…ご遠慮するよ。エルフさん、どうぞ(笑)」
などにこやかに言ってのけるレイの目も少し遠いようだった。(下手なこと言うと刺されんなぁ…(^^;;;)妙に静かなエルザから殺気(怒気?)を読むのに意識を馳せる。・・・端から見ると奇妙な関係。レイとエルザは一体どんな関係を持っているのだろうか。レイの手放しな放任主義と、エルザの激しい独占欲。一見恋人なのかとも錯覚する、親子愛とも取れぬ微妙な関係。
難しい懸念のレイシャルムをよそに、エルザはつまらなそうに出口へ向かった。
「ねえ、私と遊ばない?」
舞い込んできた少女は、なおも色目を使って二人を翻弄しにかかっている。
「私もね、年ですから・・ご遠慮いたしますで、なんで若くていい男なんです?」
淡白そうに、また無礼の無いようにエルフは少女に言ってのけた。
「お嬢さん、背伸びをするのはまだ早いですよ・・」
論点をずらした言葉で、たしなめるエルフ。その時、レイシャルムはふと、扉の方を振り返った。
「あ、エルザさん…それ魔術師ギルドに返さないといけないんですけど(^^;;;」
そのレイの何気ない牽制は、数秒遅かった。酒場の扉をくぐり出るところであったエルザ・・・、手には三日月型のダガー・・・。
まさかのタイミングで姿が戻りかける・・・彼女は既にエルザではなく・・・。
「ばーか、色男!声で気付かなかったの?あたしよ(笑)取り返しに来たの、わからな
かったの?」
罵倒の句を述べ上げた時には、既にそこにいたはずのエルザは、先ほどレイシャルムが対峙していた強盗一味の女魔術師の姿へと完全に戻っていた。
そのまま一気に闇夜に消える、魔術師。・・・けらけらとした笑いとともに。
「な…しまった!ちっくしょー、やってくれる〜(T▽T)」
周囲より寸瞬早く状況を理解したレイシャルムは舌打ちした。
エルフは状況理解に手間取っている。・・・金の髪の少女は、寸瞬の出来事にまったくもって呆気に取られていた。
「…ダメだな、足が速い…。しかもこの暗闇の中だ、追うに追えない…(−−;;;」
戸口まで敵を追いかけ、外を覗いてそう吐き出すレイシャルムの胸に、今度は暗闇から猛烈な勢いで飛び込んでくるものがあった。一瞬、構えて退きかける。
「レイシャルム!!!!」
走ってきたと思われる、エルザだった。
「げ…またかっ!?(^^;;;でも、今度は本物っぽい(笑)」
そのままエルザはレイシャルムに飛びつき真っ先に・・・表拳を一発。店の奥ではエルフが少女に微笑みながら、思策している。
(成る程。敵一味の女魔術師に一杯喰わされた・・・そういうことですか。)
「あいた…(T_T)この痛みは、本物だな(^^;;;」
エルザの拳がレイシャルムの顔面にヒットする。
「あの女誰なの!!?今酒場に行けばレイがいるって・・・!抱きしめて放すなっ
て・・・・!!」
エルザの鳴咽を聞きながら、エルフは思策を止めようとしない。
(情報は取られているみたいですね。成る程、あの女魔術師は自分が逃げた後の足止めさせるために、本物のエルザさんをここによこしたわけですね。)
「…きっちり情報操作までやってくれてるのか。義理堅いというか、計画的というか…(^^;;;あの魔術師め。」
ようやっとレイシャルムに辿り着き、泣き出しているエルザを抱きしめながら呟くレイ。
「まぁ、今回は俺の油断かな…。しゃあない、振り出しに戻るか。」
「レイ・・・・や・・やっと・・あえた・・・。い、・・今の人が・・・「今酒場に行けばレイがいるから」って・・・・」
「私の油断でもありますよ。彼女が偽物だと解らなかったのは・・・」
まんまと出し抜かれたひとりであったエルフは、仕事へのプライドに少々触っていた。金髪の少女は、そんな状況におかまいなしに、無邪気そうに振る舞っている。
「ねえねえ、おにいさん♪一緒に遊ぼうよ」
にこにこしている少女を尻目に、レイはエルザに聞こえないようぼそっと呟く。
「まぁ…ちょっと大人しいかなとは思ったけど(笑)<偽物」
少女に笑顔を持って応えるエルフは未だ思案の中にいた。
(しかし彼女に化けるとは・・・・でも、仕草といい表情といいそっくりでした
・・)
「何をして遊ぶのかな?お嬢さん。」
しかし、考え事の最中であり、ついきつい目で少女を見てしまう。
「はぁ…これで給金が減ってまうな(^^;;;さっさと終わらせる予定だったというのに…。」
エルザを胸になだめ、レイシャルムは溜め息を吐く。
(確かあの魔法は・・・・)
少女と距離を保ちながら、エルフは考えを馳せる。そして、目の前の少女は・・・?
突然現れて二人の気を逸らした少女は、作戦の一部だったのだろうか。
・・・・・・きままに亭の夜は明けていく。
 |