 |
No. 00129
DATE: 1999/03/09 14:29:38
NAME: カミル
SUBJECT: いつもと変わらぬ笑顔で・・・
幼い頃、シャルレークと一緒に遊んでくれたシェルファを、殺めてしまった。
彼が、どのような気持ちで、俺に決闘を挑んだのか、今はもう聞けない。
涙が、零れて。止められなかった。
ライムはしばらく、シェルファを抱きしめながら泣く俺を見ていた。
ただ側に、立っていた。
ひとしきり泣いた後、ライムが俺を抱きしめる。
「ごめんなさい・・・私、これしか出来ない」
その言葉で知る。ライムも、俺の悲しみを知っていて、判ってくれているという事。
俺は涙を拭い、ライムから離れる。ライムは抵抗もせず、ただ、俺を見ている。
俺は彼女を見ずに、シェルファを抱き上げる。
そして、ゆっくりと歩き出す。
ライムがついてくるのが判る。
**********************************
郊外に出た適当なところに、シェルファを埋めた。
その作業を、ずっとライムが見ている。
俺はそんなライムに聞こえないように、故郷の言葉で埋めたシェルファに語りかける。
「また会おう。・・・近いうちに」
そして、立ちあがる。ライムを見る。
「・・・帰ろう」
俺の言葉にライムが頷く。
**********************************
その日の夜。
「・・・お邪魔します、ね」
ライムが、部屋に顔を出した。
「どうした?」
「いえ・・・。今日、一緒に寝たいなって思って・・・」
枕を抱えて、扉付近で佇んでいる。
ライムが妊娠したと判ったその日から、別々の部屋で眠ることにしていた俺は、少々面食らった。
「・・・・・・いいよ」
だが、俺はライムを招き入れた。
ライムが俺の寝床にゆっくりと横になる。
しばらく、俺たちは見つめ合う。
どこか、心配しているような、ライムの表情。
「・・・おやすみ」
髪を撫でる。ライムが瞳を閉じる。
きゅっと俺の服を握って。
可愛い寝顔を見て、俺もうとうととし始めていた。
**********************************
朝。目が覚めると、ライムの姿がなかった。
「・・・ライム・・・?」
一緒に眠ったはずなのに、と、俺は起きあがる。
部屋の扉を開ける。
「ライム?」
もう一度、ライムを呼ぶ。
「はい?」
台所から、声が聞こえる。俺は台所に向かう。
「ここにいたのか」
「えぇ、なんだかお腹が空いて」
にこり、とライムが微笑む。
何もなかったかのような笑顔。それを見て、俺は目を細める。
・・・ライムが居て、よかったと、俺は思った。
 |