No. 00151
DATE: 1999/04/19 00:49:14
NAME: アトゥム
SUBJECT: 聖歌隊の父
幼い頃、俺はアノスの聖歌隊である父の仕事を誇りに思っていた。母親に連れられて、父の仕事を見、その歌う姿を見るのがだった。しかし、いつからだろうか、父の仕事を嫌うようになっていった。他人の栄誉を、神を讃える語り部でしかない事を誇りに思う父自体を嫌悪していたのかも知れない。
その反抗心が強まると同時に、俺は自分は違う道を歩もうと決意した。神に仕え、その教えに歌うのではなく、自分の魂を相手に伝える歌を歌おうと。
俺が歌を作り始めると、両親は反対をし始めた。
そしてある夜、俺が「聖歌隊に入る気はない」と言うと、大騒ぎとなった。どうせ顕示欲の強い父母の事だ。俺が聖歌隊に入る、と周りに吹聴したのだろう。
その夜、僅かな金とリュートと一緒に家を出た。