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No. 00159
DATE: 1999/05/03 04:25:24
NAME: ラザラス
SUBJECT: 家督争い(8)−イベント−
登場PC:ファウスト、アレス
他:NPC
リーン領の民が抵抗を見せているのは、どうもマーファの司祭が先導しているらしい。「税が重すぎる」と領民に持ちかけ運動を起こしているようだ。リーン卿にとっては従来の税で不服な申し出がなかっただけに、この運動は混乱を招いた。しかも計画的であったらしく、同時に複数の村々で運動を起こされたために、ドワーフのいる鉱山のモンスターどころではなかった。
これを聞いたファウストは、なにか引っかかるものを感じだ。それは前にも領民を先導して領主にたてついた話を聞いたことがあったからだ。確かそのときは領主側が敗れたと聞く……。税を引き下げたが、その領地ではおかしなことに活気がなくなった……。そのおかしな現象が気にかかり心に留めておいたのだ。
なにか嫌な予感がする。
領民へ肩入れして良いものだろうか?
いくら領民を思っても、友好関係にあるリーン卿と対立することにラドモス卿が納得するだろうか?
そんな思案に明け暮れている時、外が騒がしくなった。
今度は何かと思い、騒ぎの方を見ると傭兵が一方的に子供を殴っている姿が目に入った。
「傭兵(俺たち)の食料を盗もうなんざ、いい度胸だな」
体格のいい傭兵が7歳くらいの男の子を捕まえ、殴り飛ばした。その傍らにはリジィと名乗った少女が別の傭兵に押さえ込まれていた。
彼女たちは懲りずに盗みを働いていたらしい。
「ローイを殴るなぁ」
少女は力一杯叫んだ。しかし、その声を楽しむかのように傭兵たちは子供をいたぶった。オモチャのように……。
(あんたの声を信じたのに、(結果が)これか! 聞こえるなら私に力くれっ。やつらを倒す力をっ!)
「なにブツブツ言ってやがる。醜い盗賊の子よ」
押さえつけていた傭兵が少女の髪を引っ張り上げる。そのとき、空気が震えた。
「イっ」
顔面に走った痛みで押さえていた力が弱まる。そのスキを見て、リジィは抜け出した。
「ローイ!」
こちらの様子に気がつかないのか、少年をいたぶっていた男はさらに拳を振るおうとしていた。
(させないっ)
少女の口から暗黒語が紡ぎ出され、神への祈りとなった。
体格のよい傭兵の首もとに亀裂ができたかと思うと、一気に血が噴き出した。
「な、なんだこれ……」
辺りに飛び散った血を見て、男は自分が傷ついていることに気がついた。思考が巡り、少女の方を向いたときには意識を失って倒れていた。
アレスは盗みに入った子供の話を耳にして、現場に移動しているところだった。
血しぶきの上がるのを見て、駆け出す。
現場に駆けつけると、リジィとローイを取り囲む傭兵たちがいた。皆殺気立っていた。
(続く)
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