No. 00160
DATE: 1999/05/03 05:32:19
NAME: ラスティア・フィート
SUBJECT: 甘美な毒
20年前から、エルフの村に住んでいた。
人口は20人に満たない小さな村落だった。
エルフのわたしを受け入れ、薬草師としての生活を与えてくれた、優しい人間たちだった。
だが。
突然ひとりの村人が行方不明になり、10日後、思い出すこともおぞましい姿・・・よだれと排泄物と吐瀉物にまみれた死体になって、見つかった。
死体の状況から見て・・・・麻薬におかされたものと断定できた。
どこから流れ込んできた麻薬だろう・・・わたしは調査を始めた。だがどうしても心当たりはない。新種の麻薬であることは間違いなかった。
そうこうして、あがいている間に・・・・二人めの犠牲者が出た。臨月に近かった妊婦だった。
そして、三人めは・・・・まだ小さな少年だった。
なんとしても助けたかった。禁断症状であばれまわる彼を隔離した。・・・・他の麻薬患者にするのと同じように。
だがそれは・・・・彼の精神を、崩壊させただけだった。
わたしは、少年がうわごとのように呟いた言葉・・・・麻薬の名前「ドーマー」、そして「オラン」、売人の名前であろう意味不明のの言葉・・・それだけを頼りに、「賢者と冒険者の国」と歌われるオランに、やってきたのだ・・・・・。