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No. 00182
DATE: 1999/05/20 23:46:37
NAME: リッティ
SUBJECT: うちの館は花盛り
「今日は買い物、はやいのねぇ。」
と声を掛けてくれたのは,近所に住むリーマおばさん。
カイ君(5歳)とシーラちゃん(3歳)のお母さんだ。
この2人は,いつもこっそり庭に忍び込んで来ては
こそこそと遊んでいる(笑)。
何をしているかは知らないけれど,近所では,
「得体の知れない魔法使いの館」として有名な,
当家に忍び込むのが楽しいらしい・・・。
この前見たら,魔法使いと弟子ごっこをしていた。(苦笑)
まあ、そのほかは訪ねてくる人なんて,
みんな怪しい人ばっかりで。
まともなのは,この2人だけだな〜と、思っていた。
つい一ヶ月前までは・・・。
(リーマおばさんも,子供達がそんなところで遊んでるとは,
知らなかったらしい,ま、知ってたら止めるよな,普通。)
そう、一ヶ月前。
シーラちゃんが熱を出した,かなりの高熱で危なかったらしい。
治療師の人も呼んだらしいけど,薬が足りない,
と言うか手に入らないらしく。
いよいよ無理してでも,お金を集めて神殿に行こうかと言うとき。
ボクはカイ君に呼ばれてアルニカの花を届けたのだった。
このアルニカという花は熱病によく効くのだけれど,保存が殆ど利かず。
高山植物なので,都市部では手に入りにくい。
館の庭には,高山のように環境を整えている場所があって。
この花も育てられている。
まあ、研究材料用なので,売るほどは無いけれど,
ほんっとに色々咲いている。(笑)
今,世話をしているのはボクなんだけど。
一日6回水をやるものもあれば,一ヶ月に一回のものもある。
やっと近頃覚えてきた。
薬学の勉強がてら庭いじり(笑)。
その晩,ボクは師匠に苦しい言い訳として,
アルニカの花がすくなくなった嘘をでっちあげた。
おかげで,晩御飯は罰として抜かれたけれど。
いつも生意気なカイ君が,涙を浮かべていた・・・。
あの顔を見るぐらいなら,シーラちゃんのあどけない笑顔が
みれるなら。
・・・安いもんだ,晩飯くらい。
そんなことが有ってから近所の目が少し変わった気がする。
気のせいかも知れないが,リーマおばさんのおかげだと思っている。
そんなことを思い出しながら,今日はお客さんが来るんですよ。
とか答えて,門をくぐる。
どうやら今日も小さい2人のお客さんは来ているようだ。
あとでお菓子でも出してあげよう。
玄関近くにいる豚や鶏たちに,ただいま、と声を掛けつつ家に入る。
いつも,お客さんが来るたびに思う・・・,
師匠の薬や魔法に頼るほどせっぱ詰まりたく無いなあ,人間。
なになに?,今日のお客さんは貴族?。
またこの前みたいに「一晩だけでいいから綺麗になりたい」
とじゃないよなぁ・・・。
あんなことに大金出す人間の気が知れないよ,ふぅ(溜息)。
さて、と。
料理をするか。
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