No. 00196
DATE: 1999/06/03 22:34:43
NAME: メ=リベ
SUBJECT: 陽の射す裾野の森
今年もこの時期が来た。
ルネの運んできた花が、雨季を経て、力強く咲く夏が・・・。
私の名前は、「メ」。
メ=メッサ・アルカーダ・リベリウス。
オランから大地の上を東という方向に進んだ「ベリウス」という森の主の部族。私の名前の事も、「陽の射す裾野の森」の事も、人間の言葉では上手く表現出来ませんが、これだけは本当の事です。
私はルネの魂を愛していた。
・・・そして、彼女は今も、静かに、木漏れ日の綺麗なリベで眠っている。
ああ、ええと、リベという感覚は人には分かりませんか(^^)。
言葉を選ぶと、「杜(もり)」に似ています。でも、もっと感覚的に「深く」てもう少し「護ってくれる」雰囲気の言葉です。ええ、そうです。貴方の発音は部族の言葉に少しだけ似ています。お察しのとおり、「陽の射す裾野の森」で「リベ=ベリウス(ゆっくりと発音してみる)」です。
ええ、そうですよ(^^)。私は森の住人で、ああ、えっと、ここで言うと森から来た者ですから「メ=リベ」とも言えますね。
(にこにこ)どうして私の名前は短いのですか、って、今聞きましたか?
あなた方にそう聞こえるだけですよ(^^)。私はちゃんと発音しているのですが・・・、人には聞き取れないみたいですね。ほら、見て下さい。あそこにいらっしゃるプリムさんなんか、とても綺麗に発音して下さいますよ(^^)。そうそう、プリムさんはとても素敵な名前をお持ちなんです。「プリム」というのは、森の言葉では「光」という意味合いがあるのです。・・・ああ、ちょっと違います。「光」に対する認識があなた方と違うからなのでしょう。私達の言葉では、沢山種類がありますからね(^^)。その中でも、こう・・・綺麗にキラキラしている感じです。とても元気に飛び回る感じなのです。・・・はい?分かりませんか。そうですか(^^)。でも、私はあなた方のさっぱりした感覚、大好きですよ。だから、そんなおおざっぱに落ち込んだ顔をしないで下さい(^^)。
・・・え?もう一度私の名前を教えろ、ということですか?
はい、いきますよ?
「ME(yxntpvzm)」、です。
・・・そうですか。やっぱり「メ」しか聞こえませんか。いいですよ(^^)。
メで。
しかし、貴方はエルフ語がとても達者な方ですよ(^^)。すごいです。どこでそんなに話せるようになったんでしょう。ええ、本当に興味がありますよ(^^)!
だって、ルネが最初に森に来た時なんか・・・。あは・・・、あははは・・・は・・・(汗)・・・、もともとおおざっぱな性格だったようなので、本当にしっちゃかめっちゃ・・・というか、おおざっぱすぎて感覚が・・・、いや、アレはエルフ語じゃありませんでした(遠い目)。
・・・は。ルネの事ですか・・・。
少し、お話しましょうか。・・・私の妻についての事。
ルネ、名前はルネ=ペラジー。そうですよ(^^)!
ルネは人間ですから、そう、貴方のその発音で全く間違いありません。ところであなた、古代語の発音も上手じゃありません?もしかして(^^)。いえいえ、何となくです。上手く言えません。
私とルネが最初に出会ったのは・・・そう、ルネが17歳の時。
貴方の聞いた、時間の事だと新王国暦306年の事ですか。ええ、分かりますよ。この感覚はおおざっぱなのですぐに慣れたんです(^^)。上手く言えませんが。
私がそれまでに、どれだけのアールがあったか・・・ああ、ええと、この表現がルネもよく分からぬと言っていました(^^)。すみません!でもだんだん割りと理解してくれていてように・・・思う。どうなんだい?ルネ・・・(虚空に向けて)。とにかく、私が何歳なのかはよく分からないんです。ええ、おおざっぱでいいんですか(^^)?・・・ええと、400万の昼と夜より少ないと思いますよ(^^)!・・・あいたぁっ!どうしてぶつんですかっ。ルネみたい(爆)。人間だからあたりまえか。いや、そういう意味じゃなくってです。いいですよー(^^)、そういうおおざっぱなところが、なんか好きなんです。人間て。(ぶつぶつ)・・・だからおおざっぱに答えたんじゃないですか・・・(涙)。
ルネは旅の吟遊詩人だったんです。人間の娘のなかでも、特におてんばさんだったんです。燃える炎のようだったんです。意地悪な炎とはちょっと違う感じな。
まだ幼いうちに、楽器を背負って親元を逃げ出したと言っていました。・・・それを考えるとちょっとフクザツな気分ですね。私がルネに出会う直前、今までと何も変らず在った時に、ルネはこの世に生まれたんですから。火の粉のようなルネが・・・。そして、火の粉のように、森に飛んできた。ああ、ルネ・・・。
え?私が嬉しそうですか???もお、おおざっぱですね(^^)。上手く言えませんよー(^^)。じゃあ、いろいろエルフ語で言いますよ(^^)!
・・・・・・。
・・・・・・。
そうですか。半分しか聞こえなくって、そのまた半分しか意味がよく分かりませんでしたか。
・・・大丈夫(^^)!ルネより優秀です(^^)。(にこにこにこ)
私は、リベのリベで存在し続けていたんです。色々な事、知っていますよ(^^)。・・・あ、今の表現はちょっとわかりましたか!プレトスな嬉しさですね。うーん、何となくつたわります(^^)?
ともかく、ルネは森に現れた火の粉なんです(^^)!
黒い髪に黒い瞳。マペな・・・いや、生粋しかいなかったアルカーダには、驚きだった。アルカーダ・・・、部族名・・・に近いですか(^^)。
アルカーダは・・・上手く伝わるか分かりませんが、リベを愛しているものです。この場合のリベは、「深淵」ですか。静かで、穏やかで、恒久の・・・。人が近づく事はなかった。ルネがベリウスに踏み込んだ時、リベリウスまで誘い入れたのは一体どの精霊だったんだろう・・・。ルネにも分からないと言っていた。
ルネも精霊の見える人間でした。・・・あの、おおざっぱなルネが・・・。おおざっぱだったけれど、感応が純粋なのでしょう。・・・ええ、ルネは本当に美しい。
笑わないで下さいよ(^^)!本当にこれは大変な出来事なんですから。
私達の心は、精霊が繋いでくれました。アルカーダに人の言葉に興味を示す者は居ませんから。
本当に・・・あの時は・・・。
・・・・・・。
そうして、私とルネは出会ったのです(^^)。
・・・不思議な事にこんな時、人の考えが唯一複雑に深まって動くのですよね。わかりますよ。端的に言うと、本当はもっと聞きたいのでしょう(^^)。また今度です。
いえいえ、嫌だとかじゃなくって、これからアロンさんに会いに行くからです(^^)。ルネと私のお話は本当に長いんです。
・・・・・・私の400万のアールなどよりずっと。
「でわ でわ おはなし たのしかった(にこにこ)。」
・・・私は、変わり者なのだろうか。確かに、・・・いや、当然だな。
「え にんげんごに もどると へんですか しょおがないのです〜・・・」
こんなにも、ルネに・・・、人間に魅了されてしまった。
「また つづきは こんどね(^^)」
私とルネの物語は、ヒトの言葉と、幾ばくの時を費やすだけでは語れない・・・。
ルネの運んだ花が咲く夏が来た。
でも、私はもうすこし、この街にいようと思う。
ルネ、これは君の教えてくれなかった言葉。
「町」・・・ルネはリベと似ているといった。違うよ。
・・・そして「町」と「街」。この言葉も、違うよ。
アルカーダの知らない言葉。
ルネが生まれたのは、「町」?「街」??
・・・君が生まれて間もなかった頃、闘い抜いたというのは、この場所。
私はもう少しここにいて、・・・君が眠って250年もたった今、君の事を知りたいと思っているよ。
ルネ、君のいるリベに帰るまで、もう少しかかるよ。
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