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No. 00004
DATE: 1999/06/09 00:54:07
NAME: セシーリカ
SUBJECT: 511/6/5〜6/7
わたしがふさぎ込んで、自分から逃げた時、かぶっていた仮面がある。
名前をアーシェリック・ヒースと言う。荒野に自生していたヒースを見て、つけた。
でも、その行為の愚かさに気付いてやめたときに、シシリーさんから、「二度とやるな」と言われた。
自分から逃げるようなことはもうしないでほしい、と。
・・・・・・裏切ってしまった。
「眠れるドワーフ亭」で襲われていたフェザーさんを偶然助けてしまった。
暗殺者の狡猾さは肌で覚えている。わたしは家に戻れなくなった。
再びアーシェリックと言う少年になることにした。女神に懺悔の祈りを捧げ、護身用に身につけていた武器と財布だけで裏町に向かった。
変装してから、古着屋で服を買った。そうすると所持金が底をついてしまった。仕方なく着ていたものを売って、その番は最低の宿に泊まった。
それでもかなり財布の中身は危険だった・・・・。それでも「きままに亭」に向かっていた。
あそこは心が安らぐ場所だったから。無意識のうちに足が向かっていた。
そこで・・・・シシリーさんに会ってしまった。
無茶苦茶責められた・・・・・言葉少なかったけど視線が痛かった。弁解しなきゃと思ったけどしばらく罪悪感と恥ずかしさ、そして悲しみで思考が止まった。
どうにか意志を伝えられて・・・・そして言われた。
「・・・・・それは・・また・・・とんでもないことに巻き込まれたね・・・・」と。
自分から首を突っ込んだだけだ。巻き込まれたわけじゃない。
シシリーさんはわたしを危険な目にあわせたくないようだ・・・。これ以上関わらないでほしいと言われた。
真摯な目で、頼み込まれた。頭まで、下げて。
フェザーさんの行方がしれない以上、下手に動けない。シシリーさんの想いも嬉しかった。最後は止めない。許して、やんわりと釘を刺す。・・・今は亡き養父を思い出した。同じやり方。シシリーさんと何度似てると思ったか分からない。
だから、シシリーさんの勧めに従って、クレンツ邸に身を潜めることにした。
・・・・・・・平穏な生活。晴れたら菜園を手入れして、雨が降ったら本を読んで。子どもを育てて・・・・・・。
望まないわけじゃない。一番欲しいものの一つ。憧れる生活の一つ。
だけど、それに背を向けた自分・・・
友達だから、困っているのを見捨ててはおけない。
友達が危険な目に合っているのを助けないわけにはいかないから。
でも、とりあえずは体調の維持だな、と、3ガメルしか入っていない軽い財布を手に、わたしはクレンツ邸へと向かった。
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