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No. 00017
DATE: 1999/06/20 07:13:52
NAME: ロビン
SUBJECT: 非凡なるゴブリン退治
このエピソードはビムラビリスの大迷宮と、連動している所があります。
そのため、このエピソードだけではなくビムラビリスの大迷宮のエピソードも読んで頂けると、より理解が深まります。
よくあるゴブリン退治のはずだった。
オランからまる一日歩いた所にある小さな村・・・
そこの村長に、依頼の確認とゴブリンの住処を聞いてみる。
「この村から半日あまりの所に、ため池があって。そのため池と村の間にゴブリン達が住みついたのだ。主に森やため池の方にいるが、畑にも来て作物を盗んでいくのじゃ。」
ため池で魚とかも取るからそちらも見てくれと、念を押される。
報酬は大した事ないって言うか、少ない。が、ここまで来たからには・・・・
翌日、朝早く。
「おそい。」
「まったくだわ。」
ケイとミルダスが、ひんやりと冷たい空気をまぎらわすかの様に怒っていた。
「まあまあ、そんなに怒っては美しいあなたの顔にシワが増えますよ。」
にこにこしながら、ケイに言うロビン。
「しかし、本当に遅いですね。また寝てしまったんでしょうか?」
「かも知れないな。」
エーベンの問いに答えるリューイ。
彼らは、村長の家の外で一人を待っている。
「・・・ちょっと姉さんの様子見て来る。」
心配・・・と言うよりか、待ちきれずに行動を起こすケイ。
ドアを開けて、中に入ろうとするが・・・
「姉さん!」
「みんなもっと早くきてよ〜」
ドアの内側で小さく丸まっているティアの姿があった。
どうやら、誰かが呼びに来てくれるのを待っていたが、誰も来ないため出るに出れなくなったのである。
怒る気も失せたミルダスが、ティアに説教しているケイをなだめる。
予定よりもかなり遅く、一行はゴブリンが住み着いていると言われる場所に向かう。
「なんか・・・異様に動きがよかったな。」
「だろ〜」
リューイの言葉に、一番の働きをしたミルダスが笑う。
「あなたの動きではありません。ゴブリン達の動きです。」
後ろで見ていた(だけ)のエーベンが、勘違いしているミルダスに言う。
「姉さん、あれほど無茶はやめてって言ったじゃないですか。」
「そうですよ、女性はか弱い方が護りがいがありますからね。」
ギロっとケイにらまれるロビン。
偵察のつもりでゴブリンに近付き過ぎたティアが、ケイに治癒魔法と応急処置を受けている。
「注意して歩いてたら、思いっきりつまずいちゃったからねぇ。あははははは」
陽気に笑うティアに、あきれ顔のケイ。
彼女は傷を負ったティアをかばうため、やもなく前線で闘ったのである。
気付けば倒したゴブリンの数は、ロビンよりも多かった。
「しかし・・・かなりの数ね。」
倒れているゴブリンの数は、見える所だけでも15匹はいる。住処の洞窟の中にいるのもあわせると20は超えているに違いない。
ティアが襲われた時、洞窟からゴブリンが2匹出てきたため、まだいると判断したリューイがとっさに『シェイド』を呼び出し洞窟に向かわせたのである。
そのためそれ以上洞窟からはゴブリンが出てこなかった。
正しくは、出てこれなかったのだ。『シェイド』は恐怖の精霊。また、光も通さない暗闇をゴブリンが通るとは思えない。
外のを退治したあと、リューイとミルダスが2人で洞窟に入って、残りを退治した。
その場を後にして、ため池に向かう。
その途中。
「悲鳴だ!」
「しかも女性だ!」
ミルダスとロビンがそう言うと、ため池に向かってかけだす。
それに続く面々。
ため池にはすぐにつき、そのほとりには大蛇に巻き付かれた全裸の女性がいた。
「まってください、魔物かも知れませんよ!」
そう叫ぶエーベンだが、ミルダスの一言に負けてしまった。
「そうじゃないかも知れないだろうが!!」
ミルダスよりも身の軽いロビンが、大蛇の首につかみ掛かる。
驚いた大蛇の一瞬のスキを見逃さず、大蛇の首にショートソードを突き刺す。
絶叫を上げながらも、暴れる大蛇。
巻き付きより解放された女性を、おぼれないように抱えあげるミルダス。
「それはオレの」
暴れている大蛇の尾の一撃をモロに受け、吹っ飛ぶロビン。
「なにやってんのよ!!」
そのロビンに向かって怒鳴るは、ケイ。
暴れる大蛇にリューイの呼び出した『ウィル・オー・ウィスプ』が大蛇に直撃。
倒れ、水の中に沈んでいく大蛇。
念のため、ティアがとどめを刺して戻って来る頃には、エーベンがマントで包れた女性に治癒魔法をかけていた。
ひと段落したその時、見知らぬ男が草むらから出てきた。
彼はディックと名乗り、彼女は自分達の仲間であると言ってきた。
その他色々と説明してくれた事と、ロビンとは知り合った者であると分かったため、信用出来ると判断。
彼女が大蛇に襲われていた事を言った後、彼は
「近くに私の仲間がいます。彼らも彼女の事を心配していますから、呼んできます。」
それだけ言ってまた草むらへと戻っていった。
その後、ディックはその仲間(6人)を連れて戻ってきた。
そして彼らと共に、オランへと戻ることにした。
同じきままに亭に通う者と聞いて共通の事柄が出来たためか、それとも帰り道が同じという事であるためか、どちらでも良い事。
その前に、かなりの人数で依頼のあった村に押しかけたため、村長が良い顔をしなかった。
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