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No. 00041
DATE: 1999/07/29 21:39:26
NAME: ミニアス
SUBJECT: ついてない日々
『こんな事なら、シタールにでもコロムを引き取って・・・あ、ライカがいるから無理か。コロムを知らないランドに・・・って、事は出来ないか』
顔の傷(たいした事ないんだけど)を気にしている2人を思い出しながら自分の宿へと向う。
『最近、ついてないなぁ。』
オランに付いて仲間と別れると、自分がよく使っている宿にコロムを案内する。
当分は一緒に居る事になるだろうから・・・と2人部屋を取ろうとしたが、あいにく一杯。
大人数用と1人用しか今の所空きがないとの事。まぁ、冒険者は予定がないからいつ空くのかもわからないから仕方ないか。
女同士だから1人部屋でもいいと思って、とりあえず10日分を先払いする。
残りは食費・・・はっ。2人だから稼がないとすぐ尽きる。
部屋に行って荷物を置いてから、コロムに色々聞こうとするのだが・・・
一言で言うのなら、夢を見ている。
カレンという人については色々と喋るのだが、それ以外は黙り込んでしまった。
翌日、チャ・ザの神殿に行きコロムの様子を見てもらった。
病気でも、呪いでもない。この言葉だけ貰うといくらかの寄付をする。
自分の怪我の手当てもあって・・・・・ああ、ふところが痛い。
あいにく心の病を直してくれそうな医者は知らないし・・・・
それよりも明日から、仕事探さなきゃ。
夜。
「!?」
違和感にがばっと起き上がる。
横を見るとコロムが気持ちよさそうな寝顔で寝ている。
首をかしげながら、再度横になり目を閉じる。
「!!」
がばっと起きて、今度はコロムのホッぺを引っ張って見る。
・・・・寝てるようだ。
頭を抱えてしばらく考えるが、せまいベッドだから体があたったんだろうと言う事にして、また横になり目を閉じる。
さわわわっ
「!!?」
起き上がろうとしたが、コロムの腕が邪魔で起き上がれない。
いつの間にこっちに転がった?
ああ、それよりもお腹をさするな〜
「カレン・・・ムニャムニャ・・・」
カレン?そうか、寝ぼけて勘違いしているな・・・って、ちょっとまてい。
私にその気はないよぉ〜
ゴロゴロと擦り寄るコロムから必死に逃げようとする。
ふっ、と体が下に沈んだと思うと、頭に固い床がいい音を立てて当る。
そのおかげでコロムからは逃げられたが、下に居た宿のオヤジさん達が心配してドアを叩く。
ベッドから落ちただけだと告げると、納得してくれた。笑われたけどさ。
「最近、物騒な事件が発生しているから、みんなピリピリしているもんでな・・・」
と、宿のオヤジさん談。
バタンと戸を閉めると、ため息ひとつ。
荷物の中から毛布を取り出して床にひくと、その上に寝転ぶ。
・・・・急になんかムカムカしてきた。
ちくしょう、私はカレンじゃないぞーーーーー!!!
翌日、コロムに起こされる。
予想した通り、昨夜の事はまったく覚えてない。なんか悔しいぞ。
夢見ごこちのコロム・・・普通に生活するなら支障はない。
が、今を夢の中だと思っているため、一度暴走すると歯止めがきかない。
コロムを一言からかった相手のナイフを奪って切りかかり、自分も傷を受けたのに何事も無かったように振る舞うのだ。
からかった相手は仲間から「自業自得」と言われているが、これはコロムの方も悪い。
部屋に戻って傷の手当てをしながら、なんであんな事をしたのか聞くと。
「これは夢だから、大丈夫。」
・・・聞いた自分がショックを受けたのが分かった。
手当てのあと宿のオヤジさんに注意されたが、出て行けとまで言われなかったのは幸いだった。
正直、コロムを連れて歩きまわりたくはない。
コロムには部屋からなるたけ出ないように言うと、普段着のままブロードソードを腰に下げて出かけた。
暇な時に商人の所へ行き、荷物の確認の手伝いなどをする。
ちょうどエミリアへの荷物と、プリシスからの荷物とで人手が欲しかったらしく、喜ばれてしまった。
読み書きが出来る事が有利だと知ったのは、この仕事をやるようになってから。
色々と知らない物もあり、その辺りは聞きながらやる。
まる1日やってもたいした収入ではないが、昼食は雇い主が用意してくれる。
かなりこき使われるので、昼食付きでなければやりたくない。
太陽がかなり西に傾いた頃。
雇ってくれた商人のおっちゃんに声をかけられる。
「あとはなんとかなるから、今日はもういいよ。」
そう言われて今日の分を貰いほっとした時、後ろから声をかけられる。
「おお。愛しのミニア〜ス♪きみがほほに与えてくれた愛を僕は忘れてないよ♪」
以前、ロマールまでの護衛に雇われた時、何を考えたのか私を襲ってきた男(名前忘れた)である。
あのあと自費でオランまで戻ったんだぞ。
その男が近付いて来るまで少し距離がある・・・よし、逃げよう。
「ああ、照れないで待ってくれぇ〜。愛しのミニアスぅ〜」
誰が待つか。
コロムがベッドで寝てる。
帰ってきたあと、コロムが嬉しそうにカレンについて喋るだけ喋ると寝てしまった。
昨日みたいになりたくないから、また床で寝る事にした。
・・・・カレンか・・・・あそこ(きままに亭)の常連だとしたら、いけば分かるはず。居なかったら、一言書いておけばいいか。
でも・・・・女性だったら、毎晩あんな風にペタペタと体をさわりあって・・・・
「だわわわわわわわ」
自分の想像を慌てて打ち消す。
すぐにコロムが「かっこいい男」だといっていたことを思い出す。
いくらか美化されているといえども、心なしかシタールに似ているような気がする。
まぁ、いいや。明日にでもあそこ(きままに亭)に行ってみよう。
今日は疲れたから寝よっと。
次の日。昨日と同じ商人の所に行く。
「は?雇えない?」
しぶい顔した商人のおっちゃんが言うには、昨日のあの男はこの辺じゃ名の知れた商人の息子らしく、私を雇うなと脅しをかけたらしい。おまけに手紙を渡してくれとまで頼んだようだ。
手紙を受け取った事をおっちゃんや周囲の人に確認させてから、中身を見ずに破り捨てる。
ピンクの花柄の封筒を見た瞬間からこうしようと決めていた。
第一印象が悪い以前の問題。自分で渡しに来いよ。
受け取ってはやらないけどさ。
この日は結局日雇いの仕事は見つからず、途中きままに亭によって一言書いて戻ってきた。
ああもう。
なんだかついてないよぉ。
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