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No. 00042
DATE: 1999/07/30 02:22:38
NAME: シェリアルナ
SUBJECT: 過去
登場人物
シェリアルナ;私、ライナス盗賊ギルド出身の盗賊。
レドウィック;招かれざる客、魔術師、ライナス魔術師ギルドの元学院生
キウィリア ;姉さん、魔術師、ライナスの魔術師ギルド出身の魔術師
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ライナスのとある都市・・・街と呼べなくないところで私は暮らしていた。
早くに両親を失った私は、姉さんと2人で暮らしていた。
そう、あのときまでは・・・
その日は私はいつもの様にギルドに通い、技術を学んでいた。
そして、その訓練を切り上げ、家に帰った私を待っていたのは
姉と、一人の招かざる客だった。
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「姉さん」
私は思わず悲鳴を上げた。
私が家に戻ってきて見た光景は床に倒れている姉さんとその傍らにたたずむ一人の魔術師だった。
その魔術師は私の方を一瞥すると、事も無げに倒れた姉さんに向かって話し掛ける
「そういえば、君には妹が居たな」
姉は倒れたきり何の返答もしない・・・
「あまりに強情を張るものだからな、最初っからおとなしく魔術書を渡して貰えれば良かったんだが、ね」
・・・やはり姉は答えない・・・
そして彼は私に向かって一瞥した後、姉さんを抱えて出て行く・・・
抗しがたいその視線にたじろぎながらも私はやっと魔術師に声をかけた。
「姉さんを返して・・」
私は魔術師に向かってそう言った。
しかし魔術師は気にするでもなく、どちらかといえばまったく無視される形になった。
私は恐らく、あの魔術師の足元にも及ばないだろう。今だって恐くてたまらないのだから・・・
魔術師が出ていった後も私はただ呆然としていた・・・
姉は本当に死んでしまったのだろうか?私の中に疑問が残るが、もちろんそれに誰が答えてくれるはずもなく、ただ呆然としていた。
ただ、あの魔術師が連れていってしまった姉さん。
恐らく生きているのかも、そうでもなければあの魔術師が連れ去った意味がないもの・・・
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数月後・・・
私は、とある酒場であの魔術師噂話を耳にする。
どうやら、彼の冒険のパーティに女性の魔術師が増えているらしい・・・
話を聞けば聞くほど、私の想いは確信に変わった。
間違いない姉さんだ。
だが、その話の最後にはその女魔術師がある遺跡で命を落としたらしい。との話が合った。
私の希望。姉さんが生きていると言う事はただ、絶望を呼ぶだけの結果になってしまった。
私はその時に心に誓った。
あの魔術師、赤いマントに身を包んだあいつだけは絶対に私の手で・・・・
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