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No. 00072
DATE: 1999/08/27 14:12:18
NAME: リック&リュイン
SUBJECT: 信頼が失われた時
ラーズからの「セフィリアが学院で何を調べているのか調査して欲しい」という
依頼、報酬は全額前金で出たし、たいしたことねえ仕事だと思ったから気軽に引き
受けた。これが最初だった。だが、これが原因だったわけじゃねえ。全ては俺自身
のせいなんだ……
ラーズに仕事の経過を伝えた時のことだ。その時俺が掴んでいた情報はセフィリ
アが調べていることがディオンに関係しているということだけ。情報が足りない。
ラーズは俺にこう言った。
「もしかすると、ディオンのリスクに関わることなんじゃないか?」
そっちの方から調べてみろというのだ。相づちは打ったものの、もしそうだとした
ら、正直に伝えず適当な嘘で誤魔化すつもりだった。
リュインがこの話を聞いていた。
あいつは当然怒った。ひとしきり俺たちに文句を並べて、店から出て行った。気
持ちは分かる。あいつは、誰にでも知られたくない過去がある、と怒鳴った。あい
つ自身がそれを持っているから、他人の過去を調べるという行為自体を嫌ってるん
だろうな……。だが、俺は今回の調査でそんな大袈裟なもんが出てくるなんて思っ
ちゃいなかった。それに仕事は仕事……、くそっ。
決めてたはずの覚悟が揺らいだ。俺は店を出た。あてもなく歩くうちに、河原に
辿り着いた。
この時に気付いていたのかもしれねえ……
仕事として引き受ける以上は、どんなことでもやるつもりだった。たとえ、誰か
を犠牲にしても、金のために……そう決めてこの街へ来たはずだ。ディオンとは知
らない仲じゃない。そんなやつのことを勝手に調べようとすることが間違ってない
なんて思っちゃいねえ。こんなことするやつが、「自分を信じろ」なんてよく人に
言えたもんだぜ。俺はそんな自嘲的な考えに浸っていた。
ふと、人の気配がした。リュインがいた。怒って飛び出してったあいつも、ここ
に来ていたらしい。気付かなかったとは、我ながら間抜けな話だ。リュインのやつ
はまだ怒っていた……まあ、当然だな。
リュインは俺のこんな考えをどう思うだろうか? 今怒ってるのを見れば、だい
たい分かる。それに、自分でも正しいなんて思っていないんだ。だが、俺は自分の
やり方を変えるつもりはない。確かめるにはちょうどいい機会かもな……
俺はリュインに告げた。今回俺が金のためにこの仕事を引き受けたこと、報酬を
もらっているので続けるつもりだということ、これからもこういう仕事を引き受け
る気があること、そして、それが気に入らないなら俺を仲間から外せ、と……
言葉を飾る気も、言い訳する気もなかった。そんなことしても、俺のやることは
変わらねえんだ。リュインがそいつをどう思うのか確かめたかった。だが、もしそ
れでもリュインが俺を信じてくれるなら……全てを話そうと思った。そんなことは
ありえるはずはねえんだが、な。
あいつは泣き出した。裏切りだと言った。裏切るつもりなんかねえ。俺のつもり
を教えてやっただけだ。ただ、考えが合わなかっただけなんだ……
……違う
やっと気付いた。俺のやっていることが、リュインに対する裏切りだったこと
に。
俺はリュインに、自分の過去を気にするあまり、他人を心から信用できないでい
たあいつに言ったんだ。「俺はおまえの仲間だ」「俺を信じろ」と。そしてあいつ
は信じてくれた。それなのに、俺は自分の目的に拘っていた。どっちが大切か見誤
っていた……
俺は泣きながら走り去るリュインを追いかけた。腕をつかんで引き止めた。
「裏切れない」
あいつは俺の言葉を聞いちゃくれなかった。必死で俺を振り払おうとする。駄目
だ、
今逃げられたら……。リュインの腕を引き込んで抱きしめた、いや、しがみ付いた
んだ。逃げられないために……。だが、リュインは俺を振りほどいて去って行っ
た。
俺は裏切ったんだ。あいつを……あいつの信頼を……
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ラーズとリックがなにか話している
べつに気にもとめないのがいつもだが、ラーズの口からでた
「もしかすると、ディオンのリスクに関わることなんじゃないか?」
私はそれがなにかを知っていた。だけどこんなこと言えるわけがない
なんか腹がたった。人のあら探しを楽しんでいるように思えたから
私は一しきり文句を言うと出て行った
そこには居たくなかった。演技もなんにもない自分をさらしてしまったから
とにかく腹立たしいのをおさえようと河原に来た
ここで叫べば少しは収まると思ってとにかく叫んだ
ある程度叫んだ時、こんなところを誰かに見られたらヤバイと思って戻ろうとした
・・・だが途中でこのまま帰った方がヤバイと思って私は河原にひき返した
河原に戻って見るとリックが居た
今のさっきで会いたくないからそうそうに立ち去ろうとしたが、リックのつぶやきについ足を止めてしまった
足を止めたのがいけなかった。リックに見つかってしまった
私はばつが悪そうに出ていった。リックのほうもどこかばつが悪そうだった
さっきの今であるから薄れ掛けていた怒りがまた戻ってきた
リックと今話すのはよくないと思って帰ろうとしたが呼びとめられその後にリックが言った言葉
「・・・・仲間から外してくれてもいいぜ」
それは私に決めさせるために言ったのかもしれない。だけど私には”離れたい”と聞こえた
まるで懇願のように・・・
何を言ってるのかわかんなかった
さっきの一言で頭がくらつくようなきがした。息苦しくって喉がヒリヒリして泣けてきそうだった
リックの吐き出すような
「・・・失わないために必要なんだよ」
を聞いた時はべつの自分がいるような感じがした
自分が止められない感じだった
「そうするつもりだ。俺はこれからも、金のためにこんな依頼を受けるかもしれねぅ。気に入らねえなら、今のうちに・・・」
時が止まったきがした。なにも考えられなくなった
”今のうちに・・・”の後は仲間から外してくれが入ると思ったから
一緒にいてくれると言った。私のことを知っても一緒にいてくれると約束したのに離れていく。
あのこと以来手に入れることができないと思っていた本当に信じることのできる仲間なのに・・・
裏切られた気持ちがした
私の中での裏切りは信じた人がはなれていくこと。今のリックがそうだ
もーどうでもよくなった。なにもわかんなくなった
泣けてきた。だけどこんなのを見せたくなかった・・・なにかが壊れたきがした
何を言ってるのかわかんなかった。とにかく逃げ出したかった
だけどリックは逃がしてくれなかった
腕を掴まれたけど、そんなことどうでもよかった。なにも聞きたくないし逃げたいという気持ちが強かった
そしてそのまま抱きしめられた
イヤだった。裏切ったのにやさしくされるのが・・・・
そして私はリックをふりきって逃げた
リックは気づいているのだろうか、約束は口先だけだったてことを・・・
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注意
これは同じ場面を前半リック、後半はリュインの視点で見たものです
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