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No. 00111
DATE: 1999/09/24 03:46:51
NAME: ディオン&リティリア
SUBJECT: たった一つの為に
リティリア はっきりものを言い過ぎの冒険者
ディオン ラーダの神官戦士
アルフィデア リティリアの主人である。病床に伏せている
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ここはエレミアのとある冒険者の酒場
今日も多くの冒険者がその日の生を謳歌していた
パーーーン
頬を叩くいい音が聞こえた後
「ごめんなさい。私、あんまりなれなれしくされるのが嫌いなの」
「なんだと、人が下手に出てればいい気になりやがって」
頬を叩いたのはまだどことなくあどけなさが残る少女であり、叩かれたほうは酒もかなり入ったいい歳をした男だった
「下手にでた?下心があったの間違いじゃないの?」
男の顔が少し赤くなったようだが少女は無視しさらに
「なんで私がそう言うか教えてあげましょうか?」
男は怒っている事が見うけられたが少女は言葉をとめず、さらには笑みを浮かべて
「まずはそのやたらめったら体を触ってきたこと。やたらめったら酒を飲まそうとしたこと。それに下心がなく優しくしていたって言うのはおかしいわね」
男は完璧に顔を赤くし
「そこまで言われる筋合いはねぇ!!」
と少女に殴りかかった
少女はそれをさらっと避けながら
「あたってるからって暴力に出る事はないでしょ。それとも力でしか相手をねじ伏せれないわけ?」
とまだ言葉を止めようとしていなかった
何度か避けた後不意に少女は誰かに後ろから羽交い締めにされた
「へへへ、姉ちゃん観念しておれ達の相手をしな」
どうやらあの男の仲間らしい
「ジェス、ちょうどいい。しっかり捕まえていろよ」
「ああ、わかってるよ。だけどおれが先だからな」
男は少女に近づき
「へへへへ、観念しなよ」
少女はじと目になりぼそっと
「イヤ・・・それになに?女一人によってたかってしか止められないの?バカじゃない」
二人の男の怒りは頂点に達し
男は少女に殴りかかりジェスは力を入れた
「おいおい、そのへんで止めておけよな」
苦笑を浮かべた男がジェスの腕を握っていた
「あんだ?てめぇ、一緒にやられたいのか?」
止めに入った男は無言で手に力を入れていった
「いてー、はなせ」
「なら止める事だな」
「ちぃ、おいジェス。放してやれ」
「ちぃ・・・命拾いしたな」
男は少女を放す
そして男達は酒場を出て行った
それを少女はニッコリ笑って手を振っていた
「おいおい、助けが入らなかったらどうするつもりだったんだ?」
「どうにかしたわよ。でも、助けてくれてありがとうね。私はリティリア・アルフィート。よろしくね。神官様」
男はまた苦笑を浮かべると
「おれはディオン。まあ、神官は神官でも破戒神官だがな」
「でも神官様なんでしょ。よかったら助けてくれない?」
「俺ができる事だったらやるが?」
二人は隅の席に移動し
「助けてもらいたいのは、私の主であるアルフィデア様なの。最近ずっと病に伏せているの」
「おいおい、なら医者に見せればいいだろ」
「見せたわ。だけど匙を投げられたの。私、アルフィデア様がいなくなるなんて信じたくない。アルフィデア様は私の全て。あの人がいなかったら今の私はいなかった」
「大事な人なんだな」
「当たり前よ。今の私がいるのはアルフィデア様がいたからこそだもの」
「わかった。できるかぎりはやろう」
リティリアはぱっと微笑み
「ほんと、ありがと。なら明日にでもここに来て」
リティリアは手早く地図を書きディオンに渡した
「わかった」
「それじゃあお願いね」
リティリアは足早にでて行った
次の日、ディオンはリティリアに渡された地図を頼りにある屋敷に来ていた
「ここだよな・・・」
躊躇いがちにノックをするとリティリアが出てきた
「おはよ、待っていたよ。さ、こっち」
「ああ」
リティリアに連れられてきた部屋には一人の男が寝ていた
「アルフィデア様、この方が昨日言っていた神官様です」
「ありがと、リティ。だけど僕はもう助からないよ」
リティリアは悲しそうな顔になり
「そんなこと言わないでください。私はあなた様がいないと生きていけません」
「リティ、そういうことは言わないでおくれ。僕も悲しくなるから。それより神官様。僕は助かるのでしょうか」
ディオンは苦笑を浮かべてアルフィデアに近づき
「神官様はやめてください。ディオンでいいですよ」
それからアルフィデアの様子を観察した
肌は青白く、痩せ細っていた
ディオンは一応キュアー・ポイズンと、キュアー・ディジーズを唱えたが効果はまるでなかった
アルフィデアは微笑み
「やはりダメだったようだね」
「すいません。俺が未熟なだけです」
「君のせいじゃないよ。気にしないでくれ」
ディオンとリティリアは食堂で簡単な食事をしていた
「・・・助けることは無理なの?」
「高位司祭に頼めばいいが・・・」
「お金ね。見てわかるでしょ。アルフィデア様は下級とはいえ一応貴族。だけどこの家の寂れ様は親戚連中が管理しているのよ誰もアルフィデア様のことを心配してない・・・・私だけなの」
ディオンは無言で食事を続けた
「ねぇ、私とパーティを組まない?これでも一応精霊使いなのよ」
「へぇ、どれだけの魔法が使えるんだ?」
「一応癒しくらいまでは使えるわ。どう?」
「いいよ」
リティリアは立ち上がり
「ホント。ありがとう。すごく嬉しい。・・・ねぇ、よかったら宿なんて引き払ってここに住みなさいよ。見ての通り部屋なんていっぱい空いてるからさ」
ディオンは苦笑を浮かべて
「いいのか?」
「いいのよ、その方が楽でしょ」
「まっ、確かにそうだな」
「ならきまりね」
それからディオンはリティリアの家で暮らす事となった
といっても2ヶ月だけ
二人がコンビを組んでいたのも2ヶ月だけ
アルフィデアの容態が思わしくなくなったのでリティリアが、冒険にでれなくなったからである
別れは悲しくなかった。また会えると信じているから
それにリティリアには大切なアルフィデアが側にいるから
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