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No. 00154
DATE: 1999/10/19 00:45:26
NAME: カオス(レド)
SUBJECT: 牧場岩巨人退治3日目(到着編)
**登場人物紹介*******************
カオス,記録者(笑)。高位の魔術師で盗賊でもある変人。
レイシャルム(レイ)。吟遊詩人で凄腕剣士,人外(笑)。
アレク。女戦士,かなりの腕,やっかいごと引受人。
ナヴァル。美形のお喋り剣士,無類の馬好き。
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朝。
焚き火の残り火に,土をかけて消しながら,頭の中で考えていた。
・・・噂のDエルフ,皆にはああ応えたが。
最悪の場合,知っている奴かもしれん,・・・どうするか,な。
「カオス、いくぞ。」
と、レイが背負い袋の紐を肩に掛けながら声を掛けてきた。
全員,食料は持参だ。
馬車に乗せるという手もあるが,何があるか解らない手前。
冒険者は自分の荷物を自分で持つことが多い。
昨晩,商人の護衛をすることに決まったので,
一応馬車の回りにつく。
ナヴァルは変わらず馬の横。
レイが左,アレクは右。私は馬車の後方5m程を離れて歩く。
アレクは昨日と変わらず歩いている。
レイは流石に,とは言ってもいつも通りだが,何気なく警戒している。
私は,見張りどころではなかった,最悪のケースを考えると。
もし、知り合いだった場合,何重の意味でも困ったことになる。
取りあえず,村に着いたらこの「変身」を解こう。
あとはDエルフと単独で会うチャンスを作る・・・。
全てはそれからだ。
アレクが不意に振り返って話しかけてきた,昼前のことだ。
「ねぇ、カオス。岩に化けてるトロールってどうやって見分けるの?。」
「ん、お前には無理だ。・・・そうだな。」
少し考えてみる,アレクは無理だと解っていても。
レイやナヴァルは何か魔法が使えるのだろうか?。
古代語は無理だとしても(発動体はもって無さそうだし)。
精霊魔法か,神聖魔法。
いや、まてよ?、レイは魔法は使えないと言っていた気もする。
ナヴァルはどうだろう。
「アレク,ナヴァルに聞いて見ろ,何か方法があるかもしれん。」
私がそう言うとアレクは前の方に走っていった。
昼になり,昼食の支度をしていると,ナヴァルが寄ってきた。
「・・・アレクに聞かれたが,私は見分けられるかどうか自信は無いぞ?。」
「ああ、すまんな。それよりナヴァルは魔法は使えるか?。」
「ああ、精霊の力を借りることは出来る」
「光の槍は?、つかえるか。」と手で槍の形を作るカオス。
「力を借りることは出来るがそれを槍として打ち出すことはできんな。」
「そうか・・・」顎に手を当てるカオス。
「常に勇気の精霊とは共にありたいものだがな・・・」
といった言葉をカオスが聞いて無さそうだったので顔をしかめるナヴァル。
「仕方がない・・・でっかい岩は全部トロールだと思え。」
私がそう言うとアレクは文句の有りそうな声を出していたが。
・・・・・・取りあえず気にしないことにする。
村に到着すると、すでに日がくれていた。
取りあえず村長の家に向かう4人。
・・・コンコン。
ガラガラ・・・。
「・・・・・・冒険者の方ですか?。」
と、木剣のような物を構えた村人が尋ねてくる。
後ろには人だかりの山。
ざっと30人はいるだろう。・・・村人総出なのかも知れない。
レイが頷く。
よかったぁー,と言うような声と共に,その場の雰囲気が和む。
村人達のほっとした表情とは逆に,私は厄介な事になっていそうだな,と。
心を引き締める。
村長の前の席が開かれ,4人の座る場所が出来る。
「実はダークエルフに子供達がさらわれましてな。」
村長の言葉にレイが顔をしかめる。
ナヴァルは上を向く。・・・私は下を向く。
「話が違うんだけど・・・。」
アレクの言葉に村長も顔をしかめる。
事情を聞くと,昨日,初めて要求があったという。
ダークエルフが村長の家に夜中に訪れ,牛10頭を請求。
取りあえず,おとなしく要求に従ったが。
今日の要求も牛10頭。
朝までに届けて置かねば子供が1人ずつ牛の代わりになる,と言う。
「牛10頭か・・・トロールが喰うとなればかなりの数が居るに違いないぞ。」
ナヴァルが口中でぶつぶつと計算しながら言う。
・・・・・・こいつ、思ったより頭がいいのかもしれんな。
胃の大きさからトロールの喰う量をはじき出すとはな。
私はナヴァルが意外と学識豊かなのに驚いた。
もしかしたら正規の勉強を積んでいる人間なのかもしれん。
オランでさえ字の読めない人間の方が多いだろう。
計算が出来ればかなりの物だ。
旅の知識だけでは体積の計算など出来んだろうしな。
こう言う時,レイとアレクは役に立たない。
アレクは方法の選択は出来ても,戦略などたてられんし。
レイは結論を簡単に出さない男だ。
結局,方向としてはアレクの子供は助けたい,と言う意見に、
レイが賛同したため,新たに村長から子供救出の依頼も受ける事になった。
順番としては,子供救出,ダークエルフ退治,トロール退治,となる。
ナヴァルが牛の腹にとりついてトロールに奇襲をかける,と言う提案を出したが。
同時に子供達とダークエルフを押さえて置かねばしょうがなく。
しかもトロールは夜目が効き,夜行性であろうと言うことから,
今晩の奇襲は却下された。
私は,取りあえず牛を届けに行くついでにトロールの数を調べることを提案し。
4人で出かけることにした。
レイが牛が可哀相だとか何とか言って,ナヴァルと話していたが,
・・・・・・取りあえず無視した。
私は外に出ると,外套を脱ぎ(目だつので),「変化」の魔法を解く。
この方が戦いやすいからな,万一のためだ。
そう言うと,レイとアレクは納得していたが。
ナヴァルは初めてみた私の姿に驚いていた。
「お主は・・・?。」
不思議そうなナヴァルに説明する。
この姿も年齢も偽りで,私の本当の名はレドウィック・アウグストといい。
27歳だということ。訳は言えないが,姿を偽る必要があって。
普段はあの格好でいるということを。
私は腰のあたりまである黒髪を首の後ろの方で軽く縛ると,
わきゃわきゃしているナヴァルに,髪はさわらせんからな、と釘を差す。
丘に牛を解き放つと,私は「透視」の魔法を使い。(範囲拡大)
トロールの位置と数を3人に教える。
「アレと、アレと,・・・そこのもそうだ。」
へー、とかほーとか言っていたが,
まあ、大体どんなのがトロールかの検討はつくようになったようだ。
全部で10体いた。
「・・・・・・多いな。」「確かにな。」
そんな会話を交わしながら村長の家へと帰る。
明日は忙しい1日になりそうだな,とおもいつつ。
私は休息をとるため深い眠りについた。
新王国歴511年9の月15の日、カオス回想記
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