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No. 00186
DATE: 1999/11/26 03:08:54
NAME: ユングィーナ
SUBJECT: はかどらぬ調査
どうも要領を得ないというか、調査がはかどらない。
1の月に起きた事件など、覚えている人も少ない。掘り起こしたところで、出てくる情報は当時と大差なし……。こうした地道な調査はあまりしたことがなかった。それを思うとアルフォーマとブローウィンの助力は計り知れないものだったんだな……。
貴族上がりで衛視隊長からはじめたものの、命令だけで共に草の根を分けて共に動いてはいなかったからな。
どうも貴族という立場は市民には受け入れられにくいようだ。物腰、言い回しが気にくわないと何度言われたことか……。
それに気がついたところで、直せるものでもなし。
女性の衛視と知って口をつぐむ男もいる。いい度胸だと言いたいが、一般市民につっかかったら衛視の名折れだ。こんなのでは騎士になることは夢また夢だろう。
それで私は私服で回るようにした。時には冒険者のような格好をして聞き込みに回ったこともある。
しかし、これはこれで問題があった。やはり物腰と言い回しがいけない。貴族崩れの冒険者と衛視のときより酷い蔑みを受けた。
冒険者の格好はやめ、普通の服で動くことにした。問題は多々残っていたが、今までで一番マシだ。
しかし、孤児院に関わった者の名前は依然として知れない。
腕利きの盗賊が関わっているということは耳にしたのだが……。
先日、さる冒険者の店で休んでいると、西の方からやってきた吟遊詩人の男と話しをすることがあった。もののついでに孤児院のうわさ話などを期待半分で依頼した。このとき、妙な感覚を受けた。
事件が事件だけに表立って人を使って調査することはできないと考えていたが、それはあくまで衛視の人員と考えた場合のことだ。すでに容疑者は捕まえられて拷問中。今更事件について調査している者がいるとは想像もしまい。
こうした酒場で、当て所もなく情報を集めるように働けば、運良く手にはいるかもしれない。一人よりは二人、二人より三人の方が確率は高かろう。
そうか、こんな簡単なことに何故気がつかなかったのか……。
気がつくわけないか、貴族というプライドの塊だった私が冒険者を使おうという発想など……。思いついたことの方が不思議とも言える。
なにをやっているんだろうか、私は。
騎士になるために通過点である衛視の職は全うしなければならぬというのにな。
あの男のためにか? いや違う。無実の男を処罰してまで騎士になどなりたくないだけだっ!
そのあと、変な三人組と出会った。
アーノルド、バルカン、クルップと言ったかな。調子のよさそうな連中だった。奴らが声をかけてきたから睨んでやったんだが、手のひらを返したように大人しくなった。こういうタイプの男の扱いはなんとなく判る。似ているといっては奴らに悪いが、フィーリングというのだろうか、共通するものを感じた。
それでつい、この男たちにも事件調査の依頼をしてしまった。
どこから金を出すというのか。今の給料じゃあ、屋敷の使用人たちにさえ満足な給料を支払えないというのに……。
破滅の道を歩んでいるのだろうか……。
私にとって何が一番大切だったのだろうか……。
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