 |
No. 00001
DATE: 1999/12/09 15:04:07
NAME: リーフ、ファズ、他
SUBJECT: 濁った渦の底【地下の暗黒司祭編】
【関係者一覧】
ファズ・・・魔術師。暗黒神官に囚われの身の、眠り姫(男)。
ケルツ・・・たそがれた風情のある精霊使いで吟遊詩人の男。ファズの被保護者。
ディオン・・・努力派ラーダ神官戦士。ファズの相棒。
リティリア・・・盗賊で精霊使いの女。ディオンの知りあい。
スカイアー・・・元ロマール騎士の、剣士。渋さを追求する、堅実派。
レオン・・・ヒーロータイプの精力的な戦士。ファズの知人。
エーベン・・・基本的には思慮深い、知性光る人道的ラーダ神官。最後に愛が勝つ。
フェリアス・・・話のわかる学院魔術師。やり手そうだが盗賊ギルドにも出入りがある。
リヴァース・・・年中仏頂面の半妖精。
レド・・・赤魔道師。えらそう。現在変身中。リーフの友人で、微妙な立場にある。
リーフ・・・ファズをさらった、笑顔の魅力的な暗黒司祭。今回の花形。
■ ____________ ______ ____ __ _
冬がやってくる前に、ケルツが、母親の墓参りに行くという。墓は、ムディールにあるらしいが、正確な場所はまだはっきりしていない。
オランに来てからのケルツの変化は、彼を知るものには明らかだった。 麻薬を開発した父親の死をはじめとするいくつかの事件を経て、心情を整理した結果なのだろうか。子に愛する夫の姿を重ね、死に際まで異常な愛を示した母親。死したとはいえその母に、正面からまみえようという気がおこるまでには、さまざまな心境の変化があっただろう。
ケルツの内省的で暗く翳りのある眼差しは変わらなかったが、人に接する態度は、やわらかな物腰のものになった。もともとは人好きするほうであったのかもしれない。しょっちゅう怪我したり風邪をひいたりしている様が、どこか虚弱にみえて周囲の保護欲をそそるのか。彼の周りには、いつしか人が集まるようになっていた。
その彼の、旅立ちの足を止める懸念事が、ひとつあった。
彼の友人兼保護者である、魔術師ファズの失踪である。
ファズ。ロマール出身の正魔術師。アナーキーで無神論者。
一般の場である酒場で魔法を使用したことから、学院から懲罰を受けた。マナ=ライがいくらがんばって魔術を浸透させようとしても、一般人にとって魔法使いへの畏怖と偏見は根強いものであり、軽々しく魔法を使うことは諌められている。
ファズはその後、自暴自棄になり、荒くれ者たちと乱闘騒ぎを起こした。その際、片目を失った。そこに、暗黒司祭のリーフが現れた。リーフは、ファズが失った片目を取り戻してやろうと、甘言を持って彼に近づいた。
暗黒司祭は、「力を得る為ならなんだってしますか?」と、彼を誘った。それは、ファズにとって非常に魅力的なものに思えた。ファズは最後の肉親である兄と弟を、自分の力足らずがもとで失ったと思い込んでいた。リーフが美形で妖艶だったからではない。それもちょっとあるのかもしれないけど。
彼の返答はこうだった。
「正義だとか優しさなんつーお題目ならべた所で役には立ちゃーしねーんだよ。オレには力がヒツヨ−なんだ!」
一見、納得させられることをいっているが、結局は一番分かりやすいところを求めているだけのようだ。魔術師らしい論理をこねくり回されるよりは、いいのだろう。
リーフは、彼の失った右目を復活させてやることと引き換えに、ファラリスのために、蘇った目で見た者10人を殺して捧げることを要求した。
(参考EP→ 牧場岩巨人退治(トロール掃討〜帰結編) (後半部))
その後、目と引き換えに殺した子たちの贖罪のために、彼は、身を翻し、一人リーフに歯向かった。そして、あえなく返り討ちに合う。後々利用できるだろうということで、リーフの仲間のダークエルフの魔法により、ファズは、眠り姫にされた。
かくして、今回の事態と相成った。
一人暴走は、他の者の迷惑を招くといういい例である。
ちなみに、「巻き込みたくない」というたわごとは、「人間関係」「ひととひととのつながり」がキィワードの遊びの場においては、通用しない。単なる独り目立ち屋と映ってしまう。気をつけよう。
なお、そのダークエルフは、上のイベントのなかで、元仲間のレドウィック=アウグストにより殺されている。詳しくは、カオス氏による【牧場岩巨人退治】シリーズ参照。宣伝宣伝。
さて。ディオン。物腰のやわらかい偉丈夫の神官戦士。用も無いのに酒場に四六時中たむろしていることから、酔いどれ神官という非常に分かりやすい二つ名を頂いている。ラーダの神官でありながら、神は絶対でないという考えが、神様嫌いのファズの気に入ったらしい。それがきっかけで、ファスとは相棒といえる付き合いをしていた。その彼が、友人の失踪に関して、黙っている所以はなかった。
暗黒神官であるリーフのところへいくといって、そのまま行方をくらましたファズ。その安否を気遣うケルツとふたり、深刻にどうするべきか、話し合った。しかし、方策は出ない。なるようになれ、できることをやろう、と具体性に欠ける結論。アイデアの足りなさは努力で補う、根性派の知識神神官。
ここに再び登場するのが、レドウィック=アウグスト。創成魔術に関する,度重なる禁忌の実験を行い、学院から危険視されている。暗殺者であった経歴もあり、指名手配されていたこともある危険人物。通称、赤魔道師。
現在、追手のわずらわしさから逃れるために、変身の魔術により少年の姿をとり、カオスと名乗っている。若返り願望があったのだろうか。ともかく、非常に、ややこしい男。
どうしてここで、彼が出てくるのかだが。
レドは、件の暗黒司祭、リーフの友人だった。旧い冒険仲間らしい。悪党どおし、妙な義理で結びついているのだろう。二人とも美形らしいけど、婦女好きする想像...は気持ち悪いのでやめておく。
彼が、リーフとの間を取り持って、彼の居場所を探査の魔法で探し出し,ケルツとディオン、そしておまけのもう一人を、下水道入り口にて、リーフに引き合わせたのである。ここにようやく、事態進展。
その今回の目玉悪役・リーフは、オランの広大な地下のどこかに生息していた。社会問題にならない程度に、裏町の人間をさらってきては、生贄に捧げたりしている、笑顔の怪しい暗黒司祭。ファズの失われた右目をあっさり回復させてしまうあたり、えらいのが敵がでてきたと嘆息させてくれる。ただ,旧友の前ではちょっと子供っぽくなるようである。
リーフがその交渉に応じたのは、単なる暇つぶしだったのか、潜在的な敵の勢力を把握しようとしたのか。
彼は、鉤爪のついた怪物を連れていた。アザービーストと呼ばれるモンスター。魔界の獣だそうだが、どうやって召還してきたのだろう。これがまた、不気味ににケルツたちを威嚇する。ペットの趣味はよろしくないらしい。
とにかく、リーフの口から二つのことが明らかになった。ファズは、動けない、聞くことも喋ることも出来ない状態ながら、生きてはいること。そして、地下の最深部にいること、である。
ここに、よせばいいのに、事態をもっとややこしくした者が居た。
北への旅から戻ってきた、仏頂面のハーフエルフ。リヴァースと名乗っている。
もともと、ファズの弟との付き合いが深かった。自暴自棄な奴を見ると腹が立つ性分であることので、ファズ自身とも喧喧諤諤にやりあっている。ファズの方は、弟から死ぬ前に何か遺言されていたらしく、リヴァースが旅に出るとき、ついていくと言い張っていた。リヴァースはだまって旅路につき,置いてきぼりにしたはいいが、それ以来、ファズからはとんと音沙汰がない。文句の一言もあるだろうといぶかしんでいたところに、戻ってきたら、この事件にぶつかった。
ケルツとディオンにくっついていって、暗黒司祭リーフと会談に割り込む。そして彼にひとめぼれ...もとい、好奇心を抱いたのである。
これがいつも妙な方向に突っ走るために、扱うPLはいつも後始末を背負い込み、過労死しかける。自虐趣味。
自らの欲望を抑えることなく自分を高めること。それが望みとリーフ言った。 レドは、リーフを殺したくないといった。彼は「孤独な奴だ」と呟いた。
それが、悪党好きの、ツボにはまったらしい。
リヴァースは自問する。
彼は孤独のなかで、何を見て、何を感じて、何を経たのだろう。
その疑問の原点にあるのは...自分自身の力への渇望。
なぜ、あの男は、ああも酷薄な笑みを浮かべるようになったのだろう。
...そう、「どうやったら」ああなれるのだろう。
―――そこ。ダークに浸るの、やめなさい。
リーフを騙してファズを奪還し、彼の居場所を無くしてこの街から追放。それが、レドの掲げたいちおうの目指すところだった。リヴァースはそれを目標とした。
連続誘拐殺人事件の元凶である暗黒神官相手なのだから、至高神の神殿をけしかけるか、とも考えたが、リーフを殺せないと考えた時点で、没。
ファズの捉えられた場所の特定。
リーフを別のところへおびき寄せる方法。
暗黒神官側の戦力の把握。
リーフの居所の破壊。
そのあたりが、課題となるだろう。
...まずは、リーフの居所を調べるために、複雑怪奇にのたくった地下の下水道の「最深部」を、おおっぴらに探す方法。調査には人手もいる。それを考えることからはじまった。
リヴァースは、下水道の資料を求めに学院にいった。そこの掲示版に、下水道の生態調査に関する古い論文が掲示されていた。フェリアスという魔術師が行ったもので、現在、その研究は滞っているらしい。企画をはじめたはいいが、実際の調査を、育ちのいい学院生がやりたがらないのだ。人海戦術がものをいう地道な調査に、これは死活問題であった。
渡りに船とばかりに、その魔術師の下におしかけ、地図情報と引き換えに、その調査を申し出た。地下の状態を調べるのに、敵さんに対する隠れ蓑となるからだ。ついでに学院から報酬も得られて一挙両得。大義名分のある公共事業には金はおりやすい。
詳しいことは、このへんの宿帳と,フェリアス氏EP「下水道調査前」参照のこと。
...なお、これらの考えを、後からさんざん後悔する羽目になったのはいうまでもない。下水道。とにかく臭いし、汚いし、妙なの一杯居るし。どういう苦労となったのかは,後のEPで語られることになるのだろう。
とにかく、そういうわけで、いらんことしぃのリヴァースが、動いた。 顔と名前を知られてないのをいいことに、生態調査人員募集を、張り紙した。
そして、レドが頭を抱えた。
リーフは使い魔であるインプを持ってるんだ。オマエらの動きは筒抜けだ。ファズを殺したいのか?
街の年末行事が進んだだけだ。動きを起こさないと何も進まん。あっちからの交渉がそもそも信じられるものなのか。
とりあえず話は平行線で決裂。もうちょっと融通利かせろよおまえら。
で、あとの参加者面々。
スカイアー。
漬物を当てに茶を啜る,独特のスタイルを持つ剣士。酒場の掲示版に掲げられたバイト話。リヴァースに声をかけられてみると、やっぱりこちらも、ファズの知りあいだったわけで,傭兵なのに割に合わない仕事を受けることになる。なんでも、ファズは、身寄りのない、会話もできない、仲良くなったエルフの子供を、ほったらかして失踪していたらしい。そのことに関して、物申すことがあるとのこと。育児の後始末でもさせられたんだろうか。
リティリア。
ディオンの友人。彼女自身はファズを知らない。ケルツとディオンが、ファズのことを会話にしてた場面で、ついていけなくてさみしそうにしていた。話に入りたかったのだろうが、クールが売り物で、自分が人に関心を示すことを認めたくないらしい。結局、リヴァースに声をかけられて、金が無いというのを理由にして、参加。
自分の能力を見せたくないのか、精霊使いであることは隠したいらしい。現実派、なんだろう。
レオン。
戦士。金に困窮しているわけでもなさそうだが、他に仕事が無くて暇だったのか、掲示板の割りの悪い労働条件にもかかわらず、参加を申し出た。ファズとはとりあえず友人。彼とは馬が合っていて、貧乏な魔術師のために、金を貸したり飯をおごったりしてたらしい。今回のかかわりの動機は、その借金を取り立てようとしているわけではなく、やはり人道的理由から。いまどきの冒険者には珍しい正義派人格者。状況把握の努力は怠らない。
そして、エーベン。
ラーダの神官たる彼は、魔術師フェリアスの友人であり、生態調査のもともとの協力者でもあった。フェリアスに依頼の後ろにある真相を聞いたとき、その話に出てきたファズという名にはまた、心当たりがあった。
アンチ神官派のファズと論争をしたことがあり、エーベンはひたすらに信仰の意義をといた。しかし神様嫌いのファズに拒否され、報われなかった。それどころか、彼に刺されてしまった。それ依頼、エーベンはファズを更正させたいと願っているわけであった。恨みより布教。神官、かくあるべき。
さて。
優秀な使い魔により冒険者の動きをかぎつけたのか、リーフはレドの元を訪れ、協力を要請した。(→参照EP、レド氏による裏切りの魔術師)ファズを返す代わりに、レドが冒険者を追い払うということになったらしい。それって、そもそも、話し合いでカタがつくことにない? ファズが戻ってくればそれでいいわけだし。レドがその気になって話を持ちかければ、みんなそれで引くだろう。
でもそうしない。友人に対しては、案外、律儀な、レド。
たぶんリーフは、血なまぐさいのが見たいのだろうし。
冒険者たちは、下水道調査までに、盗賊ギルドに地下情報を求めたり、行方不明になった者を洗ったり、リーフの連れていた化け物のことを調べたりしながら、それなりに忙しく日々を過ごしていった。
そして、11の月18日。ケルツ、ディオン、リティリア、スカイアー、レオン、フェリアス、エーベン、リヴァース。それぞれのグループにわかれて、下水道調査が始まる。学院魔術師のフェリアスは、自分も調査に加わる模様。彼は自力で、盗賊ギルドから、下水道地図を手に入れていた。目的場所のサンプリングのしかたと注意点を説明した後、とりあえず皆に自重を言い渡す。なにかあっても冒険者相手。責任問題になることはないのだろうけど。
それを待ち構えるリーフ。複雑な立場のレド。
結局、ややこしいのは人間関係。金だけで動いてくれる人が、一番楽なんだけど。
何だかんだいって、みんな行動してくれるんだから。愛されてるのだな、ファズ。この果報者。君の人徳なくして、このイベントは進まない。
汚水にまみれ悪臭立ちこめる下水道には、なにがある。対リーフ戦で、地の利は得られるか。フェリアスの論文は完成するか。オランの地下環境は改善されるか。・・・それは今後のEP次第。
というわけで、・・・「続く」。
なお、以上の記述は、著者の独断と偏見でまとめたものです。時間の都合上、関係キャラのPL様がたの諒承はいっさい、得ておりません。ごめんなさい。
異論反論、これはちがう、こんなん自分のキャラじゃないわ!という不平は・・・掲示板あるいはご自分担当のEPで訂正してくださいますよう、お願い申し上げます。(逃)
 |