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No. 00003
DATE: 1999/12/11 00:13:52
NAME: リュイン&ルーファ
SUBJECT: 決着・・・最後の瞬間
ここはオランの外れにある原っぱである
時間は夜。普通、こんな時間に人っ子一人いない時間である
それなのに今日は人がいた
一人は闇を纏ったような黒尽くめの男、名をルーファ・レンロードと言う
もう一人は軽装の少女、名をリュイン・ディオーリンと言う
二人は静かに見詰め合っていた。だがその間にはただならぬ雰囲気が漂っている
二人の間を静かに冷たい風が吹き抜けた後、先に口を開いたのはリュインのほうだった
「呼び出された理由はわかっているだろ」
「ええ、わかっていますよ。あなたのその姿を見るのは久しぶりですね、そしてその目も」
すっとルーファが杖の先につけていたライトの光がリュインを照らす
ルーファが言った通り、リュインの目付きは普段見せることのない冷たい目付きになっていた
そして格好は男の格好では無く女の格好をしている
リュインはルーファの言葉を無視してルーファを睨みつけていた
「邪魔者は消せですね」
「決まっているだろ。君には消えてもらうよ。私の未来の為にね」
「あなたが苦しみ抜いて死ぬ所を見るまで僕は死ぬ気はありませんよ」
「そう言うと思っていたよ」
と言うと同時に、リュインはショートソードを抜いてルーファに斬りかかろうと走り出していた
ルーファはその行動を見るとすぐに呪文を唱えだした
ライトニングの魔法、リュインが苦手とする魔法である
なぜ苦手とするかというと昔ライトニングの魔法で酷い目にあったからである
リュインは体を強張らせ足を止めた
ルーファはその瞬間を見逃すはずもない。魔法を完成させ解き放つ
リュインはとっさに精神を集中して抵抗しようと試みた
一筋の閃光がリュインを貫く
抵抗したのかはわからない、リュインは表情を強張らせその場に片膝をついた
ルーファの方は今彼が使える魔法の中で一番威力のある魔法を使ったので肩で大きく息をついていた
大技であるライトニングの魔法を使ったので、後一回大技を使えばほとんど魔法はうち止め状態になる
そこで杖を捨てショートソードを抜きリュインを待ち構えた
そして剣と剣のぶつかり合い。だがお互い動きが鈍い
それなりに傷を作り作られていた
お互い致命的な傷は無いものの確実に傷を増やしていった
(・・・・・このままではまずいですね・・・・・・)
ルーファは剣では分が悪いと思い、後ろに飛び間合いをあけて魔法を唱えだす
彼は杖の他に指輪の発動体も持っているのだ
そして、ルーファはライトの魔法を唱えた
2人の間に、急にまばゆい光が現れた
ライトの光に備えて目を閉じていたルーファはともかく、リュインのほうは咄嗟に目を閉じようとしたが間に合わず、視界が真っ白になってしまった
慌てて視界を取り戻そうとするリュインに、ルーファは斬りかかる
気配と剣が振るわれる音を頼りにリュインは避けようとするが、避けきれずに腕に傷を負ってしまった
しかしリュインもただやられるだけではなく、そのままルーファがいるであろう方向に向けて剣をふるった
ルーファは慌てて距離をとる
リュインも、その間に視界は回復させることが出来たようだ
二人ともわかっていた、次の一撃が最後になる事を
リュインは疲れた体に鞭をうちルーファに向かった
ルーファの方が先に魔法を完成させ、光の矢がリュインを刺すがリュインは怯まずルーファの胸に剣をつき立てた
剣を突きたてられる前にもう一度ルーファは光の矢をリュインに向かってはなっていた
相打ちの形となった・・・だが倒れたのはルーファの方だった
リュインは肩で息をしながらルーファを見下ろし
「私の勝ちね。さようなら、ばけて出ないでね」
「僕の負けですか・・・ですが・・・あなたは・・・しょせん・・・僕と同じ狢の・・・人間・・・地獄で・・・待っています・・・よ・・・」
それだけ言うとルーファは血を吐き息を引き取った
「君と・・・同じ所なんて行きたくないね・・・」
リュインもそれだけ言うと倒れていた
そして戦いは終り、静寂が辺りをつつんだ
先ほどまで動きまわっていた二人も・・・二つの屍になっているように見える
もし、生きていたとしても死ぬのも時間の問題だろう
ただ静かに冷たい風が通りすぎて行くだけであった
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