No. 00022
DATE: 2000/01/08 17:07:09
NAME: イル
SUBJECT: [通り魔]目撃
少しばかりの暇ができたので、いつものように屋根に登って夕焼けを見ていた。
ふと、何かの倒れる音を聞いたような気がして、道をのぞいてみた。
通りは、一瞬人通りが絶え、誰も居ない。
なんだ、何もない・・・いや、あの建物の間に落ちているものは・・・人!?
慌てて駆け下りて行ってみると、女性が倒れていた。
白いドレスを真っ赤に染めて。
僕が駆け寄ると、まだ息があり、僕の手に何かを押しつけてきた。
そしてそのまま、力つきた。
安らかな、顔をして。
彼女は、若い、綺麗な人だった。
こんな所を一人で歩くなんて似つかわしくない、上品な人だった。
死因は、鋭利な刃物で背中から心臓を一突き、だそうだ。
僕の悲鳴で、誰かが連れて来てくれた衛視がそう言った。
僕を重要参考人として連れて行った所で。
首筋には、赤い印が描かれ、
片手は、ちぎられたように無くなっていたそうだ。
そんな力はないだろう、と、僕は釈放された。
もっとも、家に帰る途中ずっと、誰かのつけてくる気配を感じたが。
家に帰って、彼女に渡されたものを見た。
草色の宝石の付いた、繊細な細工の指輪だった。