No. 00066
DATE: 2000/02/16 20:04:27
NAME: イル
SUBJECT: 犠牲者【通り魔】
満天の星の下でいつもの様に屋根に登る。
昨日悪戯の精霊に会ったので、精霊の力にも気を付けて街を見渡す。
すると、負の生命力を感じる。多分スラムの方だ。
胸騒ぎがしたので、出掛けてみる事にする。
負の生命力の強い所を探してスラムを適当に歩き回る。
と、何か、悲鳴の様なものを聴いた気がする。
思わず其方に走って行く。
角を曲がると、一瞬路の向うの方で枝路に入る人影が見える。
追いかけようとするが、路に蹲っている人に気付く。
若い、いや、幼いと言った方が良い位の男。
腹を切られ内臓が見えている。
彼は力の無い声で何かうめいている。
「後少し頑張って下さい。病院に運びますから。」と言って抱き上げようとする。
が、そのまま腕の中で冷たくなってしまう。
彼を何とか神殿に運び込んだ。
その後、衛視にまたか、という顔をされて職務質問を受けた。
通り魔を捕まえたい、そう強く思った日だった。