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No. 00112
DATE: 2000/04/23 01:37:10
NAME: コロム
SUBJECT: 揺れる恋心1
これは4月2日に「古代王国への扉亭」にて話されたものを、コロムの立場になおして書かれています。
ふと目が覚めた。
2、3度目をぱちぱちとすると、わたしは枕を抱いて寝ていた事に気が付く。
おかげで髪はぼさぼさ・・・
枕を抱きしめたまま横に目を動かすと、寝る直前までいたもう一人がいない事にも気が付く。
「・・・・・・・・」
ぷっくぅとホッペを膨らましながら、枕をもって廊下に出る。
たぶん下で飲んでいるだろうと思いながら。
いっつもそうだからだ。「今日こそは」と思っても先に寝てしまい、起きたときにはいない事が多い。
目をこすりながら一階へと下りていくと、そこにはラスと一緒にお酒を飲んでいるカレンの姿があった。
「ふゃ〜〜ぁ、おはよお〜。」
同じくらいに表からカイが入ってくる。
慌ててラスはそっちに行くと、しばらくカイと何かしゃべっていた。
「よ、おはよう。・・・・・枕は置いてきても良かったんじゃないか?」
カレンが声をかけてくれる。
ぎゅう〜と、枕を抱きしめながらカレンに近づくと、ジト目をしながらこう言った。
「だってカレンがいないんだもん・・・・・・・」
その後、枕を置いてカレンに抱きつく。
わたしの頭を撫でながら、久しぶりに帰ってきたラスと一緒に飲んでいたと話すカレン。
わたしが寝た後、別の女と飲んでいるという訳ではなかったので、ちょっとホッとする。
「今日は店のほうは休みだったのか?」
私は、撫でられたままのほんわか気分で返事をする。
今日はお店のお仕事はお休み。だから・・・・
「いけないいけないこんな事に惑わされちゃダメだわ。」
慌てて頭を振って、ほんわか気分を追い出す。
わたしの様子を見て、ちょっとあっけに取られているカレン。
そのころ、ラスとカイは一緒に部屋に戻っていった。
気を取り直したカレンがわたしに聞いてくる。
「最近はどお? 変な奴につけられたりしてないか?」
「うん、大丈夫。それよりもさ、ねぇ〜今日こそいいでしょ♪」
すりよって上目づかいにカレンを見る。
少し間をおいてから、カレンは聞き返してきた。
「いいでしょ?…って? 」
「もぉ〜そうやっていつもいつもはぐらかすんだから〜 」
すりすりをやめて真正面からカレンと向き合って、ホッペを膨らます。
カレンは一つため息をついてから、私の肩に手を置くと、こう言った。
「あのな……いいんだよ、別に。俺は何をやっても……。でもな……いいか?ひじょ〜〜〜〜に問題なことがひとつあるんだよ。」
「なになに?」
その問題さえクリアすればいいと言う期待に、思わず目がきらきらしていたわたし。
でも、カレンは冷静にこう言った。
「……おまえ、そんなこと言ってて、いっつもお休み3秒だろ。」
「だってっだって気持ちよくって安心するんだもん。大丈夫今日はちゃんとお昼寝したから、なんなら今からだっていいよ。」
ズバリを言われて、慌てて言い訳するわたし。
でも、本当にお昼寝したんだもん。
「・・・・ほんとだな?」
枕を手渡しながら聞いてくるカレンに、わたしは何度も何度も頭を縦に振る。
「わかった。じゃ、いきましょうか。お嬢さん。」
わたしの手を握って先に2階への階段に向かうカレン。
頭の中に、物語のお姫様が出で来る。ああ、こんな気分だったんだね。
「はい、わたしをあなたの色に染めてください。」
もう、わたしはあなただけのお姫様♪
はっ。と気が付くとお日様が真上に・・・・・・・
「あああ〜。遅刻だ〜。」
わたしはベッドから飛び降りて、慌てて服を着る。
上着を着るとき、胸に付いているキスマークをみて、ちょっぴりうれしくなって飛び跳ねる。
まだベットで横になっているカレンに一声かけてから、わたしは部屋を出た。
入れ違いにラスが、部屋に入ってくる。
「なんかえらく慌てていたな・・・って、どうしたんだ。もう昼になるぜ。」
ベッドでぐったりとしたまま、返事をしないカレン。
少し心配したラスが何歩か近づいた時、カレンはかすれた声でこういった。
「ついさっきまでつきあわされた・・・・・まだ動けないから、しばらくほっといくれ・・・・・・」
ブッと吹き出すラス。
心の中でカレンは思った。
『俺が歳なのか、コロムが若いだけなのか・・・・俺はもしかすると大変な者を自ら背負っちまったのかもしれん・・・・』
そんなカレンの心を知らないラスは、笑いながら部屋を出ていった。
「よかったなぁ。だが、もうしばらくしたら降りて来いよ、果報者♪」
疲れ果てているカレンに、反論する気力などなかった。
遅刻した罰として、薪割りをする事になった。
「・・・・う〜ん。」
この斧、もうちょっと重い方がいいかな・・・・・こう振り回してみて〜、ちょうどいいような気もするけど、もうちょっと重い方が安心感っていうのかな〜?
後ろから敵が来た時の事を想定して、大きく斧を振りかぶりながら、後ろに一歩踏みだした時。
「コロム?」
あ。マスターが後ろから・・・って、止めようにも今朝の疲れからか止められない。
「どわぁ〜。」
斧が顔面を割る直前、マスターの両手に挟まれぎりぎりで止まる。
少し青ざめたマスターが、斧をわたしから取り上げながら、こう言った。
「オレを殺す気か?!」
その後しばらく怒られていたけど、ふと足下に落ちている紙が気になった。
それに気が付いたマスターが、冒険者向けの依頼だからお前に貼ってきてもらおうかと、頼みに来た所だったと言う。
「いきたい★」
わたしの勢いにちょっと圧倒されかけていたマスターだけど、とりあえず依頼を見てからにしろと言われ、紙を渡される。
「薪割りはもういいから、店の方に戻ってこい。」
そう言って先に店に戻っていくマスター。
この紙を渡してくれたって事は・・・・行ってもいいって事なんだ。
キチンとたたんでポケットに詰めてから、わたしはは斧を片づけて店の中へと歩いて行った。
その後夕飯を食べに来るお客が一段落してから、わたしは再度マスターに冒険に行っていいか聞いてみる。
「ちゃんとした仲間を集められるならばな。五人くらい集めたら、オレの所に一度連れてこい。そこで判断してやるから。」
「はい♪わかりました〜♪」
ひさしぶりの冒険に、わたしは胸躍るのを隠しきれなかった。
横で心配そうに見ているマスターに気が付いたのは、お客さんからの注文が入ったときだった。
とりあえず、カレンに相談して〜♪ミニアスにも声かけて〜♪
あ、フェイルさんも誘ってみよっと♪
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