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No. 00140
DATE: 2000/06/20 17:41:23
NAME: リティリア
SUBJECT: 思い深き街にて3〜再会・思い出の中〜
エレミアの外れにある小さな丘の上で一人・リティリアは歌を紡いでいた
いくつもの朝と夜を越えあの日が遠くなってもこの胸に残る思い変わる事ない
例えどれだけの時間を過ごしてもこの思いは消えないだろう
ただあの日が遠のく事だけは止められない 時間が戻るわけは無いから
もし時間が逆に回りあの日を再びやり直せてもこの思いだけは変わらないだろう
いくつかの季節を越えあの日が遠くなってもこの胸に残る思いは消えない
それだけ思いが大きかったから
これから先いくつもの朝と夜を越えいくつもの季節を過ごしても
思いは消えることなく変わることなく私の胸に残るだろう
そして物悲しいメロディーが流辺りを包む
それを打ち崩したのは丘を元気に駆け上がってくる一人の少女だった
「リ〜ア〜、やっぱりここだったなんだね。酷いよ、帰って来てるなら会いに来てくれたって良いじゃないか」
その声に音楽を止め駆け上がってくる少女を見た
「キーナ?」
息を切らしてリティリアの所まで来ると
「そうだよ。久しぶりだね。元気だった?」
「ええ、元気よ。あなたも相変らず元気そうね」
キーナと呼ばれた少女はリティリアの隣に座り
「うん、元気だよ。あたしが元気無いのは変でしょ。それよりなんで会いに来てくれなかったんだよ」
頬を膨らませキーナはリティリアを見た
リティリアはその様子に微笑むと
「ごめんなさい。色々あったのよ」
「それなら一言ぐらい頼んでも良いじゃないか」
「はいはい、悪かったわ」
「それよりここだよね、リアが精霊を感じたって」
リティリアは目を細めてキーナを見てから空を仰いだ
「そうね、確かあの時はあなたも一緒に居たわね」
「そうそう、いきなり空を見て何か居ると言い出した時はどうしようかと思ったよ」
キーナはにっこり笑ってからリティリアを見た
「あら、そうだったの。でも感じ無い人から見ればそんなものね」
キーナを見てにっこり微笑んだ
「それよりオランに行ってたんだって。ずいぶん幸せになったみたいだね」
リティリアはキーナから顔をそむけると
「そんな事ないわ」
キーナはリティリアを覗きこみ
「え〜〜〜〜〜そうかな。嘘をついたらダメだよ。いいよね、何時も一人だけ幸せになって、思わず崩したくなるよ」
キーナは無邪気な笑みを浮べだ。だが無邪気だからこそ底がしれなかった
「な〜んて、嘘だよ。リアの幸せをなにより願っているのはきっとあたしだもん」
リティリアは目を細めてキーナを見つめ
「ええ、そうだったわね」
と言いつつも内心では”そして誰よりも私の不幸を願っている人ね”っと追加していた
「リ〜ア、帰る時は教えてね。あたしも一緒にオランに行く」
「どうして?」
「だってね〜判るでしょ。リアの事を思ってだよ」
「・・・それだけでは無いでしょ」
キーナはにこっと笑い
「あり、ばれた。だってさオランでなにか良い事あったんでしょ。ならあたしもそのお裾分けを受けたいなって思ったの。ダメかな?」
「そんな事は無いわよ」
「ならき〜まり♪。ね〜リアは今どこにいるの?」
キーナは立ち上がるとくるりと振り返り、リティリアに手を出して聞いた
「覚えている?私がよく懐いていたお婆さん・・・あの人の家に今は居るわ。ただし一人でね」
リティリアはキーナの手を掴みながら悲しそうに微笑んだ
「うん、覚えて居るよ。それよりなんで一人なの」
ぐっと力を入れてリティリアはひっぱる
「亡くなったのよ」
その勢いにまかせリティリアは立ちあがる
「死んだんだ。歳だったもんね。ならさあたしが婆ちゃんの変わりにリアの面倒を見て上げるよ♪」
リティリアは諦めたと言う顔になり
「判ったわ。お願いするわ」
「よ〜し、ならさっさといこ」
とキーナはリティリアは手を引っ張った
「はいはい、わかったわ」
そして二人はこの場を後にした
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