No. 00171
DATE: 2000/10/02 06:55:40
NAME: リーファン
SUBJECT: ああ、導師様(前編)
私の名前はリーファン。
ここオランの魔法学院で学ぶ正魔術師だ。
当然の事ながら導師様について回っているわけだが、うちの導師様は他の導師様と毛色が違う。
彼の名はリュカオン。40代後半だろうか白髪混じりで伸ばし放題の髭が特徴だ。
どう毛色が違うのか…それは魔術師には珍しく行動派だと言うことだ。いや、正しくは行動させる派だろうか。とにかく私をよく呼びつけ無理難題を言い渡す、困った人だ。
今日も私は呼び出しを食らい、導師様の部屋の前に立った。
コンコン
「リーファンです。入ります。」
私は扉を開け中に入る。するとかび臭さが鼻につく。本がかび臭いのだからしょうがないとも言えるが、この散らかり様はどうゆうことか…そう3日前だっただろうか、私が掃除したばかりだったと言うのに、あちらこちらに本が散らかり机の上は何やら実験データの資料の山になっていた。その山にうずもれるように導師様は座っていた。
「おお、来たか。」
導師様はうれしそう言う。嫌な予感がする。こうゆう時の導師様は大抵無理難題を言い渡すのだ。そして、私の嫌な予感は外れたことが無い。
「今日来てもらったのはな、魔術師の手を借りたいと言う人が居てな。お前に行ってもらう事にしたのでな、その連絡だ。」
ほら来た。それなら自分が手を貸せば良いと思うのだがあえて飲みこむ。
「突然ですね。私に断りも無く決めないで下さいよ。」
「結果が同じならその経過はどうでも良いことだろう?さあ、これが依頼人の居るところの地図だ。」
と、言い放ち地図を私に押し付ける。
どうやら導師様の頭の中では私には決定権が無いらしい。いつか見てろよ、必ずお前より偉くなってやるからな…私はそう心に誓った。
〜つづく