No. 00181
DATE: 2000/10/14 19:08:44
NAME: ライン
SUBJECT: 5年前の出来事
私はその頃、ラムリアースに居た。既に冒険者として生活していて、腕は未熟だったがそれなりにやって行けた。
何故なら、姉さんが居たから。料理が上手くて、気立ても良く、スタイルも良い。そして何より姉さんは優しかった。
血は繋がってなかったけど、私は姉さんを本当の姉さん以上に慕っていた。
その頃は、冒険者としての仲間にも恵まれていた。特に私が仲が良かったのは、アイツだった。
アイツは私より力があって、剣が巧く、体力もあった。
夏でも冬でも青いマントを羽織っていて、無口で無表情な男。だけど言う事は何処か暖かくて、好きだった。
だから、姉さんもアイツを好きになったんだろう。アイツが私達の家に来ると、空気がすごく和んだ。幸せな一時だった。
・・・・・・・。だけど、そんな日も長くは続かなかった。いや、約一年続いたんだから長かったのかも知れない。でも、私には短く思えた。
私が家の前まで帰って来た時、中から争うような声が聞こえた。その声は二種類・・・・片方は、家で私を待っているはずの姉さんの声。もう片方は・・・・・・アイツの声。
私は、勇気を出してドアを開けた。
そこには、信じられない光景があった。胸から血を流し、血溜まりの中に倒れている姉さん。そして、血に塗れたバスタードソードを持っているアイツ。
私は、状況が理解できず、何かを口に出した。何を言ったかは、良く憶えていない。
「解らないのか?」
ただ、アイツはそう言った。
「本当は解っているんだろう?」
私が何を言ったかは良く憶えていない。だけどアイツの行動について問うような、そんな言葉を言った気がする。だけどアイツは私を突き飛ばして逃げて行った。
これが5年前の出来事。私がアイツに拘る理由。自分が決着を着けなくちゃいけない使命。