 |
No. 00190
DATE: 2000/11/01 08:14:48
NAME: コロム・フェイル
SUBJECT: 揺れる恋心3
これはエピNO.173の「揺れる恋心2(悪意ある偶然)」ののちの事を書いたエピです。
続きなので一応先にこっち↑を読んでいただけると、書き手としてはうれしいです。
主な登場キャラ・コロム、フェイル
ちょびっとキャラ・ミニアス、カレン、ラス、バリオネス
焦っている?
いや、動揺している?
迷っている・・・そんなわけはない。
では、何だ?
何なんだ、この感覚は。
殺らなきゃ、自分が不味い事になる。だから、殺る。
・・・・・・違う、のか?
『三ヶ月以内に下記の者を連れてくる事(生死不問)
金髪ショートの青い目をしたコロムという名の女。
期限内ならば成功報酬10000ガメル・・・以降2000ガメル』
この紙がギルドに届いてから一週間後、『以降2000ガメル』という部分が消される。
10月のある日。
きままに亭に夜が来る。
人々に笑いと喚起とひやかしを受けながら、コロムはエールを持って客席を回っていた。
「はい、おまちど〜さま♪」
一人で座っているフェイルの所に、ど〜んとエールを置く。
お金を受け取りカウンターへ向かおうとしたとき、不意にフェイルに呼び止められる。
「な〜に〜♪」
「仕事が終わってから、少しつき合ってはくれませんか?」
コロムの頭の中にカレンの姿が瞬間的に浮かぶ。
が、最近調べ事とかであまり相手にされてない戻ってこないせいか「いいよ。」と返事をする頃には、カレンの姿は頭の中から消えていた。
軽い足取りで戻ってきたコロムにマスターが声をかける。
「なんだ、良いことでもあったのか。」
「う〜〜〜ん・・・まあね★」
くるんとその場で一回転すると、周りの客からヤジや拍手が飛んできた。
もう一回という客の要望に応えてもう一回転。
その後もくるくると回り続けるコロムが、客を大いに楽しませていた。
「ちょっと回りすぎたかな・・・」
フェイルによりかさりながら歩くコロム。
「・・・これからど〜するの?」
「しばらく散歩、というのはどうでしょうか。」
「そうね〜。」
にこにこと無警戒に歩くコロム。
不意にフェイルが立ち止まり、コロムの首に手をかける。
目を閉じて待つコロム。
首に掛かった手はそのまま頬をへて、頭をなでる。
「もうしばらく歩けば公園ですから、そこまで行きましょう。」
スタスタと歩くフェイルに、ふくれっ面でついていくコロム。
『なんでキスしてくれないのよ〜。・・・あ、でも公園って言ったから・・・もしかするとそこで○▲×%`*★』
にやけた顔してついてくるコロムに気がつきもせずに、黙々と歩くフェイル。
公園の入り口辺りで一端立ち止まると、そのまま座れそうな所に向かって歩く。
茂みの近くを通ったその時、前触れなしで人が茂みの中から出てくる。
反射的にコロムをかばうように立つフェイル。
痺れを切らしたギルドの者だと思っての事だが、どうもそんな気配も雰囲気も違う。
しばらく木に向かってペコペコとしていたが、違う事に気付き振り返ってまたペコペコとし始める。
「ごめんなさい、ごめんなさい。いや、ちょっと捜し物をしているもんで、決して怪しいことは・・・」
顔の仮面を手で支えながらカップルだと気がつくと、ちょっとホッとしながらこう続ける。
「あっ。気にしないで。その辺の石コロだと思ってちょうだい。じゃ、続きをどうぞ。」
言うだけ言うと、再度茂みの中に消えていく。
しばらくあっけに取られる。
我に返ったコロムがフェイルの前に立つと、右腕を引っ張りながら笑顔でこう言う。
「座りましょ♪」
「あ・・・はい。そうですね、そうしましょう。」
その後も何度も二人で公園や、港の方などを歩く。
ある時、不幸にも暇していたコロムに見つかったミニアスが、フェイルとの話を聞かされる。
一通り聞いた後、ミニアスがコロムに一言。
「カレンは?」
「カレンはね〜・・・最近戻ってこないの。お仕事だって言うんだけれど戻ってくるとすぐに寝ちゃうし、わたしが起きる頃に帰ってきたり、いなかったりで・・・・」
その後2時間程コロムの愚痴を聞くはめになったミニアス。
『むやみに聞き返すのはやめよう・・・・』
コロムの言葉にうんうんうなずきながら、心の中でつぶやいた。
10月の終わり。それは肌寒ささえ覚える、風のある夜だった。
いつものようにフェイルと夜の散歩を楽しむコロム。
ふと気がつくと、人通りの少ない裏路地。
『はっ・・・こんな所で・・・?・・・・きゃぁ〜ん♪』
はっとコロムが気がつくと、いつも通りの笑顔を浮かべているフェイルがこっちを向いていた。
慌てて体制(?)を立て直すと、どきどきしながら「ど〜したの?」と聞いてみる。
「ちょっとすいません。」
しゃがんで靴ひもを結びなおしているフェイルに、首を傾げながら近づくコロム。
直し終わって立ち上がったフェイルの左手がコロムの右肩にふれる。
ちょっと照れながらもキスをもらおうと顔を上げるコロムだが、はじかれたように後ろに飛び退いた。
振り切られたフェイルの右手には、妙な色がついたダガーがあった。
「え・・・・?」
間髪入れずに駆け寄ってダガーを繰り出すフェイル。
呆然とした顔のまま、コロムはその攻撃もかわしてみせる。
「フェイルさん・・・・?」
「仕事を・・・頼まれまして。貴方を殺さないといけないんですよ」
フェイルはにっこりと笑ったまま、そう言った。
その言葉を聞いたコロムの表情がしだいに悲しげになっていく。そしてうつむくと、なにかつぶやき始めた。
「・・・だったのにな。」
「?」
古代語ではなかったので少し安心はしたものの、身構えたままのフェイル。
先ほどのコロムの動きがかなりのものだったため、警戒しての事である。
「本当に、好きだったのにな・・・・この町も、カレンも、みんなも。そしてあなたも。」
そっと顔を上げたコロム目より、顎に向かって落ちていく水。
『・・・・これは何だ?何なのだ?何をしようと言うのだ?』
フェイルを見ていたコロムの顔がゆっくりと上を向く。
それと同時にコロムの顔、腕、足がゆがんでいく。そのまま地面に倒れると、しばらくして服の間から一匹の犬のようなモノが出てきた。
フェイルが動けるようになったのは、その犬のようなモノが自分とは逆方向に向かって走りだしてからだった。
「・・・・っ!」
追いかけたが、もうすでに遅い。
オランに広がる夜の闇は、深さは増しても晴れるにはまだ遠い・・・
「あれ?カレン、その服の裾・・・・どしたの?」
いつもの酒場でミニアスに言われて見てみると・・・・やっぱり破けている。。
「さっきの犬に、服の裾を噛みつかれてな。やけにしつこかったんで無理矢理追い返そうとしたら、破れて・・・」
ここでため息一つ。
その後ラスが茶々を入れたり、近くにいた飲んだくれにからまれたり・・・
ここではいつもの夜が繰り広げられていた。
 |