No. 00198
DATE: 2000/11/25 23:36:15
NAME: レッドアロー
SUBJECT: 5年前の出来事
「......。話とは何だ?」
「レッド。私・・・貴方を・・・・」
しばし流れる沈黙。
「.....残念だが、その気持ちに応える事は出来無い」
「そう・・・貴方はラインが好きなんですものね」
表情が少し強ばった。
「やはり...気付いていたか。そう、俺はアイツを愛している」
そう言った後に返って来た答えは意外な物だった。
「・・・・ずるい」
「...........?」
「どうして・・・?どうしていつもあの娘ばかり!?仲間だから?そんなの・・!!!」
「レイン....。」
「ずるいよ!そんなの私認めない!許さない!」
「レイン...!」
レインの手には、ダガーが握られていた。
「もううんざりよ・・・・・・。貴方を殺して私も死ぬ・・・そうすれば貴方は私だけの物になる」
「......馬鹿な事は止めるんだ。第一、君に殺される程俺は弱くない」
「なら、あの娘を殺すわ」
一瞬、何を言ったのか理解出来無かった。その言葉が、余りにもいつものレインとはかけ離れていたから。
「...!?」
「だってずるいじゃない。いつもいつも、私ばかりが我慢して。それにあの娘はまさか、私がそんな事をするなんて思わないもの。貴方と違って、私にも簡単に殺せるわ」
「何を....!!!」
「あの娘さえいなければ!上手く行くのよ!全部!!」
怒りの精霊が俺の中で膨らみ、沸き上がるのを感じた。
赦せなかった。何が赦せないのかは解らない。
瞬間、自分が自分で無くなった。文字通り、我を失った。
.....気が付くと、彼女は血溜まりの中に倒れていて、俺の手には血に濡れた片手半剣が握られていた。
俺が、レインを殺したんだ。他の方法だって在ったはずなのに。
その時、不意にドアが開いた。