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No. 00012
DATE: 2000/12/24 03:29:35
NAME: リティリア
SUBJECT: 容れられぬ力
精霊の声を聞いたのは何時だったかしら。はっきりとは覚えてていないけど、確か驚きと喜びがあったのは覚えて入る。
だけど交信方法はその時はまだ知らなかった。
交信方法を教えてもらったのはギルドに入った後、私にノウハウを教えてくれた人の知人と言う人にだった。
初めは出来なかったものの何年かかける内にだんだんと精霊と交信を出来るようになって行った。
だけど私には一つだけ意志を通わせれない精霊が居た。
火の精霊・・・
その精霊を呼び出せた事はいまだに無い。
今日もまた私は火の精霊を呼び出す特訓をしていた。
何故ここまでやっきになっていたか自分でも定かではなかった。
もしかしたら炎に対する恐怖心を否定する為に火の精霊と意志を通わせたかったのかもしれない。今ならそう思える。
「たけき炎の精霊よ我が呼びかけに答えよ」
だが松明の炎はゆらりと少しは揺れるがその以上の反応はなかった。
もう一度精神を集中し呼びかける。
すると今度は炎は大きく揺れると激しく燃え上がり、そこには炎を纏った蜥蜴のような生物。サラマンダーの姿があった。
”我を操ろうとははなはだおかしいわ。お主に我を扱うことはできぬ”
確かにそう言われたような気がした。
まるで炎の記憶を乗り越えない限り扱うことはかなわぬと言うように。
確かに私は炎が大きく揺らいだ時、喜びよりも恐怖を感じたのだった。
あの熱さ、あの痛み・・・そしてあの匂い・・・。
なにもかもが鮮明に記憶の底から甦って来たが、今はこの炎の精霊をどうにかする事が先である。
怖れをとにかく押さえ今は精霊を元の世界に還す事だけに意識を傾けた。
サラマンダーの方は私の呪縛から逃げ出そうと必死に圧力をかけてきた。
数分後。
私の思いが勝ち、なんとかサラマンダーを元の世界に還す事が出来たが、私は立っているのもままならないほど疲れていた。
初めてと言うわけでは無いだろう。いままでこんなことが無かったから・・・。
やはり私の中にある炎の記憶のせいだろうか?
それを考えてもしかたが無いだろう・・・でも私は自分の中の恐怖心が薄れるまで炎の精霊と関わるのは止めようと思った。
そしてあれから何年・・・。
私はあの一件以来、自分から進んで炎の精霊と関わった事は一度もなかった。
そして最近、私は新しい精霊と心を通わせる事が出来るようになった。
名も無き生命の精霊・・・。
それは私の中に新たな命があったせいかもしれない・・・。
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