No. 00022
DATE: 2001/02/04 02:01:56
NAME: コロム
SUBJECT: クラリッタのオオカミ少女
今年のクラリッタ村の農場には、腹を空かせたオオカミが出没していた。
それは毎年の事で、村の若いもんが罠を仕掛けたりオオカミ狩りをすれば済むことであった。
しかし今年のオオカミはなかなか罠にかからず、狩りに出た若者も手痛いしっぺ返しを受けるという有様だった。
村では村民会議が開かれ、結果、冒険者を雇って退治する事が決まった。
幸いこの村は大都市オランにほど近く、仕事を求める冒険者達が直ぐにやってきた。
一日目はまずまずの成果を上げたが、二日目冒険者は帰ってこなかった。
次の日、木こりの青年が木を切りに行くと、血塗れで倒れている冒険者達を発見した。
幸い、命に別状は無かったが、オオカミ退治を続けることが不可能となった。
4日目、クラリッタ村に魔女と名乗る少女が現れた。
家畜5頭でオオカミを追い払うという条件を出してきた魔女に対し、村長は冗談だと思いこれに応じた。
魔女は村長を連れて村はずれまで来ると、体を動かしながら奇怪な発音でブツブツしゃべり、そして最後にオオカミのごとく遠吠えした。
魔女が言うには魔法を使ってオオカミの言葉を喋り、支配して追い払うとのことだった。
ここまで来るとさすがの村長も呆れ呆れ顔だが、オオカミが1匹・2匹と現れ目の前に整列していく様子を目の当たりにすると、魔女の言うことが本当なのではと思い始めた。
小一時間ほどすると村長と魔女の目の前には、数十頭のオオカミが整列していた。
魔女はにっこりほほえみ、家畜5頭を請求した。このとき村長にはこの魔女が悪魔に見えていたらしい。
村長が渋々家畜をそろえると魔女はオオカミを連れて森の中に消えていった。
それからしばらくの間、オオカミによる被害はでなくなりました。