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No. 00033
DATE: 2001/03/08 11:36:12
NAME: メリープ
SUBJECT: おつかいから帰って
「ただいま、ぱぱりん!!」
そう言って店のドアを開ける。
そこに待っていたのはただ静寂だけだった。
薄暗い店内に、主のいない商品達が寂しそうに主の帰りを待っている。
「……そっか、ぱぱりん、商品の仕入れに行ったんだっけなぁ……」
一人呟く。商品の仕入れに行くと言ったら、ぱぱりんは暫くは家に帰ってこない。とにかく自分の眼鏡にかなった商品を見つけてくるまでは帰ってこないからだ。
と、見慣れたはずの店内に違和感を感じて、私は辺りを見回し……違和感の原因を知る。
「お外はあんなにいい天気なのに……何でこんなに薄暗いんだろう……?」
店内は不自然なほど薄暗かった。外では大陽が、初春の柔らかい日差しを惜しみなく注いでいるのが窓から見えるのに、室内には光が射し込んでこない。
手近の窓を開けてみたけど、やっぱり不自然なほどに暗い。
「……やっぱりすごぉく変だよねぇ……」
気になって、精霊さんを捜してみると、昼下がりというのに、夜を司る精霊さんが多すぎることに気づく。逆に、お昼には沢山いるはずの光の精霊さんはほとんどいない。
「どうしたんだろ。こんなに闇の精霊さん達がいっぱいいるなんて……」
闇の精霊さんは、何故か私の部屋のある二階からここに降りてきてるみたい。確かに、二階の方が闇の精霊さんがいっぱいいる。
「……行ってみようかな。」
お使いの間に「おともだち」になった光の精霊さんに来てもらって、私は自分の部屋に行ってみた。
そこは完全に闇でとざされていた。仕方がないので、もう一度光の精霊さんに来てもらって、闇の精霊さんの力を相殺する。
闇が消え、部屋にもお外の太陽の光が降り注ぐようになって……私はそこに、見たことのある人を見つけた。
「ぱぱりんっ!?お使いに行ってるんじゃなかったの!?」
「おおメリープ、お帰り。お使いの方が無事に済ませたようだね。」
確かにそこにいるのはぱぱりんだった。ただ一つ違うのは、その手に、見たことのない杖を持っていること……
「ぱぱりんも精霊の力を借りれるの?」
「そう。私も精霊使いだ。……もっとも、商品の仕入れの時にもほとんど使わないがね。私は剣を握る方が性に合っていてな。」
だから、13年前に初めてメリープが「精霊が見える」と行って虚空を指したとき、内心ものすごくビックリしたんだよ、とぱぱりんは話した。
「じゃぁ、この指輪は何なのぉ?」
「精霊魔法を武器にして世界を回りたいと言ったからだよ。指輪の台は精霊が唯一許す金属の銀。はまっているのは、魔力を貯えている魔晶石のカケラだ。……と言っても、この魔晶石にほとんど魔力は残っていないがね。
ぱぱりんからのプレゼントだ。それを持って、行きたいところへ行くと良い。」
「……いいの?」
今までぱぱりんは私に「外に行くな」としか言わなかった。だから面食らって聞いてみたんだけど……
「行くなと言ったってお前は、見張りを精霊魔法で転ばせたり、見張りの会話をシルフに頼んで届けてもらったりしてまんまと抜け出してたじゃないか。
ならば止めても無駄だろう?どこへ行くのも止めはしない。ただ、ちゃんとぱぱに言ってから出かけるようにしてくれよ?」
「……そっか、ぱぱりんにはばれてたんだね。私が夜出かけてること。」
こうしてぱぱりんから外出のお許しを貰った私は、ぱぱりんとの約束を守って、出かけるときにはちゃんとぱぱりんに言ってから出かけるようにしている。
これで、私は夢に一歩近づけたかな?
よーし、もっともっと色んなコトを勉強するぞー!
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