No. 00050
DATE: 2001/04/15 01:55:18
NAME: ドロルゴ
SUBJECT: 魔導書・1
1の月のある日。
奇妙な報告を受けた。
「きままに亭という冒険者の店に、魔人を封印している魔法陣があるという情報がありました。」
「裏付けるものとしまして、あの店だけが他と違う建物である事と、この魔導書・・・」
うやうやしく一冊の古ぼけた本を、差し出す。
「書かれているというのか。」
「はい。」
しばらく考えていたが、不意に
「アーベント、お前に任せる。」
アーベントと呼ばれた男は短く返事をすると、部下から差し出された魔導書を受け取る。
振り返り、一言。
「おまかせあれ、ドロルゴ様。」
「おい。一人来てないが、誰か聞いているヤツいるか?」
「・・・・また、寝坊でもしているんじゃないですか?」
店員の気のない返事に、仕方がないような顔をして奥へと戻っていくマックス。
しばらくすると、店員が慌ててマックスを呼びに来た。
「で、なんの用ですか。」
店に来たのは、街の衛視。しかも3人。店員が慌てて呼びにくるはずである。
衛視の話によると、ここの店員が今朝自宅にて死体で発見されたと言うことである。
死に方が普通ではなく、首筋を切られてから獣のようなものに食われたらしい。
「マリーカの時と同じ手口だ。」
そのため殺された店員の性格や、友人関係、最近の行動についてなど色々とマックスに問いかける。
とはいえども、殺された店員。恨みをもたれるような性格ではなかったし、最近の行動と言えども不振な点などなかった。
「また何かあれば聞きに来る。」
とだけ言葉を残して、衛視は去っていった。
翌日、また衛視が店に来た。
用件は昨日とほぼ同じ。
ここで働いている者が殺されたからである。もちろん昨日とは別の人間。
そして。
身の危険を感じた店員達が次々とやめていき、以前の半分以下にまで減ってしまった。
だが、この噂を聞きつけた血気盛んな冒険者が次々と店を訪れるようになった。
彼らは口々に
「この事件は俺が解決してやる!」
と言ってはいるものの、あまりの手がかりのなさに諦めてしまう者も少なくはなかった。
マックスは人手の足りない状況を打破するため、店員を募集しているという張り紙を出す事にした。
そして数日後、新しく入った店員の中にドロルゴの部下が混じっていた。